2015/11/19

2015 年 11 月 19 日
前田工繊(7821)
担当 近藤 浩之
レーティング:
OUTPERFORM(2015/5/20)→
OUTPERFORM
自動車ホイール引き合い好調。インフラ需要根強く。
売上高
(百万円)
16,469
19,906
24,571
26,774
29,800
伸び率
(%)
26.0
20.9
23.4
9.0
11.3
営業利益
(百万円)
1,420
2,412
3,286
3,421
3,780
伸び率
(%)
40.8
69.9
36.2
4.1
10.5
経常利益
(百万円)
1,429
2,554
3,324
3,592
3,800
伸び率
(%)
38.6
78.6
30.2
8.0
5.8
純利益
(百万円)
1,176
1,521
2,146
2,577
2,800
伸び率
(%)
118.9
29.3
41.1
20.1
8.6
EPS
(円)
234.32
52.50
71.56
79.99
86.88
1 株配
(円)
35.00
7.00
8.00
10.00
-
連 12/9
連 13/9
連 14/9
連 15/9
連 16/9(予)
第 2 四半期累計期間
連 14/10-15/3
14,162
10.6
1,823
-4.2
2,009
2.6
1,407
20.3
43.66
5.00
連 15/10-16/3(予)
15,000
5.9
2,000
9.7
2,050
20.3
1,450
3.0
44.99
6.00
株価(2015/11/18)
1,093 円
発行済み株式数(15/9/20)
32,228 千株
自己株式数(15/9/20)
2 千株
時価総額
35,226 百万円
企業価値(EV)
33,260 百万円
ROE(15/9 実績)
12.5 %
予想配当利回り
- %
予想 PER
12.6 倍
BPS(15/9 実績)
675.45 円
PBR
1.6 倍
CFPS(15/9 実績)
68.3 円
PCFR
16.0 倍
株価チャート(週足)
EV/EBITDA(15/9 実績)
5.6 倍
(注) 13 年 7 月 3 日を効力発生日として普通株式 1 株につき 5 株の株式分割を実施。13/9 期の EPS・1 株配は期首に分割が行われ
たと仮定して算定。
出所:前田工繊、ブルームバーグ、今村証券
がけ崩れや地すべり、洪水な
(資料1) 同社製品を用いた施工例
<盛土補強>
<河川護岸>
ど自然災害による被害を軽減
する工事で用いられる資材(盛
土補強材、排水材、河川護岸材、
耐震補強材など)(以下、イン
フラ事業)の製造・販売が全売
上高の65.4%(2015年9月期)
を占める(資料1、出所:同社
ホームページ)。道路、河川に限らず、港湾、トンネル、橋梁などの防災・
(資料2)
減災対策用の資材を数多く扱っている。
自動車用アルミホイール
第2の柱は、自動車ホイール事業(軽合金鍛造ホイール)。2014年9月期途中
から連結対象に加わった。高級車向けを中心にしたOEM(相手先ブランド
による生産)供給や、カーショップを通じた販売、F-1などのレース用として
も供給している(資料2、出所:BBSジャパンホームページ)。
2015年9月期は増収増益となり、売上高、利益ともに過去最高を更新した。
しかし、期初計画には売上高で2.6%、営業益で8.8%届かなかった(資料3、出所:同社決算短
信)。セグメント別でみると、インフラ事業の売上高が前年同期比▲8.2%、営業益が同▲17.5%
と落ち込んだ一方で、自動車ホイール事業が好調だった。今期は自動車ホイール事業で引き続き
大幅増収を見込み、インフラ事業は前期途中に事業譲受した株式会社オガワテクノ(現、未来テ
前田工繊(7821)
1
2015 年 11 月 19 日
クノ)の押し上げ分を除くと売上高はほぼ横ばいの見通しだ。
以下でインフラ事業、自動車ホイール事業の前期実績及び今期見通しについてみていく。
・ インフラ事業
前期は土木建設業界の人手不足を背景にした公共工事の減少(資料4、出所:東日本建設業保
証株式会社)
、競争激化が響いた。なかでも、主力の盛土補強材や河川・海洋資材が伸び悩んだ。
ただ、公共事業の動きは鈍いものの、受注活動を強化した結果、足元では受注が回復している。
個別案件としては昨年8月に発生した広島での土砂災害の復興、那覇空港の滑走路増設などの需
要を取り込み、耐震補強材の需要も根強い模様だ。また、昨年後半からの原油安に連れた原材料
価格の下落が本格的に寄与する。
・ 自動車ホイール事業
2014年9月期に含まれる業績の期間が7カ月であるため前年同期との単純比較はできない。会社
計画との比較では前期の売上高は2割上回った。第2四半期から「レクサスRC F」への供給が始ま
り、好調に推移した。
今期は来年発売の車種に採用されており、下期から売上高が大きく伸びる。対して、利益は横
ばいから微増を見込む。大型プレス機の自動化や切削加工をするマシニングセンタの導入などの
設備投資を実施し、償却負担が4-5億円増えるためだ(資料5、出所:同社決算短信)
。
(資料3) 業績の推移(通期)
(注) ~11.9 期は「その他」に「テクニカルサービス」が含まれ、「自動車ホイール」は 14.9 期に加わった。16.9 期は「インフラ」
に「その他」が加わった。09.9 期のセグメント利益は未開示。
(資料5) 設備投資額・減価償却費の推移
(資料4) 公共工事請負額の伸び率の推移
前田工繊(7821)
2
2015 年 11 月 19 日
中長期的な視点では、①インフラ事業の需要は根強く、②自動車ホイール事業の受注案件は増
加している。③M&Aは積極的に手掛けていく。
① インフラ事業
事前防災・減災対策は喫緊の課題である。近年、全国で水害や土砂災害が多発し、ゲリラ豪雨
への備えが必要となっているのに加えて、巨大地震への警戒感が高まっている。インフラの老朽
化で被害が深刻化しかねない状況にもある(資料6・7・8、出所:気象庁・国土交通省)。そ
のため、治水、耐震といった命を守る公共工事が求められている。盛土補強材や河川護岸材、耐
震補強材などへの需要は根強いだろう。
その他、リニア中央新幹線の工事、新幹線の延長の工事、東京オリンピック開催に向けた再開
発などの大型案件でも同社製品が使われると思われる。
② 自動車ホイール事業
