解析 II 演習 (2015/6/19)解答・解説

解析 II 演習 (2015/6/19) 解答・解説
原点を含む f (x, y) ≥ 0 領域での重積分
お詫び:問題文が若干不備で、f (x, y) ≥ 0 としてしまうと、等高線の交点(鞍点)から先までつながるのか、
不明確でした。さらに(本問には関係ないが) f (x, y) = x2 のように、境界線 x = 0 の両側で正のような場
合、そこまでつながるかも問題です。f (x, y) > 0 としておけばそういった問題や心配は生じませんので、そう
すべきでした。以下でもそのように解釈して解答を示すとともに、不備をお詫びします。
1. f (x, y) = cos2 x − y 2
f (0, 0) = cos2 0 − 02 = 1 > 0 であり、f (x, y) = 0 の境界までが積分領域になる。境界線は:
f (x, y) = cos2 x − y 2 = (cos x − y)(cos x + y) = 0
より y = ± cos x だから、積分領域 A は:
{
}
π
π
A = (x, y) | −
≤ x ≤ , − cos x ≤ y ≤ cos x
2
2
(下図参照: また冒頭の「お詫び」も参照)
2
1
0
-1
-2
-π/2
0
π/2
このままで積分するのでもいいが、f (x, y) は x 軸についても y 軸についても対称だから、第1象限で
の積分値を 4 倍するのでもよい(計算は大差ない)。求める積分値を V とすると:
∫
∫ π2
∫ cos x
V =
f (x, y)dxdy = 4
dx
(cos2 x − y 2 )dy
A
0
∫
π
2
=4
0
0
[
]y=cos x
∫ π2
y3
8
y cos2 x −
dx =
cos3 xdx
3 y=0
3 0
ここで sin x = t とおくと cos xdx = dt、x : 0 →
π
2
のとき t : 0 → 1、
cos xdx = (1 − sin x) cos xdx = (1 − t )dt だから:
[
]1
∫ π2
∫
8 1
8
t3
8
2
16
8
3
2
cos xdx =
(1 − t )dt =
t−
=
×
=
V =
3 0
3 0
3
3 0
3
3
9
3
2
2
1
2. f (x, y) = 1 − (x2 + y 2 )
球の体積よりはむしろ易しい。f (0, 0) = 1 > 0 であり、f (x, y) = 0 の境界は単位円 x2 + y 2 = 1 だから、
積分領域 A は:
A = { (x, y) | x2 + y 2 ≤ 1 } = { (r, θ) | 0 ≤ r ≤ 1, 0 ≤ θ ≤ 2π }
極座標で計算すると f (x, y) = 1 − (x2 + y 2 ) = 1 − r2 だから求める積分値 V は:
∫
∫
∫ 2π ∫ 1
V =
f (x, y)dxdy =
f ∗ (r, θ)rdrdθ =
dθ
(1 − r2 )rdr (ヤコビアンを忘れず
A∗
A
0
0
に!)
∫
[
1
(r − r3 )dr = 2π
= 2π
0
r2
r4
−
2
4
]1
=
0
π
2
参考 1: 等高線による断面は円だから、高校数学流の「回転体の体積」としても求めることができる。
z = 1 − r2
(0 ≤ r ≤ 1)
だから
r2 = 1 − z
(0 ≤ z ≤ 1)
したがって回転体の体積を公式を使って:
∫ 1
∫ 1
π
V =
2πr2 dz = 2π
(1 − z)dz =
2
0
0
参考 2: 答えの
π
2
は、底面の半径が 1、高さが
1
2
の円柱の体積である。つまりこれは単位円 A 上で
の z = f (x, y) の「平均値」と考えることができる。z = f (x, y) の高さ、つまり極大値は 1 だから、高
さのちょうど半分が平均値ということになる。
これについてどのような意味づけができるか、例えば被積分関数を z = 1 − rn (n は自然数)とした場
合にどうなるかも交えて考えてみよ。
2