講 演 講 師 演 題 文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官 大 「これからの時代に求められる能力とその育成のための指導 滝 一 登 様 ―高等学校国語を中心に―」 これからの授業改善のキーワードについて話したい。 PPT2 教師は社会との接点が少なく、様々な苦言が聞かれる。国語教師については、「漢字の練 習や古典文法の丸暗記のせいで国語が嫌いになった」「国語は役に立っているのか。難しい 文章ばかり読まされるが、若者は文書の書き方は知らないし、コミュニケーションは苦手だ」 など。 PPT3 教育基本法では、最終的に「人格の完成、心身共に健康な国民の育成、幅広い知識と教養 を身に付ける」ことなどが挙げられている。 「生きる力」を養成することだが、 (教育の目標) については先生方にはぜひ研鑽を図っていただきたい。 PPT4 学校教育法第三十条第二項にある3要素を満たしていない教育活動をしているのは学校で はないと言える。高等学校は義務教育に比べ、そういう意識は低い。 [ 1 社会の急激な変化と子どもの変化 PPT5 ] 社会に6つの変化が見られる。今後10年、生徒がどんな生き方をするかを考える必要があ る。諸外国でも日本でもコミュニケーション能力、思考力が求められている。 PPT7 21世紀型能力としてコミュニケーション力をつけ、社会の一員として活動できる能力が求 められている。 PPT8 全国学力・学習状況調査で、全国的にB問題(活用力)がなかなか伸びない。 PPT9 B問題(活用力)が伸びないと、思考力が伸びない状況は変わらない。 PPT10 PISAについては、読解力が問題になっていたが、改善されている。2015年調査から情 報が評価されるようになり、ペーパーベースではなくなり、ICTについての力が問われそ う。 PPT11 今の子供の現状として、「自分の参加により、社会を変えられる」と思う生徒が少ない。 PPT12 「社会のことはとても複雑で、関与したくない」という子供の割合が高い。 PPT13 高校入学時から進路決定を迫られるまで目標が定められない。その原因は、「自分に合っ ているものがわからない」「やりたいことがわからない」「社会へ出る能力があるか自信がな い」 [ 2 変化に対応する国の教育改革 PPT14 ] 第2期教育振興基本計画における4つの基本的方向性で特に大切にしたいのは、「1 社 会を生き抜く力の養成」であり、授業で意識して取り組んでもらいたい。これからの日本人 として知ってもらわねばならないことを教えてやって欲しい。授業で「生きる力」を養えて いるのかを考え、今まで当たり前だった授業を疑ってみることも大切。 PPT19 育成すべき資質・能力に対応した教育目標・内容について PPT21 「どういう力を身につけさせるため」、「どういう方法をとり」、「どう評価するか」という ことを新しい要領に取り入れるため、研究を進めて欲しい。アクティブ・ラーニングがより評 価されるようになる。新しい学びに対する評価方法について検討してもらいたい。 PPT22 育成すべき資質・能力を踏まえた教育課程として、何を学ぶか。 PPT24 高等学校教育では、(1)の主体的に社会に参画する力、(3)のより高度な力を育成する教科・ 科目の在り方などが盛り込まれている。 PPT27 大学入試については方針はまだ出てないが、1点刻み・1回限りのチャンスという受験方法 の改善を考えている。小・中・高で得た力と大学で学ぶことを繋げていこうという考えに基づ く。新しい要領とリンクさせる。 [ PPT28 新テストの仮称は、「大学入学希望者学力評価テスト」。 PPT31 「高等学校基礎学力テスト」と「大学入学希望者学力評価テスト」の内容について。 3 言語活動を取り入れた授業改善 ] 国語科教諭を志望する学生の声から。「教科書の内容をただ読むだけ、板書をただ写すだ けの授業はしたくない。先生が1時間話しただけの授業は、先生が満足していても生徒はそ う思っていない。単語や文法をただ暗記させられたり問題の解き方を教えてもらったのは、 充実していても何か物足りない。」 PPT32 高校教師が最も意識が低いというデータが出ているのが、「グループで話し合う授業」「生 徒が課題を選び、レポートを書いたり発表する授業」「本時のねらいや目標を導入部で明示 する授業」(活動型の授業は苦手) PPT33 改善すべき国語の授業スタイルを見ると、結果的に古典が嫌いになっている。決まった答 えを覚えるしかない。この授業スタイルではこれからの時代を生き抜けない。 PPT34 自分の問題として捉え、考える授業にすることが言語活動となる。国語科で身につけた能 力が他教科に生かせる。国語科がリーダーシップを。(国語科が元気になれば、学校全体が元 気になる) PPT36 何か特別なことをするのが言語活動ではなく、他教科でたとえ一問一答や話し合い、ワー クシートの作業でも、生徒が考えを表現するのは言語活動である。小学校などでは国語科が むしろ遅れがちである。どうしても「語り」たい教師が多い。 PPT37 当該単元の目標にふさわしい言語活動を適切に位置づける。 PPT38 言語活動を取り入れる際のチェックポイントの例として4つを挙げてみる。 PPT39 学校を支える研究をしている意識を国語科教師は持って欲しい。他教科からの問い合わせ に答える。(他教科から、「ディベートをしたいが、国語ではやっているか」など。国語の授 業でやり方を指導済みならば、学校全体としても合理的で時間の無駄がない) [ 4 目標に準拠した観点別学習状況の評価のあり方 PPT40 ] PDCAサイクルによる、指導と評価の一体化を図る。成績をつけるための評価ではなく、 指導の改善と、生徒が自己の力を知り改善するため。 PPT41 関心・意欲・態度は、授業態度とは違う。教科の内容に限定。単元のねらいについての評価 であり、指導をしないで評価をするということはない。 PPT46 学習評価は、指導要領が唯一のベース。 PPT47 どういう力をつけるのかという単元での目標に合った教材を選択する。(合わないものを無 理に使わなくて良い) PPT48 ほぼ全員の生徒がB基準になれば、指導の目標達成。評価基準と目標は同じではない。そ れぞれの場面(各授業)で設定して良い。(細かすぎても曖昧でも良くない) PPT49 指導要録にまで残るものなので、評価の場面を絞って確実に評価する。(評価の機会をたく さん作っておきながら、いい加減な評価をしてはならない) PPT50 B評価が決まれば、C評価の者が判明する。そこでできるだけ早くヒントを与えるなどし て答えられるよう手だてを行う。B評価の中で顕著な者をA評価にする。 現行の高校国語の6科目中、国語総合(3領域2事項)では、3領域(話す・聞く、書く、読 む)は時数として重ならない。偏りの無い様、時数を設ける。
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