きんざいストア - 株式会社きんざい

に対して、エクイティ︵株式︶
投資を通じてリスクマネーを供
給する投資会社︵ファンド︶を
いう。ジャフコ設立以降、 年
代から 年代にかけて、大手証
券会社や銀行、生損保等の金融
機関等がVCを次々と誕生させ
た。この時代には、まだVC自
体の認知度が低く、既存の組織
に依存しない個人などが独力で
資金を集めることは困難であっ
た。また、証券取引所における
新興企業向けのマーケット環境
も未整備であり、EXIT︵創
業者やVCが投資資金を回収す
ること︶のハードルも高かった。
︵政府系を除き︶VCは、金融
機関系、事業会社系、独立系の
政府は成長戦略の第三の矢として、 将来の経済成長を担う新技術の開発やベン
チャー事業を興す企業に対するリスクマネーの供給の必要性を唱えている。 そ
の 際 に 重 要 な 役 割 を 担 う の が ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル ( V C) 業 界 だ が、 そ の 様
相 は 国 内 外 の 経 済 動 向 を ふ ま え つ つ 変 遷 を た ど っ て い る。 本 稿 で は 、 V C 業 界
の全体像とそのおもな動きを紹介し、 今後の課題を示したい。
金融機関系VCの時代
日本におけるベンチャーキャ
ピタル︵VC︶の草分け的存在
であるジャフコが、野村グルー
プの出資を受けて設立されたの
が1973年のこと。ちなみに、
VCとは、高成長が見込まれる
未上場︵ベンチャー︶企業など
90
70
三つに大きく分けられるが、こ
の時期は、親会社たる金融機関
や事業会社等の信用によりファ
ンドを集めて投資する、金融機
関系VCや事業会社系VC、い
わゆるコーポレート・ベンチャ
ー・キャピタル︵CVC︶がV
Cの主役を担っていた。また、
いまほどインターネットが発達
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2014.12.15 金融財政事情
月の中・下旬、金融庁の幹部が地銀、第二地銀、信用金庫の各
の是非を判断する必要があるこ
とから、金融機関が目利き力を
発揮するための融資の一手法に
なりうる。そういった融資形態
の代わりに、信用保証に頼った
長期融資が横行しているのは、
金融機関の目利き力の発揮とい
う観点からすると問題ではない
か││。
ちなみに、検査マニュアルは
﹁正常な運転資金﹂の定義を
﹁正常な営業を行っていくうえ
で恒常的に必要と認められる運
転資金﹂とし、卸・小売業、製
造業における例として次の算式
を示している。
正常な運転資金
=売上債権[売掛金+受取手形
(割引手形を除く)]
+棚卸資産(通常の在庫商品で
あって不良在庫は除く)
仕入債務[買掛金+支払手形
(設備支手は除く)]
くだんの幹部発言はこの正常
な運転資金の見方にも及んだ。
いわく、正常な運転資金の定義
は業種や事業によって多様であ
ることに加え、ある一時点のバ
ランスシートの状況だけではな
く、期中に発生した資金需要等
のフロー面や事業の状況を考慮
することも重要。そのため、正
常運転資金は機械的に計算され
るものではなく、一定の幅をも
った概念である││。
目利き力の低下や新規投資
の躊躇を招いたと問題視
金融庁の問題意識としては次
の2点があるようだ。①半年あ
るいは1年ごとに融資の継続の
可否を判断する短期継続融資か
ら長期の約定弁済付き融資にシ
フトした結果、金融機関の取引
先に対するモニタリングが弱ま
り、目利き力の低下の一因とな
った。②約定弁済によって疑似
エクイティが漸減していった中
小零細企業は運転資金が不安定
化し、新規投資をためらうよう
になった。その結果、中小企業
に資金需要が生まれず、地域の
活性化も進まない││。
金融庁は昨事務年度から金融
モニタリング基本方針に基づい
てヒアリングを実施するなかで、
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2014.12.15 金融財政事情
短期継続融資のススメ
金融庁の真意は?
