より良いリターン特性を求めて: 知っておきたい2017年の7つのテーマ

より良いリターン特性を求めて:
知っておきたい2017年の7つのテーマ
リチャード・ブリンク
2017年1月26日
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー
オルタナティブ/マルチアセット運用
マネージング・ディレクター
ボラティリティや利回りの上昇、割高なバリュエーション、
世界的な政策の不透明感。目の前に待ち構えるこれら
の障害を乗り越えようとする投資家にとっては、市場の
上昇局面を捉えつつ、下落局面に対する抵抗力のある
ポートフォリオの構築が重要だ。そうするために現在の
市場でカギとなるであろう 7つのテーマを見てみよう。
リターンを高めるためのポイント
米大統領選までの20カ月余り、米国市場の多くはイン
カム収入や配当以外、全般的にさほどリターンを創出
することができなかった。しかし選挙後は、株価と米国債
利回りが急上昇した。今後どんな政策が打ち出される
か、そしてそれがどれだけの効果をもたらすかは未知
数である。
このため、長期的なリターンの獲得を目指し、より良い、
持続可能なポートフォリオ特性を作り上げることが重要
となっている。市場の上昇局面にはうまく市場に追随
し、下落局面では連動性が低くなるポートフォリオを構
築することで、言い換えればアップサイド/ダウンサイ
ド・キャプチャー・レシオを高めるという取り組みだ。
そのためには、投資家は目標や投資方針を明確化し、
上昇・下落局面のサイクル全体を通じて投資を続ける
必要がある。すべての投資家に共通する目標は、アップ
サイド/ダウンサイド・キャプチャー・レシオをできる限り
引き上げることである。そして、その目標は、より良い
ベータ、効率的な組合せ、アルファの選別によって達成
することができるとアライアンス・バーンスタイン「以下、
(AB)」では考える。
より良いベータ: 市場、あるいは(株価収益率や株価モ
メンタムといった)市場ファクターの中には、他の市場や
ファ クターよりもアップ サイ ド/ダウ ンサイ ド・キャプ
チャー・レシオが優れているものがある。それらは、ベー
タ値、つまりその資産グループ全体のリターンが高い。
その良い例が為替ヘッジを行ったグローバル債券で、
米国債と比較すればよく分かる。
効率的な組合せ: ポートフォリオ内で特定のベータを
組み合わせることによっても、より効率的なアップサイ
ド/ダウンサイド・キャプチャー・レシオを獲得できる可
能性がある。例えば、過去の実績から、ハイイールド債を
50%、米国債を50%の比率で組み合わせると、どちらか
の単独よりも、アップサイドとダウンサイドのキャプチャー
当資料は、アライアンス・バーンスタイン・エル・ピーのCONTEXTブログを日本語訳したものです。オリジナルの英語版はこちら。
https://blog.abglobal.com/post/en/2017/01/building-a-better-path-seven-things-investors-need-to-know-for-2017
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもABポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産
クラスの過去のパフォーマンスは将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2017年1月11日現在の情報を基にアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーが作成したものをアライアンス・バーンスタイン株式会社が
翻訳した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をも
とに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後
予告なしに変更することがあります。アライアンス・バーンスタインおよびABはアライアンス・バーンスタイン・エル・ピーとその傘下の関連会社を含
みます。アライアンス・バーンスタイン株式会社は、ABの日本拠点です。
の比率が改善する。
アルファの選別: アクティブ運用によってベンチマーク
を上回るパフォーマンス(「アルファ」と呼ばれる)を上げ
ることも、アップサイド/ダウンサイド・キャプチャー・レシ
オの引上げにつながるが、選別的に行うことが重要で
ある。例えば、世界金融危機以降の不安定な市場環境
から生じた長期的なスケールのアルファ創出機会、情
報の遍在によって優位性が生じ得る分野、容易に打ち
負かすことのできる非効率なベンチマーク指数がある
ような場合である。新興国市場はこれら3つの条件をす
べて満たしており、大きなアルファ創出機会があること
を示唆している。
では、投資家は今、これらのポイントをどのように実際に
取り入れていけばいいのだろうか ?
