有沢製作所(5208)

岡三にいがた
県内企業レーティング情報
有沢製作所(5208
東証1部)
2015年11月10日
16年3月期は電子材料セグメントの伸び悩みが業績面の重荷に
<<アナリストの視点>>
レーティング
中立
16年3月期第2四半期累計の業績は増収増益となったものの、主力の
電子材料がパソコン需要の低迷などを背景に想定より伸びず、会社
計画を下回る着地となった。下期は航空機内装材などの産業用構造
(前回:強気 )
材料の好調がけん引役となる一方、子会社シンフレックスの減速な
どで電子材料セグメントが伸び悩み、通期の営業利益は小幅増益に
目標株価
-円 (前回:1,250 円)
株価 =
776
とどまるとみる。売上・利益とも伸び悩んできているFPC(フレキ
シブルプリント配線板材料)は携帯端末の依存度が高まっているが、
円 ( 11/05 )
年初来高値 =
1,178 円 ( 03/10 )
年初来安値 =
644 円 ( 09/07 )
予想PER (連結) =
9.3 倍 (
16/3 )
予想PER (連結) = 10.6 倍 (
17/3 )
実績PBR (連結) =
0.6 倍
予想ROE (連結) =
6.3 %
時価総額
276 億円
発行済株式数
(除く自己株)
35,562 千株
会社側は収益源の多様化に向けて成長余地の大きい車載分野の製品
開発を計画しており、今後の収益拡大に繋がることに期待したい。
<<レーティングの根拠>>
主力のFPCは単体でパソコン向けの需要低迷が足かせとなっている
ことに加え、収益寄与度の大きい子会社のシンフレックスも中国の
景気減速の影響で成長にブレーキがかかっている。16年3月期予想
PER9倍に割安感があるものの、FPCの用途拡大の動きがみえるまで
業績動向を注視する必要があると考え、レーティングを「強気」か
ら「中立」に引き下げる。
<<16年3月期第2四半期は会社計画を下回る着地>>
2016年3月期第2四半期累計の連結業績は、スマホを主用途とし
た電子材料と航空機内装材などの産業用構造材料の需要が堅調に
推移したことで売上高は191億50百万円(前年同期比3.0%増)と
予想配当利回り = 4.51 %
なった。製造過程で省エネを進めてコスト削減が奏功した結果、
営業利益は15億33百万円(同32.8%増)、経常利益は19億80百万
円(同13.1%増)となった。投資有価証券売却益が前年同期に比
べて大幅に減少したことで親会社に帰属する四半期純利益は16億
37百万円(同46.8%減)となった。ただ、主力の電子材料が売上
高・利益面とも会社想定より伸びなかったため、経常利益と純利
益を除いて会社予想を下回る着地となった。
セグメント別では、主力の電子材料はFPCが新型スマホ向けに
エクイティ情報部
仲野 惠理佳
<<業績推移>> 日本基準
決算期(年/月)
2013/03
2014/03
2015/03
会社
2016/03(予)
弊社前回
弊社今回
弊社前回
2017/03(予)
弊社今回
売上高
26,999
30,232
37,589
38,200
41,300
38,300
43,400
39,800
営業利益
-173
986
2,935
3,000
3,500
3,050
4,100
3,170
経常利益
1,206
2,730
4,503
3,900
4,700
3,910
5,000
4,060
当期純利益
915
4,106
4,859
2,950
3,000
2,960
3,200
2,600
一株純利益
26.16
117.22
137.85
82.95
84.55
83.24
90.19
73.11
一株配当金
8.00
25.00
35.00
未定
25.00
25.00
25.00
25.00
単位:百万円、一株純利益・配当は円
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
1
岡三にいがた県内企業レーティング情報
有沢製作所(5208東証1部)
好調に推移したが、パソコン需要の低迷でハードディスクやCPU向けの受注が減少し、売上高は117億91百万
円(前年同期比0.7%増)にとどまった。子会社のシンフレックスは台湾、中国のミドルレンジ向けに堅調
に推移し、前年同期比22.9%増収と会社計画並みとなった。
産業用構造材料は米大手航空機メーカー向けに航空機内装パネルの受注が好調だったことに加え、子会社
のプロテックが伸長したことで売上高は40億79百万円(同9.3%増)となった。電気絶縁材料は同社単体、
有沢樹脂ともに減収となったことで売上高は15億74百万円(同0.4%減)となった。ディスプレイ材料はカ
ラーリンク・ジャパンの売上高が当初計画を上回って伸長したことが寄与し、売上高は11億89百万円(同
19.1%増)となった。
<<FPC材料は2層材のシェアが拡大、今後は車載分野の拡大も>>
同社推計のFPC材料のメーカー別シェアをみると、3層材の
同社シェア(数量ベース)は11.7%と前年同期と比べてほぼ
横ばいであったが、2層材(数量ベース)で同社のシェアは前
年同期の17.9%から18.6%に拡大した。大手スマホメーカー