今年
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なために継続融資になっており、
借手企業を支援する目的で貸出
金利を設定している場合には、
当該貸出は貸出条件緩和債権に
なるとの判断を明確化した
︵
﹁事例 ﹂
︶
。金融機関がこの
趣旨をきわめて保守的に解釈し、
正常運転資金であっても短期継
続融資ではなく長期の約定弁済
付証書貸付︵信用保証協会の保
証付きにするケースも多い︶に
切り換える動きが増加したとみ
ら れ る。 し か し、﹁ 事 例 ﹂ は
短期継続融資自体を否定してい
るわけではなく、むしろ書換え
にあたっては借手企業の業況や
実態を適切に把握し、その継続
ニカルなテーマに言及した意図は何か。
検査マニュ ア ル の 事 例 に
対する過剰 反 応 を 牽 制
関係者の話を総合すると、金
融庁幹部の発言の概要は次のと
おりだ。
中小零細企業に運転資金を融
資する際、かつては無担保・無
保証で1年以内の短期融資を継
続的に書き換えていく短期継続
融資が慣行として多く行われて
いた。ところが、2002年に
導入した﹁金融検査マニュアル
別 冊︹ 中 小 企 業 融 資 編 ︺﹂ に お
いて、書換えが継続している手
形貸付のうち、正常な運転資金
を超える部分で分割返済が困難
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などにつながっていないか」──。金融庁幹部が異例ともいえるテク
が行き過ぎていないか。その影響として、金融機関の目利き力の低下
的であった短期継続融資を長期の約定弁済付き融資に切り換える動き
「金融検査マニュアルの趣旨を保守的に解釈した結果、かつては一般
業界団体との意見交換会において、金融機関の融資慣行に言及した。
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-
─
銀行法等の改正の概要 ②
第6 回 ・完
新日本有限責任監査法人 金融アドバイザリー部
はその子会社等と実質的に同一
と認められる者に対する信用の
供与等その他の政令で定める信
用の供与等﹂が追加されている
が、これは金融機関グループの
グループ内の﹁信用の供与等﹂
について一定の条件を満たす場
合に適用除外とするための受け
皿としての条文を規定したもの
である。しかし、2014年4
月にバーゼル銀行監督委員会
︵以下、バーゼル委︶から公表
さ れ た L E 規 則 ︵ 注 1︶で は、
大口エクスポージャーにおける
グループ内金融の規制のあり方
森・濱田松本法律事務所
︵前号に該当する法人を除く︶
で国、同号に掲げる法人および
地方公共団体以外の者の出資の
ないもののうち、当該特別の法
律により債券を発行することが
できる法人︵たとえば、住宅金
融支援機構、日本政策投資銀行
など︶とされていた︵改正前の
銀行法施行令4条 項1号およ
び2号︶
。
改正大口信用供与等規制にお
いては、銀行法 条3項として
定められていた前記 が銀行法
条3項1号となり、2号とし
て﹁信用の供与等を行う銀行又
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前回︵2014年 月8日号︶は、わが国の改正大口信用供与等規制の改正に至る経緯お
よび規制対象となる﹁信用の供与等﹂の拡大について解説した。今回は、適用除外事由等
の拡大、信用供与等限度額の厳格化および受信者グループの範囲の拡大等を取り上げる。
対する信用の供与、政府が元本
の返済および利息の支払につい
て保証している信用の供与その
他これらに準ずるものとして政
令で定める信用の供与等につい
ては、適用しない﹂ とされて
い た︵ 改 正 前 の 銀 行 法 条 3
項︶
。
そして、政令において、①法
律の定めるところにより、予算
について国会の議決を経、又は
承認を受けなければならない法
人︵たとえば、国際協力銀行、
日本政策金融公庫など︶
、②特
別の法律により設立された法人
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適用除外事由等の拡大
今回の改正大口信用供与等規
制 で は、﹁ 信 用 の 供 与 等 ﹂ の 範
囲が拡大したが、それに合わせ
て﹁信用の供与等﹂の例外とな
る事由についても調整が行われ
た。
⑴特殊な受信者に対する適用除
外
ま ず、﹁ 信 用 の 供 与 等 ﹂ か ら
除外されるものとして、改正前
の大口信用供与等規制において
も、﹁ 国 お よ び 地 方 公 共 団 体 に
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2014.12.15 金融財政事情