2016年3⽉22⽇ ⽇本株ファンドマネージャーの視点 『マリガン!』 ※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。 ⽇銀のマイナス⾦利政策には⼀定程度の円安効果も期待されていたと思われますが、先週末の⽶ドル・円の ⽔準は1⽶ドル=111円台の円⾼になりました。さすがにこの⽔準までくると⽇本にとっては為替介⼊や レートチェックの噂が⾶び交う危険⽔準です。⼀⽅、⽶国企業にとっては今まで苦しめられていた⽶ドル⾼ が反転し⽶ドル安になることは好都合となるため、市場のコンセンサスは残念ながら円⾼トレンドになって しまいました。 先⽇、朝の某テレビ番組でグンゼの児⽟社⻑が『マリガンという名の贈り物』という本を紹介されていまし た。『マリガン』とはゴルフのプライベートルールでミスショットをした際に、ミスをした本⼈が『マリガ ン』を宣⾔して周囲がOKすれば打ち直しが認められるという特別なルールです。本の中では⼈⽣において も『マリガン』を使い、周囲の⼒を借りるべきと説いています。さらに、この本は、失敗した事を⾃分で責 める必要はなく、失敗から学べば良いということも教えてくれます。 評判のすこぶる悪い、今回の⽇銀のマイナス⾦利政策ですが、決して間違った政策でもなければ、ミス ショットでもありません。考えて、考え抜いた結果の政策であり、銀⾏の収益にも最⼤限の配慮をした政策 であったと私は信じています。ただ、市場の反応を⾒ると残念ながら、この政策にNOを突きつけているよ うに⾒えます。 世界の株式市場は原油価格の落ち着きもあり、リスクオンの様相を呈しています。しかし、⽇本の株式市場 はマイナス⾦利政策以降、銀⾏や⽣保などの⾦融株が⼤幅に下落調整しています。 経済の⾎液と⾔われている⾦融の代表である銀⾏株が下落している姿から察すると、マイナス⾦利政策はや はり市場に受け⼊れられていないと⾔わざるを得ません。今こそ⽇銀も市場から学び『マリガン』を宣⾔し てマイナス⾦利をやり直すことを考える必要があるのではないでしょうか。⽇銀の政策をアマチュアゴルフ のプライベートルールと⼀緒にするなと叱られそうですが、誰も経験したことがない難しいことに挑戦して いるわけですから、軌道修正の機会を与えることも⼤事だと思います。 我々、ファンド・マネージャーも当初の思惑と異なった想定になった場合、買った銘柄が損をしていても短 期に売却したり、逆に売った銘柄を短期に買い戻したりすることが稀にあります。例えば円安になると思っ て為替感応度の⾼い銘柄を買ったものの、逆に円⾼になる可能性が⾼くなったために短期に売却したりする ことがあります。これは間違いや失敗ではなく、傷⼝を最⼩限に抑えるための⽴派な投資判断です。 あくまでもファンド・マネージャーの経験則ですが、この様にシナリオが当初の思惑と異なった場合は早め に軌道修正する⽅が、最終的にポートフォリオの傷を深めなくて済むことになります。当初の思惑と異なっ ているのに、その銘柄を持ち続けるほうが余程ポートフォリオを痛めてしまうことにつながります。 株式運⽤部 ⼩出 修 ■当資料は情報提供を⽬的として⼤和住銀投信投資顧問が作成したものであ り、特定の投資信託・⽣命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するもの ではありません。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成 しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当 資料に記載されている今後の⾒通し・コメントは、作成⽇現在におけるレ ポート作成者の判断に基づくものであり、事前の予告なしに将来変更される 場合があります。■当資料内の運⽤実績等に関するグラフ、数値等は過去の ものであり、将来の運⽤成果等を約束するものではありません。■当資料内 のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 大和住銀投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第353号 加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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