外国人子女の教育環境整備は、グローバル経済のハブ機能に不可欠

クレアシンガポール事務所
外国人子女の教育環境整備は、グローバル経済のハブ機能に不可欠
シンガポールでは、わずか約 700 平方キロメートルの国土に、30 以上のイン
ターナショナル・スクール(以下「国際校」
。外国の教育制度に基づき児童・生
徒を教育している学校。)があります。日本人学校も、2校(西部のクレメンテ
ィ校及び東部のチャンギ校)設置されています。これは、政府が、国際校を積
極的に誘致してきたためです。このようなシンガポールの国際校誘致推進施策
に注目してみますと、以下の3点に特徴があることに気が付きます。
まず、国際校を政府や国内の法人で整備するのではなく、むしろ外国からの
誘致を狙っている点です。インセンティブとして、国際校への土地の貸付期間
を 30 年とすることが発表されました。教育施設が短期に利益を回収することは
困難であり、長期間の土地貸付けが保障されることで、学校経営の安定が図れ
ます。それによって、駐在員もまた安心して子息を帯同できることになります。
2つめの特徴は、誘致推進の一方で、教育の質や持続可能性を確保するため、
政府が、国際校に係る「関心提案書」
(Request-For-Interest(RFI))の公募を
行う点です。2008 年以来3回、RFI の公募が実施されており、今回は、去る4
月 23 日に発表されたところです。
最後に、外資誘致を所管する経済開発庁(EDB)が RFI 審査の中心であること
が、大変特徴的な点として挙げられます。国際校の誘致は、グローバル経済の
ハブ機能を果たすための投資環境の整備の一環であるとの考え方が根底にある
ことがわかります。とはいえ、単独で教育行政や公有地利用に関与することは
できませんので、省庁横断的な委員会を設置して RFI の審査が行われます。こ
れは、私学協議会、通貨監督庁、教育省及び土地管理庁の各政府機関からなり
ます。シンガポール政府機能に特徴的な、共通目的のために複数の省庁が協力
する「Whole-of-Government」の好例といえましょう。
参考資料:
経済開発庁プレスリリース(英文)
https://www.edb.gov.sg/content/edb/en/news-and-events/news/2015-news/inter-agency-committee-to-launch-requ
est-for-interest-exercise-for-foreign-system-schools.html
経済開発庁ホームページ(日本語)
https://www.edb.gov.sg/content/edb/ja/
Business Times“Singapore seeks to attract more foreign system schools”,
28 April 2015