より良いリターン特性を作り出す7つの方法
1. 問題児は避ける: より良いベータというものがあるな
らば、より悪いベータ(市場やファクター)というものも
あると考えるべきだろう。そうしたものでも、ある時点
では投資機会を提供することはあるが、長期的には
市場全体と比較してアップサイド/ダウンサイド・
キャプチャーに関し分が悪い。債券市場における問
題児の例としては、格付けがCCCないしそれ以下の
米社債や、ハイイールド・バンクローンなどが挙げら
れる。
2. 人気が集中した投資対象を避ける: 過去10年間、
特に世界金融危機以降の長期にわたる株式の強
気相場の後は、特定の投資対象に人気が集中する
ことが大きな問題となってきた。投資家は高配当株
など人気の高い分野に群がる傾向があるうえ、パッ
シブ投資の拡大はそうした割高な取引に幅広い投
資家が参加することを意味する。さらに、パッシブ投
資を行うことは、市場の好ましい部分もあまり好ましく
ない部分もすべて保有することを意味するため、あ
る部分に何らかの問題が生じた場合、広範に売りが
膨らむ可能性がある。そのような時、混雑した投資対
象から多くの投資家が逃げ出そうとすれば、退却コ
ストが高くつく恐れがある。
3. 流動性を理解する: 世界金融危機以降、流動性は
ホットなトピックとなってきた。市場の流動性が干上
がると、取引が困難になる場合がある。しかし、それ
は投資家にとって、流動性の低い資産への投資を
通じて高いリターンを得る機会を生み出すことにも
なり得る。その観点から、ABでは債券市場に最も顕
著な投資機会の一つがあると考えている。債券投資
家にとって、流動性の低下に備えつつ流動性の低
さがもたらすプレミアムを獲得する方法を理解する
ことは、金利やクレジット市場の変動をうまく乗り切っ
ていくのと同じくらい、あるいはそれ以上に、重要なこ
とである。
4. アクティブ運用を諦めない: ボラティリティの低下
や銘柄間格差の縮小が進む中、アルファの追求機
会が減少したため、近年アクティブ運用は逆風に直
面してきた。そして、パッシブ型の投資が一段と広が
るのに伴い、市場が効率性を高めたり価格発見機
能を発揮したりすることが難しくなっている。しかし、
それは一方で投資機会を生み出している。投資家
がアルファを追求するには何が必要なのだろうか?
アルファがこれまでと異なる所から、また異なる方法
で得られるのだとすれば、それはどのような形だろう
か?
5. 再浮上する新興国市場を見直す: 過去数年、先進
国の株式市場が全般的に好調なパフォーマンスを
あげる一方で、新興国市場は逆風に直面してきた。
米国よりも高い金利を求めて新興国市場に向かっ
ていた資金の流れは逆転し、これが新興国の通貨、
株式、債券市場に影響を及ぼしている。2016年は、
力強い相場の回復と米国の大統領選を巡る不透明
感が重なった。新興国市場には投資機会も存在す
るが、それを捉えるには、そして先進国の政策が生
み出す勝者と敗者を見分けるには、選別的なアプ
ローチがますます重要になっている。
6. オルタナティブ2.0(次世代のオルタナティブ)を取り
込む: オルタナティブ投資は伝統的な株式や債券
に比べ、アルファへの依存度が高く、ベータへの依
存度が低い傾向がある。オルタナティブ投資は長期
にわたり好調なパフォーマンスをあげてきたが、近
年のベータ取引の盛況が状況を反転させた。アル
ファの獲得が難しく、リターンの源泉としてベータへ
の存在感が高まったためだ。今後数年間、市場のボ
ラティリティが再度高まり、銘柄間格差が拡大すれ
ば、アルファの創出に長けたポートフォリオがアップ
サイド/ダウンサイド・キャプチャー・レシオを高める
ことができそうだ。
7. 世界のトレンドを味方に: マクロ経済の変化を始
めとするグローバルな動向が資本市場を揺るがし、
経済や産業に影響を及ぼし、究極的には投資家
のリターンをも左右する。現在、そうした大きな変化
の一つはポピュリズムの台頭と、それが政府の政策
や多くの主要国にもたらす作用である。他にも、中
国の経済成長や債務に関する懸念、あるいはテク
ノロジーの進化やエネルギーの生産動向、世界貿
易の減少が世界の経済システムに及ぼす影響な
どが挙げられる。そうした変化やその影響は極めて
大きい。
これらはABが現時点で考えている7つのテーマで、今
後も注目すべき問題はさらに増える可能性がある。不
透明感が市場を覆っているため、投資家はリターンの
水準そのものより、いかに市場の上昇・下落に追随する
のかという、いわばリターンを得る道筋に焦点を移すこ
とを検討すべきである。そして、ボラティリティの波を乗り
越えられる質の高いポートフォリオを構築する必要があ
る。
アライアンス・バーンスタイン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第303号
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