新興国市場の乱気流を切り抜けるには

新興国市場の乱気流を切り抜けるには
鈴木 清一郎
2015年12月24日
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
ストラテジック・コア株式運用 ポートフォリオ・マネジャー
以前と比べて足元の新興国市場は荒れ模様を呈して
いるが、引き続き豊富な投資機会が存在する。必要な
のは、単にその投資機会を見つけることだ。そのため
には、巧みな操縦とダウンサイド・リスクを探知する高性
能のレーダーが重要となる。
新興国経済の成長は減速している。コモディティ価格
が下落し、一部の主要国は構造的また政治的な問題
に直面している。先進国からの需要は継続的に落ち込
み、さらに米国の利上げを巡る議論が見通しを不透明
なものにした。このような環境で単にパッシブ運用を
行っても、過去10年のほとんどの期間で実現したような
良好なリターンを簡単に創出することは難しいだろう。
投資家は新興国市場への投資をやめたくなるかもしれ
ない。しかし、新興国から完全に手を引いてしまうと、
最も活力に満ちた、急成長を遂げる経済や企業への
多様な投資機会を見逃してしまうことになる。新興国へ
の投資で成功するためには、たとえ経済が弱い中でも
力強いパフォーマンスをあげる企業を特定するととも
に、生まれたばかりのトレンドを他の投資家より先に掴
むことが秘訣となる。つまり、新興国市場の乱気流を乗
り切るには、アクティブ運用を行い、長期的な視点に立
つとともに、先手を打つことが必要であるとアライアン
ス・バーンスタイン(以下、「AB」)では考える。
ベンチマークに捉われない
ベンチマークに捉われない運用の利点は明らかで、取
引が集中している証券に縛られることなく投資を行える
ことにある。新興国の株式市場は先進国と比べて透明
性が劣り、また新興国ではニュースが広まるスピードが
先進国よりも遅い。結果的に、新興国市場の株式は過
剰反応して価格に歪みが生じがちである。そして、常
にアンテナを張っている投資家にとってはより豊富な
投資機会がもたらされる。これこそ、新興国市場への投
資の醍醐味である。
アクティブ運用とは、信頼度の高い、長期にわたる株
式パフォーマンスの源泉に基づいた運用を意味する。
つまり、割安な銘柄を、平均以上あるいは安定した利
益をあげている時に、または業績が上方修正される可
能性が高いタイミングで購入するという、優れた銘柄選
択の基本に従うことである。新興国市場のベンチマー
クは非常に効率が悪いため、そういった「基本に戻る」
戦略がもたらす対価は高いと考える。
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
https://blog.abglobal.com/post/en/2015/11/how-to-fly-in-turbulent-emerging-markets
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みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
投資の原則: 資産を減らすな
変動が大きくなりがちな新興国市場では、攻めよりも守
りが肝心である。そのため、ABでは過剰なボラティリ
ティについて特に警戒している。過去何年にもわたっ
て、新興国市場への投資においてはボラティリティが
要であると考えられてきた。当市場への投資にはリスク
が伴うことが受け入れられてきたため、新興国市場へ
投資するアクティブ運用マネジャーはリスクを管理する
必要がなかった。投資の専門家の多くが、単にベンチ
マークの上昇と下落の動きを追うことをリスク管理と呼
んでいた。
ABは異なる視点を持つ。新興国株式への投資で成功
のカギとなるのは、市場サイクル全体を通じて可能な限
り資産を増やすことだと考える。それは、相対的ではな
く、絶対的なリスクに対して積極的かつ周到に対応す
ることを意味する。これを可能にする方法の1つとして、
キャッシュフローが安定しており、自己資本をしっかり
管理し、ビジネス・サイクルに左右されにくい企業に注
目し続けることが挙げられる。また、迫り来るマクロ・リス
クに対して今まで以上に注意する必要がある。ABで
コモディティの動向で景気が左右される国や地域は概
して避ける傾向にあるが、低コストの製造拠点の多くで
より大きな成長機会があると見ている。例えば、メキシ
コ、ベトナム、ポーランド、ハンガリー、チェコ共和国な
どはすべて、安い労働力の代表格であった中国がそ
の地位を失うにつれて、成長率が継続的に上昇するだ
ろう。
は、リスク回避という観点では、銘柄選択やリターンの
可能性よりも、それぞれの国や地域に特化した経済に
関する社内の知見をより重要視する。このようにリスクを
意識するアプローチとは、継続的にダウンサイド・リスク
を抑制することであると考える。
持続するトレンドを掴む
経済が大きく変動する局面では、安定した質の高い収
益が最も重要なポイントとなる。そのような特長を持つ
企業の例として、韓国の美容関連のメディトクスが挙げ
られる。同社は、手頃な価格で永遠の若さを手に入れ
られるとされている、改良された次世代のボツリヌス毒
素(通称「ボトックス」)への需要の急激な高まりによって
収益が伸びている。中国からの海外旅行者は、韓国の
高級化粧品会社であるアモーレパシフィックが提供す
る高級なスキンケア商品に飛びついている。そして、ス
ポーツウェアを普段着として着用するスタイルを指す
「アスレジャー」現象の拡大を背景に、アジア新興国全
体で紡績会社、織物工場、スニーカー・メーカーが活
況を謳歌している。これらの企業はすべて、ライフスタ
イルの長期的なトレンドから恩恵を受けている(図表)。
投資の成功の鍵は、見通しが不透明あるいは悲観的
なセクターでも見出すことができる。例えば、電子機器
に対する需要は、デスクトップパソコン、ノートパソコン、
タブレット、スマートフォンといった移行を背景に、飽和
に達したように見えるかもしれない。しかし、同じ電子機
器セクターでも、韓国や台湾のカメラ・レンズのメー
カーやフレキシブルプリント回路基板などの隙間産業
の企業は、スマートフォン・メーカーが魅力的な機能の
追加やさらなるスリム化を追求するのにしたがって、売
上を力強く伸ばしている。
経済が大きく変動する可能性が高い中では、アクティ
ブで確信度の高い投資を組み合わせながら、リスクに
より細心の注意を払うことがベストな戦略であるとABで
は考える。新興国株式への投資の利点を最大限に活
用するには、リターンの追求とリスクの抑制を同時に行
うことが大切だ。
アライアンス・バーンスタイン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号
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