42 ATL の心筋浸潤による高度僧房弁逆流が化学療法後に消失した一例 ◎長友 美幸 1)、小川 恵美 1)、増田 浩一 2)、増山 浩幸 2)、山下 清 3)、福永 隆司 2) 宮崎県立宮崎病院 1)、宮崎県立宮崎病院循環器内科 2)、宮崎県立宮崎病院内科 3) 【症例】65 歳女性【主訴】倦怠感 ATL の心筋浸潤疑いと診断された.その後,右腋窩リンパ 【既往歴】子宮筋腫【家族歴】特記事項なし 節生検で ATL と診断され,化学療法が開始された.治療開 【現病歴】2015 年 2 月始めより,倦怠感,食思不振が現れ 始後約 2 週間の心臓超音波検査では,僧房弁 tethering,高 近医受診.血液検査にて血清 Ca 高値,白血球数上昇を認 度僧房弁逆流はともに消失しており,側壁の壁運動も改善 め,血液疾患による高カルシウム血症疑いで紹介入院とな していたことより,ATL 心筋浸潤による乳頭筋不全の可能 った. 性があると考察した.心臓 MRI でも,下壁の一部を除く左 【臨床経過】入院時血液検査では Ca 19.6 mg/dL,LDH 264 室壁に見られたびまん性の染まりは指摘されず,ATL の心 IU/L,WBC 26110 /μL,可溶 IL2R 14100 U/ml と高値, 筋浸潤は改善していると診断された. HTLV-Ⅰ抗体陽性,末梢血の ATL 様細胞は約 1%認めた. 精査中,血圧低下と背部痛が出現した為,12 誘導心電図を 【まとめ】今回我々は,ATL の心筋浸潤により発生した高 施行したところ V4 ・ V5 に ST 低下を認めた.心臓超音波 報告する. 度僧房弁逆流が化学療法後に消失した症例を経験したので 検査では,僧房弁 tethering による高度僧房弁逆流と,側壁 の軽度壁運動低下が認められた.血液検査にてトロポニン T陽性であり,虚血性心臓病が疑われ,冠動脈造影も施行 されたが,有意狭窄は認められなかった.ATL の心筋浸潤 による壁運動低下も考えられた為,後日,心臓 MRI が施行 され,下壁の一部を除く左室壁にびまん性の染まりが認め られ,心内膜下や心膜下の染まりは見られないことより, 連絡先:0985-24-4181(内線 2050)
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