ATL の心筋浸潤による高度僧房弁逆流が化学療法後に消失した一例

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ATL の心筋浸潤による高度僧房弁逆流が化学療法後に消失した一例
◎長友 美幸 1)、小川 恵美 1)、増田 浩一 2)、増山 浩幸 2)、山下 清 3)、福永 隆司 2)
宮崎県立宮崎病院 1)、宮崎県立宮崎病院循環器内科 2)、宮崎県立宮崎病院内科 3)
【症例】65 歳女性【主訴】倦怠感
ATL の心筋浸潤疑いと診断された.その後,右腋窩リンパ
【既往歴】子宮筋腫【家族歴】特記事項なし
節生検で ATL と診断され,化学療法が開始された.治療開
【現病歴】2015 年 2 月始めより,倦怠感,食思不振が現れ
始後約 2 週間の心臓超音波検査では,僧房弁 tethering,高
近医受診.血液検査にて血清 Ca 高値,白血球数上昇を認
度僧房弁逆流はともに消失しており,側壁の壁運動も改善
め,血液疾患による高カルシウム血症疑いで紹介入院とな
していたことより,ATL 心筋浸潤による乳頭筋不全の可能
った.
性があると考察した.心臓 MRI でも,下壁の一部を除く左
【臨床経過】入院時血液検査では Ca 19.6 mg/dL,LDH 264
室壁に見られたびまん性の染まりは指摘されず,ATL の心
IU/L,WBC 26110 /μL,可溶 IL2R 14100 U/ml と高値,
筋浸潤は改善していると診断された.
HTLV-Ⅰ抗体陽性,末梢血の ATL 様細胞は約 1%認めた.
精査中,血圧低下と背部痛が出現した為,12 誘導心電図を
【まとめ】今回我々は,ATL の心筋浸潤により発生した高
施行したところ V4 ・ V5 に ST 低下を認めた.心臓超音波
報告する.
度僧房弁逆流が化学療法後に消失した症例を経験したので
検査では,僧房弁 tethering による高度僧房弁逆流と,側壁
の軽度壁運動低下が認められた.血液検査にてトロポニン
T陽性であり,虚血性心臓病が疑われ,冠動脈造影も施行
されたが,有意狭窄は認められなかった.ATL の心筋浸潤
による壁運動低下も考えられた為,後日,心臓 MRI が施行
され,下壁の一部を除く左室壁にびまん性の染まりが認め
られ,心内膜下や心膜下の染まりは見られないことより,
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