第5回

物理学演習 IIB 問題 No.5 (物理数学 II)
2015 年 10 月 26 日
1. 調和振動子のエネルギー固有関数 un (x) と固有値 En (n = 0, 1, 2, · · · ) は,
(
)
En = n + 12 ℏω,
) 12
(
α
√
Nn =
2n n! π
un (x) = Nn Hn (αx) e− 2 α
1
α =
( mω ) 12
ℏ
,
2
x2
,
(1)
によって与えられる。ここで, m は振動子の質量, ω は角振動数, Hn (ξ) はエルミート多項式で
ある。エルミート多項式の公式を使って, 以下の問に答えよ。
(a) un (x) が正規直交条件
∫
∞
−∞
dx um (x)∗ un (x) = δmn
(2)
を満たすことを示せ。
⟨ ⟩
(b) 座標演算子 x̂ = x を含む期待値 ⟨x̂⟩, x̂2 を求めよ。
√
√
2
また, 座標の不確定性 ∆x = ⟨(x̂ − ⟨x̂⟩)2 ⟩ = ⟨x̂2 ⟩ − ⟨x̂⟩ を求めよ。ただし, 演算子 Ô
の期待値 ⟨Ô⟩ は, 規格化された un (x) を使って,
∫ ∞
⟨Ô⟩ =
dx un (x)∗ Ô un (x)
(3)
−∞
と定義される。
⟨ ⟩
∂
(c) 運動量演算子 p̂ = −iℏ ∂x
を含む期待値 ⟨p̂⟩, p̂2 を求めよ。
√
√
2
また, 運動量の不確定性 ∆p = ⟨(p̂ − ⟨p̂⟩)2 ⟩ = ⟨p̂2 ⟩ − ⟨p̂⟩ を求めよ。
(d) ハイゼンベルクの不確定性関係
∆x ∆p ≧
1
ℏ
2
(4)
が成り立っていることを確かめよ。
2. ルジャンドル多項式 Pn (x) は母関数を使って
∞
∑
1
g(t, x) ≡ √
=
Pn (x) tn
1 − 2tx + t2
n=0
(5)
と定義される。
(a) この式を使って, 偶奇性 Pn (−x) = (−)n Pn (x) を示せ。
(b) x = ±1 における値 Pn (1) と Pn (−1) を求めよ。
3. ルジャンドル多項式に対するロドリグの公式
Pn (x) =
1
2n n!
dn 2
(x − 1)n
dxn
(6)
を証明せよ。(右辺の (x2 − 1)n を 2 項展開し, それを微分した結果が,
Pn (x) =
[ n2 ]
∑
k=0
(−1)k (2n − 2k)!
xn−2k
2n k!(n − k)!(n − 2k)!
と一致することを示せばよい。)
1
(n = 0, 1, 2, · · · )
(7)
4. ルジャンドル多項式の漸化式
(2n + 1)xPn (x) = (n + 1)Pn+1 (x) + nPn−1 (x),
d
(1 − x2 ) Pn (x) = −nxPn (x) + nPn−1 (x)
dx
(8)
(9)
を次のように証明せよ。
(a) ルジャンドル多項式の母関数 g(t, x) ((5) の中辺) が
1 ∂
1
∂
∂
g(t, x) = 2xt 2 (t 2 g(t, x)) − t (tg(t, x)),
∂t
∂t
∂t
∂
∂
2 ∂
(1 − x ) g(t, x) = −xt g(t, x) + t (tg(t, x))
∂x
∂t
∂t
(10)
を満たすことを示せ。
(b) 母関数のルジャンドル多項式による展開 ((5) の右辺) を (10) に代入し, 漸化式 (8), (9) が
成り立つことを示せ。
5. 漸化式 (8), (9) から, ルジャンドルの微分方程式
(1 − x2 )
d2
d
Pn (x) − 2x Pn (x) + n(n + 1)Pn (x) = 0
2
dx
dx
(11)
を導け。
6. 母関数 (5) を使って, ルジャンドル多項式の直交性
∫
1
−1
dx Pm (x)Pn (x) =
2
δmn
2n + 1
(12)
を証明せよ。
ヒント:不定積分の公式
∫
(√
)
√
dx
√
= −2 ln
a−x+ b−x
√
a−x b−x
(13)
を使え。
7. 公式 (7), (8), (12) を使って, 積分
∫
I1 =
−1
∫
I2 =
1
dx xm Pn (x)
(m < n),
1
−1
π
dx xn Pn (x),
∫
I3 =
dθ sin θ cos θ Pm (cos θ)Pn (cos θ)
0
の値を求めよ。
2
(14)