大荒れの市場で確信を維持するには

大荒れの市場で確信を維持するには
ダイアン・ロブ(写真)
2015年12月22日
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
株式部門シニア・マネジング・ディレクター
ネルソン・ユー
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
株式ポートフォリオ・マネジャー 兼
株式クオンツ・リサーチ共同ヘッド
市場が穏やかで、見通しもはっきりしていれば、確信を
持って投資することは簡単に見えるかもしれない。しか
し、最近のボラティリティの高さを考えれば、そうした
ケースは滅多にないことが分かる。心強いニュースは、
投資家が確信度の高い戦略のパフォーマンスのパター
ンを理解することにより、市場の動揺に対する備えがで
きるということだ。
今が2009年だと想像してみればいい。そして、クオリ
ティ戦略に多額の資産を配分しているとしよう。この戦
略は2009年のリターンが31%に達し、ライバルの株式戦
略の中で最も高いリターンをあげた。だが、そのわずか
1年後、クオリティ戦略は年間11.9%とそれなりのリターン
をあげたが、他の株式戦略を大幅に下回り、最も低い
パフォーマンスにとどまった。
確信度の高い株式への投資は多くの形態を取り得る
(以前の記事『高い確信度が株式投資の成功の鍵』ご
参照)。それは単に高アクティブ・シェアをポートフォリオ
に組み入れるだけでない。では、投資家は市場につい
て大きく異なる視点を持つ数多くの戦略に、どのように
資産を配分すればいいのだろうか?
熟練した投資家はこうしたジレンマに慣れている。ある
年の勝者は翌年の敗者となるものだ。異なる資産クラス
のパフォーマンスが毎年異なる可能性があるように、確
信度の高い株式戦略のリターンのパターンも、 次ペー
ジの図表1 が示すように不安定なものとなり得る。常に
トップあるいは最下位となる戦略は一つもない。しかし、
以前の記事(『株式アロケーションにおける確信度を高
める』)で指摘したように、高い信頼のおける銘柄で構成
する優れたポートフォリオを維持すれば、市場サイクル
全体を通じて非常に効果的なパフォーマンスを得ること
ができる。
パフォーマンスのパターンは毎年変化する
最初のステップは、異なる市場環境ではそれぞれの株
式戦略が異なる動きを示すことを理解することである。
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
https://blog.abglobal.com/post/en/2015/11/maintaining-conviction-in-stormy-markets
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)ポートフォリオ運用チームの見解とは
限りません。本文中で言及した資産クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2015年11月5日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が翻
訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作
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市場の方向性が重要
確信度の高い株式への投資を通じて安心感を得るに
は、市場環境がどのように株価に影響を与え得るかを
理解することが重要である。それは市場の上昇局面、
下落局面どちらについても言える。それがどれほど重要
であるかを把握するため、過去10年間に市場のリターン
が最も良かった3分の1と、最も低かった3分の1の期間
に、熟練した確信度の高い株式運用マネジャーがあげ
た相対的な年率リターンを調べた。
市場が下落する場面では、低ベータ、クオリティ、インカ
ムを重視する運用マネジャーがダウンサイド・リスクを最
も効果的に抑制した( 図表2)。これらのファクターがディ
フェンシブな性格を持つことを考えれば、これは妥当な
ことであろう。
一方、市場が上昇する場面では、バリュー、モメンタム、
成長に明確な焦点を当てている運用マネジャーがリ
ターンを押し上げるチャンスを最もうまく活用することが
できた。こうしたファクターは長期的な収益の成長や回
復に左右されるため、同じく妥当なことである。
集中投資や高アクティブ・ シェアの戦略はどうだろう
か? 平均的に見れば、こうしたタイプのポートフォリオ
は市場環境にさほど敏感には反応せず、市場のリター
ンが最も高かった3分の1の期間も逆に最も低かった3分
の1の場面でも、プラスのアルファ(超過収益)をあげ
た。しかし、それには裏がある。これらのポートフォリオ
は、他の確信度の高い戦略と比べ、リターンに大きな格
差があるのだ(図表3)。つまり、投資家は高い確信度を
反映する手段として集中投資や高アクティブ・シェアの
みに依存すると、一貫性のあるリターンを犠牲にする可
能性がある。
高アクティブ・シェアと集中投資のポートフォリオのリター
ンで幅広い格差が生じることは、確信度を測る基準とし
てそうしたグループ化を用いることの限界を示している
かもしれない。どちらの基準も、ポートフォリオの基本的
な哲学について何の情報も提供していない。その結
果、異なる市場環境においては、それぞれのパフォー
マンスに格差が生じる可能性がある。一方で明確なア
プローチを持つ確信度の高い戦略では、リターン格差
が縮小する。これは、変化しつつある市場環境におい
てどのような投資を行い、どんなパフォーマンスを示す
かについて、はるかに透明性が高いという事実を反映し
ている。
投資スタンスの変更を求める圧力に立ち向かう
確信を維持することは容易なわけではない。市場が下
落していれば、あらゆる高確信度戦略の運用マネ
ジャーは、ポートフォリオの資産を守るため、焦点を当て
ている分野の変更を求める圧力に直面する可能性があ
る。
そのため、変化しつつある市場で効率的に投資するに
は、大荒れの市場でも揺るがない力を持つ確信度の高
い戦略を補完的に用い、適切に資産を分散することが
不可欠である。市場サイクル全体を通じて異なる株式フ
ァクターへのエクスポージャーを堅持することにより、市
場が低迷する期間を最もパフォーマンスが好調な時期
で補い、より安定したリターンを提供できる可能性が高
まると考える。
アライアンス・バーンスタイン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号
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