来期には売上高100億円が視野に入る。設備投資により品質、生産量の問題が解消し、自動車
メーカーからの引き合いが増えている。自動車の燃費性能競争が過熱し、ホイールの軽量化にも
目が向けられているほか、デザイン性の向上に寄与する点も優位に働いているようだ。
③ M&A
年間に1-2件のM&Aを実施する方針を継続する(資料9、出所:同社リリース)
。
「前田工繊
は混ぜる会社です」という新たな企業メッセージを示し、高い技術力を持つ企業のM&Aで人や
技術を混ぜ、化学反応を起こし、社会のあるべき姿、人間のあるべき姿を追い求める。
(資料7)
土砂災害発生件数の推移
(資料6)
1 時間降水量 50mm 以上の発生回数の推移
(資料8) 建築後 50 年以上経過する社会資本の割合
2013年3月 2023年3月 2033年3月
道路橋
(約40万橋、橋長2m以上)
トンネル
(約1万本)
河川管理施設(水門等)
(約1万施設、国管理のみ)
下水道管きょ
(総延長約45万㎞)
港湾岸壁
(約5千施設、水深-4.5m以深)
約18%
約43%
約67%
約20%
約34%
約50%
約25%
約43%
約64%
約2%
約9%
約24%
約8%
約32%
約58%
前田工繊(7821)
3
2015 年 11 月 19 日
(資料9) 上場後の主なM&A実績
被取得企業
マグネ株式会社
取得原価
(千円)
事業内容
多機能特殊ポリマーセメントモルタル等の開発・製造・販売
企業結合日 吸収合併日
買収前売上高
(千円)
347,337
(09/2期)
239,511
(08/12期)
1,669,463
(10/3期)
963,579
(10/12期)
256,310
09/10/16
10/09/21
株式会社サングリーン 植生製品、間伐材製品、水際製品の製造・販売
316,700
09/10/20
10/03/21
北原電牧株式会社
鳥獣害対策製品、電気柵、放牧施設等の製造・販売
761,234
11/04/01
-
テクノス株式会社
高機能ワイピングクロス等の製造・販売・受託加工
817,082
12/04/02
-
2社で 13/11/01
5,786,785
-
-
更生会社
ワシ興産株式会社
自動車用軽合金鍛造ホイール製造販売
更生会社
ワシマイヤー株式会社
株式会社ダイイチ
衣料や各種産業資材用の撚糸及びニット製造業
防衛省の天幕・個人装備品(背嚢・バッグ・擬装網・担架等)の製造・
株式会社オガワテクノ 販売事業並びに海洋土木品のシルトフェンス・オイルフェンス・メッシュ
シート等及びテント倉庫他厚手の帆布生地製品の製造・販売
425,095
14/10/20
-
924,215
(14/3期)
360,000
15/07/31
-
271,948
(14/7期(4ヶ月))
今村証券では、今期はインフラ事業、自動車ホイール事業ともに会社計画を上回るとみて、全
体では売上高は300億円超、営業利益は40億円弱を予想する。配当は期末を未定としているが、
業績向上に伴い前期から2-3円上乗せされそうだ。
来期以降もインフラ事業は根強い需要が継続、自動車ホイール事業は償却負担が減り利益が出
やすくなり、M&Aによる押し上げもありそうだ。同社が目指す2020年9月期に「売上高500億円」
に向けてはM&Aにかかるところが大きい。しかし、これまでの実績から考えて、達成は可能だ
ろう。となれば営業利益で70億円近くが見えてくる。
これを踏まえると、投資指標面において割安感がある。投資判断はOUTPERFORMを継
続する。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
前田工繊(7821)
4
2015 年 11 月 19 日
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お
客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に
とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま
すようお願い申し上げます。
本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成
しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま
たは完全性を保証するものではありませんし、本資料における過誤又は遺漏に対して何らの責任を負うものでもありま
せん。本資料でインターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている
場合を除き、アドレス等の内容について当社は一切責任を負いません。本資料は、当然にお客様の投資結果を保証する
ものではございませんので、今村証券は、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもあり
ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま
た、今村証券は本資料に関するお客様からのご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。
当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社
および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い
または売りのポジションを有している場合があり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係
会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘
を行う場合があります。
日本および外国の株式・債券への投資は、株価の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評
価の変化、金利・為替の変動などにより、投資元本を割り込むリスクがあります。
本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承認なく、また電子的・機械的な方
法を問わず、本資料の全部もしくは一部引用または複製、転送等により使用することを禁じます。
前田工繊(7821)
5