” は、 毎 年 ア“ American Banker フィンテック100として金融 に特化したIT企業のランキン グを発表しているが、2014 年には著名な欧米のIT企業が トップ3に名を連ねているほか、 日本からは野村総研が9位に入 。 あ わ せ て、 っ て い る ︵ 注 1︶ “ American Banker ” では金融部 門における売上げをもとにIT 業界全体のランキングを発表し ているが、IBM・HP・De llが上位3社に入っており、 日本からは、富士通︵6位︶と NTTデータ︵9位︶がトップ 。 にランクインしている ︵注2︶ 金融分野におけるイノベーションへの関心が高まり、「フィンテック」へのベンチャー投資が拡大し ている。 海外大手金融機関は金融関係の先端技術研究所や外部アイディアの活用、 ベンチャーとの 連 携 の 動 き を 強 め て い る。 日 本 の 金 融 機 関 も 過 去 、 モ バ イ ル バ ン キ ン グ や 生 体 認 証、 ネ ッ ト 銀 行 の 定着などで先んじたが、 世界標準とはならず、 とくにスマートフォンの登場以降、 出遅れた感もあ る。 海外動向に関する鮮度の高い情報収集に努めるとともに、 日本においてもベンチャーとの接点 拡 大 に よ っ て、 金 融 ビ ジ ネ ス の 活 性 化 に つ な が る こ と を 期 待 し た い 。 フィンテックとは ﹁ フ ィ ン テ ッ ク ﹂︵ FinTech ︶ と Technology を組み は Finance 合せた造語で、その言葉のとお り、広義には金融分野における 技術全般をさしている。たとえ ば、アメリカの金融専門メディ 10 これに対して、最近とくに注 目されているのが、ベンチャー 企業による金融分野における新 しいソフトウェアやソリューシ ョンの提供であり、新しい収益 機会の創出や効率化によるコス ト削減を狙って、多くの起業家 が参入を図る状況が生まれてい 10 2015. 2. 2 金融財政事情 アメリカでのカンファレンス は、 年 月に行われた Money という決済と金融に関す 20/20 る会議である。1人当り約30 00ドルとけっして安くない参 加費用にもかかわらず、会場は 金融機関や決済関連企業、ベン チャーキャピタルやコンサルテ ィングファームの経営幹部など を中心とした7000名を超え る参加者で埋まった。その多く がフィンテック分野の最新のイ 11 60 ノベーションやトレンドを求め て集まっていたと考えられる。 参加者はアメリカ︵とくにカ リフォルニアとニューヨーク︶ からが中心だが、その広がりは 日本をはじめアジア・欧州・南 米・アフリカなど カ国を超え ていた。また、会場では地区連 銀からの参加者も目についた。 私にとって驚きだったのは、 VISAやAMEX、マッキン ゼー等の経営トップや経営幹部 アメリカ・中国では金融業界の創造的破壊の要素をもつフィンテックが生まれ、急速な 勢いで成長している。日本でフィンテックイノベーションを興すには、草創期の投資環 境や人材確保、M&A等イグジットの確保といったベンチャー企業が育つ環境整備とと もに、金融機関にとっては海外の金融業界の動向へのアンテナを高め、無謬性・自前主 そったくどう き 義から脱却することが必要だ。双方からの「啐啄同機」が求められる。 アメリカでの光景 ︵ フ ィ ン テ ッ ク ︶ は、 FinTech いまやシリコンバレーや世界の ベンチャー投資において、最も ホットなテーマの一つである。 事実、2014年末に参加した アメリカ・中国の二つの大きな 国際会議において、ベンチャー 企業・ネット大手によるフィン テックのコマは、注目の的であ った。 14 などの基調講演者が、UBER ︵スマートフォンアプリケーシ ョンを用いて、タクシーやハイ ヤー等を手配するサービス︶や ︵ 旅 行 者 に 対 し て、 自 Airbnb 室や物件の空室を貸し出すプラ ットフォームサービス︶等のイ ンターネット新興企業の共有型 サービスについて、利用者視点 での意見も交えながら、それら が与える金融機関へのインパク トについて、積極的に話してい 22 2015. 2. 2 金融財政事情 2014年 月 日、FSB(金融安定理事会)から「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時 10 )と題する市中協議文書が公表され、同月 ~ 日に開催されたブリス portant banks in resolution ベン・サミットにおいてG 首脳に報告された。本稿では、この市中協議文書について経緯をふまえ の損失吸収力の充実」 (原題: Adequacy of loss-absorbing capacity of global systemically im- 11 15 16 見解であり、必ずしも金融庁の公式な見解を表わすものではない。 本市中協議文書における提案 は、今後、FSBおよびBCB 本市中協議文書に盛り込まれ た提案は、金融の安定への影響 市中協議文書の内容 S︵バーゼル銀行監督委員会︶ 関する提案を 年末までに策定 ︵注1︶ 。本市中協議文書は、こ するよう求めることで合意した の合意に基づき、グローバルな を最小化し、重要な機能の継続 提案の背景 2013年9月に行われたサ ンクトペテルブルク・サミット において行われるQIS︵定量 年のサミットに報告される予定 15 である。 に係る枠組みを定めることを目 るために保持すべき損失吸収力 る秩序立った破綻処理を実施す システム上重要な銀行︵G S 経て、 年中に最終化され、 において、G 首脳は、 ﹁大き て策定され、 年 月に行われ たブリスベン・サミットに報告 11 すぎてつぶせない ﹂ ︵ IBs︶の破綻時の損失吸収力 Too big に係る提案としてFSBにおい ︶問題の終結のため、F to fail SBに対して、大規模金融機関 の破綻時の損失吸収力の充実に 14 15 を確保し、納税者負担を回避す 14 的影響度調査︶や市場調査等を された。 紹介するとともに、おもな論点を概観してみたい。なお、本稿における意見などは、執筆者の個人的 20 − 20 32 2015. 2. 2 金融財政事情
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