ICFとは、国際生活機能分類のことです。その考え方では、人間 の生活を「心身機能・身体構造」 「活動」 「参加」の要素に分けて捉え ます。また、「個人」の思いや周りの「環境」なども含めて、考えて いきます。ICFを活用すると、一人ひとりの生活を多面的に捉えら れ、どの要素に指導や支援を行っていけばよいのかが分かりやすくなります。 また、ICFは障害種や障害のあるなしに関係ありません。どうやったらさまざまな活動に参 加できるのか、個人の様々な因子を整理し意思や環境も含めて考えていくためのツールなのです。 具体例から、考えていきます。 ★1 肢体不自由のある生徒の例 A さんは脳性麻痺で手足に麻痺があり、車椅子生活をしています。A さんはお菓子が大好きで近所の コンビニへ買いにいきたいのですが、いまの力では歩道の段差を越えたり、車道を安全に渡るのが難し いため買い物に行くことができません。それらを ICF の概念図に示すと以下のように整理できます。 そこで、A さんが買い物にいけるようになるためには・・・ ① 車椅子の駆動能力をつけるため自立活動に位置づけ取り組む。 ② 買い物学習の際、車椅子駆動に取り組む。 しかしこれでは車椅子を十分にこげる様にならなくては買い物にいけません。 なので、環境へのアプローチを考えます。 ③ 車椅子の走行性能を上げる。 ④ 福祉サービスを利用する。 というような支援のアイディアが浮かびます。 ★2 知的障害のある生徒の例 次に、知的障害のある B さんについて考えてみます。A さんと同じようにお菓子が大好きで買い物に行 きたいのですが、お金の扱い方が分からないため買い物にいけません。このことを概念図に示すと以下 のようになります。 そこで、Bさんが買い物にいけるようになるためには・・・ ①授業でお金の学習を行う。 ②学校の近所の店で買い物の学習をする。 しかし、これではお金の扱いが分かるようにならないと買い物にはいけません。 なので、環境へのアプローチを考えます。 ③こどもの特徴や必要な支援を店員に伝え協力を依頼。 ④プリペイドカードやお財布携帯を使って買い物をする。 というような支援のアイディアが浮かびます。
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