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トランプ政権誕生は米国小型株に追い風か
2017年1月4日
ジェームス・マグレガー
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
中小型バリュー株式運用 最高投資責任者
ブルース・アルノウ
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
米国中小型グロース株式運用 最高投資責任者
ドナルド・トランプ次期米大統領の経済政策は、米国小
型株にとって追い風となるかもしれない。そう考えるの
には5つの理由がある。
大統領選挙でトランプ氏が当選してからひと月あまりの
間に、米国小型株からなるラッセル2000指数は約15%
上昇し、大型株を代表するS&P 500指数を大幅に上
回っている。
何が起きているのだろうか。法人税引き下げ、米国企業
の海外収益の還流促進策、規制緩和といったトランプ
氏の掲げる政策や、その結果として期待される経済成
長の加速、金利上昇、インフレ率上昇といったものに関
し、小型株の方が大型株よりも大きく恩恵を受けると投
資家が判断しているようだ。
アライアンス・バーンスタイン(以下、「AB」)のリサーチも、
そうした見方を裏付けている。しかし、それは全ての小
型株がトランプ氏の任期中は安泰というわけではない。
新政権の政策の影響は、企業やセクターによって大き
く異なるであろう。例えば、規制緩和について考えてみ
ると、金融危機の後に大幅に引き締められた金融規制
がいくらかでも緩和されれば、銀行銘柄には 朗報だろ
う。しかし、オバマケアと呼ばれる公的医療保険制度が
撤廃されれば、数百万人もの国民が無保険状態となり、
病院にとってはコスト増となる可能性がある。
投資家は、そうした不均等な影響を見極め、しっかりと
舵取りをしていく必要がある。そのためには、ファンダメ
ンタルズが良好でかつ割安な株式をきめ細かく発掘し
ていくアプローチが重要だと考えられる。
さらなる変化、さらなる投資機会
投資家にとって、変化は投資機会を生み出すものだ。
小型株の世界では特にそうである。大型株に比べると、
調査対象としているアナリストが少ないため、ファンダメ
ンタルズが十分理解されていなかったり、株価に十分
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
https://blog.abglobal.com/post/en/2016/12/trump-and-smallcaps-a-perfect-match
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもABポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産
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当資料は、2016年12月14日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社
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す。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
反映されていなかったりすることが多い。足元の市場で
は、そうした認識のギャップが生じている可能性が高
い。
ここでは、トランプ新政権の主な政策と、それが小型株
にもたらし得る影響について見てみる。
1. 税制改正:小型株にとっては、これが間違いなく一
番大きなプラスとなるもので、足元の市場の堅調を
2. インフラ整備:トランプ氏は今後10年間で1兆米ドル
にも上るインフラ投資を実施する意向だ。そして老
朽化したインフラを更新することには、与野党とも強
く賛成している。最終的な支出額はわからないが、支
出の増加はエンジニアリング企業、建設会社、工業
関連の企業にとっては後押し材料となる。一般に、イ
ンフラ投資のような特定のテーマに関しては、幅広
い事業分野に進出している巨大多国籍企業よりも
小型株の方がよりピンポイントな投資ができる。
3. 金利上昇:減税や歳出拡大は、インフレ率や金利の
上昇をもたらす可能性がある。これは、一部の地方
銀 行 に と っ て は 好 材 料 だ が、不 動 産 投 資 信 託
(REIT)や公益事業といった金利敏感セクターに
とっては不利だ。後者は大統領選以降、長期金利が
上昇する中、アンダーパフォームしている。
4. 米国企業の海外収益の還流:企業による海外から
の資金還流を促進するための「タックス・アムネス
ティ」もインフレ率上昇の一因となり得る。さらに、その
資金が企業買収(M&A)活動に用いられれば、買収
対象となり易い小型株はより大きな恩恵を受ける。
1994年以来、小型株は上場企業を対象としたM&A
支えている。より小さな会社は、巨大な多国籍企業と
比べて実効税率が高いことが多く、法人税減税の影
響はより大きい。一部の地方銀行や、消費関連、工
業関連などのように、現行の法人税率をほぼフルに
払っている小規模企業は、法人税率が20%-25%
程度に引き下げられた場合、収益が10%-20%も
拡大する可能性がある(図表1)。
の91%を占めている。その中でもバイオテクノロジー
関連は特に有望であると見られる。
5. 貿易政策および保護主義:小型株の大部分は内需
指向が強く、大企業と比べると海外収益への依存度
が低い。このことは、既存の貿易協定からの撤退によ
る影響は大企業ほどには大きくないことを示唆して
いる。しかし、通商政策の影響に関しては不透明な
部分も多い。海外で収益を上げる大企業は中小企
業の顧客であることも多く、中小企業にとっては受注
減または値下げ圧力の増加という形で影響してくる
かもしれない。また、そもそも貿易障壁は経済活動全
般を停滞させる恐れがある。
注意深い銘柄選択が重要
ABでは、米国小型株に関し総じて前向きな見通しを
持っており、投資家がリターンを高めようとする上で有
用な投資対象だと考えている。小型株は11月に大幅に
上昇したが(次ページの図表2)、株価バリュエーション
は大型株と比べるとまだ割安で、引き続き上昇余地は
十分あると見ている。これは、乗り遅れたと後悔している
投資家にとっては朗報なのではないだろうか。
しかし、どのような形で小型株をポートフォリオに組み入
れるのかという点も重要だ。経済活動の基礎条件が変
われば、勝ち組、負け組が生じる。上場投資信託(ETF)
やパッシブなインデックス連動型投資信託を用いて小
型株を組み入れた場合、小型株への幅広いエクスポー
ジャーが得られるが、さまざまな政策や経済の変化によ
る個別企業への影響の違いを取り込むことができない。
特定の政策案による小型株一般への影響を判断する
ことはリスクがある。また、法案が可決されるまでには内
容が変わることもあり、きめ細やかな対応が必要となる。
一番望ましいのは、ファンダメンタルズが良好な企業を
選別すると同時に、政策の変化に対応する柔軟性を確
保することではないだろうか。市場環境の改善が進み
つつある現在でも、個別企業の収益源泉に注目するア
プローチが小型株で高いリターン得るベストな方法で
あると ABでは考えている。
アライアンス・バーンスタイン株式会社
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