東工大 ゆがんだチェスボード

(2) の Q を目で見ると(その 2 倍だけど),これがまさに「ゆがんだチェスボード」
ゆがんだチェスボード
問題はゆがんだサイコロですけど,次を示す問題でした。
1
(1) 2 回続けて同じ目が出る確率を P とすると P >
= 6
上の R を P を除く奇数・偶数どうしの積 S と Q に分けるわけだ。
だから P + 2(Q + S) = 1 · · · ⃝
1′
(2) 1 回目と 2 回目の奇遇が一致しないものの確率を Q とすると 1 >
Q> 1 − 3P
4 = = 2
2
(1) の解答は i の目が出る確率を pi とすると
6
∑
pk = 1 だから
k=1
P =
6
∑
k=1
この
∑
∑
p2k = (
6
∑
pk )2 − 2
k=1
∑
pi pj = 1 − 2R ただし
i̸=j
∑
pi pj = R とする。つまり P = 1 − 2R · · · ⃝
1
i̸=j
pi pj を見ると (pi − pj )2 を作ることに気がつき
i̸=j
1
1
(pi − pj )2 = 5P − 2R >
2 ここに ⃝
1 を代入して P >
= 0···⃝
= 6 等号は pi = 6 (i = 1, 2, · · · , 6)
i̸=j
さあ,ここから見方を変えて遊びましょう。1辺 1 の正方形の縦横を p1 , p2 , · · · , p6 に分割したとする
と,ゆがんだチェスボードになります。
P12 + P22 > ( P1 + P2 )2
= 1
=
2
2
4
図の斜線の部分が P 左下と右上が同じで R ,⃝
1 が目で見えます。
p1 + p2 + p3 = P1 , p2 + p4 + p6 = P2 とすると,(*) より,
ゆがんでいると平均の概念が使えそうで,
「2 乗の平均は平均の 2 乗より小さくない」· · · (∗) ので,
( )2
1
P > 1
から P >
= 6 と簡単です。
6 = 6
(*) は数 C の範囲になりますか,分散です。等号は分散が 0,つまりすべて等しいとき。
1
1 >Q
よって,P + 2S >
1 ′ を代入して
= 2 ⃝
4 =
P1 , P2 でそれぞれ,(*) からいえる上の有名な不等式を使うと,
証明しておくと
 ∑
n
n
∑
a2i
ai

i=1
i=1
−
 n
n
2

 = 1

n2
{
n
n
∑
i=1
(
a2i −
n
∑
)2 }
ai
5
2
2
p21 + p23 + p55 >
1 ′ を代入して
= p2 p4 + p4 p6 + p6 p2 辺々加えて,P >
=S ⃝
= p1 p3 + p3 p5 + p5 p1 , p2 + p4 + p6 >
1
3
Q>
= 2 − 2P
ゆがんでいない普通のチェスボードを見れば問題の等号はすべて理解できます。
i=1
{
}
n
∑
1
1
2
>
= 2 {(n − 1)P − 2R} = 2
(pi − pj )
= 0 等号は pi すべて等しいとき。
n
n
i,j
途中で (n − 1)P − 2R >
2
= 0 が出てきますが, n = 6 のときが ⃝
ちなみに n = 3 が有名な不等式 a2 + b2 + c2 − bc − ca − ab >
=0
ゆがんだボードから,ゆがんでないようにするのが人間がなすべきことだ,と格差社会の中で思ってし
まうのは私だけでしょうか?代ゼミタワーの寮の値段を見てそう思ってしまった。