はハイエンド志向が強く、2層材は今後も好調を維持するとみ
られる。また、今後の需要取り込みに向けて設備投資を検討
しているようだ。
同社製のFPCの用途は全体の63.9%をスマートフォンやタブ
レットなどの携帯端末が占めており、携帯端末への依存度が
高まってきている。携帯端末は新しいタイプの投入が見込ま
【FPC材料のメーカー別シェア状況】
2層材 数量ベース
その他 21.3%
【前年27.9%】
N社 28.7%
【前年24.0%】
A社 7.6%
【前年3.3%】
T社 10.6%
【前年9.6%】
同社 18.6%
【前年17.9%】
D社 13.2%
【前年17.3%】
出所:会社資料より岡三にいがた証券作成
れることなどから今後は比率が更に高まるとみられるが、同社は事業ポートフォリオの分散を図るために車
載分野を意識した製品開発を進めていく方針。FPCの用途に占める車載分野の比率は2.9%にすぎないものの、
車載分野は成長余地が大きく、構成比率が高まることで収益性の向上に繋がることが期待されよう。
<<16年3月期の見通し>>
セグメント別1 6 年3 月期通期予想
( 単位: 百万円)
主力の電子材料の売上高・利益が当初計画よりも下
振れる見込みであることから、会社側は16年3月期通
期の見通しを下方修正した。プロテックが固定費削減
効果などで収益性が大幅に改善することで営業増益は
維持されると考えるが、持分法利益の減少と為替差損
を計上することで経常減益となる見通し。
電子材料はFPCが米国のハイエンドメーカー向けに
好調を維持するとみられるが、パソコン向けの需要は
苦戦が続く見通し。また、上期好調だったシンフレッ
クスは中国の景気減速の影響が下期から出てきており、
電子材料
ICGC
売上
セグメント利益
8/4予 10/29予 増減 8/4予 10/29予 増減
24,600
23,200 -1,400 2,950
2,730 -220
670
510 -160
(プリント基板用ガラスクロス)
PWBPP
630
580
-50
15,180
14,560
-620
8,120
7,550
-570
8,400
3,400
2,600
1,000
40,000
8,400
3,250
2,400
950
38,200
0
-150
-200
-50
(プリント基板用プリプレグ)
FPC
(フレキシブルプリント配線板材料)
シンフレックス
(フレキシブルプリント配線板材料)
産業用構造材料
電気絶縁材料
ディスプレイ材料
関連商品・他
合計
1,070
560
-240
190
4,530
1,100
510
-230
190
4,300
30
-50
10
0
出所:会社資料より岡三にいがた証券作成
取引先の資金繰りや不良債権などを考慮して選別受注を進めている。各社は健全な取引メーカーに受注が集
中する傾向にあることから、数量・価格とも下方圧力が強まっており、シンフレックスは下期減益に転じる
とみられる。
一方、航空機向けの好調で産業用構造材料は堅調に推移することが予想される。また、これまで苦戦が続
いてたディスプレイ材料はカラーリンク・ジャパンの伸長によって赤字幅は当初見込みより小幅に改善する
とみており、修正後の会社計画は達成可能と考える。
岡三にいがた証券では電子材料の下振れを反映し、16年3月期の業績見通しを売上高383億円(前期比1.8
増)、営業利益30億50百万円(同3.9%増)、経常利益39億10百万円(同13.1%減)、当期純利益29億60百
万円(同39.0%減)へ前回予想から変更する。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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岡三にいがた県内企業レーティング情報
レーティングの基準など
強 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上上回ると判断される銘柄
中 立:今後6ヵ月以内の目標株価と現在の株価の差が±10%未満と判断される銘柄
弱 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上下回ると判断される銘柄
目標株価の定義と未達成リスクについて
目標株価は、アナリストによる当該企業の業績予想を基に、マルチプル法やDCF法等の岡三にいがた証券
エクイティ情報部が妥当と考える方法により算出したもので、対象期間は6 ヵ月以内です。目標株価達成を
阻むリスク要因としては、当該企業の主要市場における競合状況(企業買収・訴訟なども含む)、製品・商品・
サービス需要の変動、原材料及び燃料価格の変動のほか、当該企業を取り巻く経済状況、為替相場の変動、
国内外の金融・不動産市場の状況、各種規制変更、事故・災害(人災含む)、社会的責任などが考えられま
す。なお、これらの要因以外にも、現時点で予想できないリスクが将来的に発生し、その結果として目標株価
達成が妨げられるおそれがあります。
本資料における個別銘柄に関する注記事項
・個別銘柄のレーティングについては、執筆アナリストの変更があった場合でも、岡三にいがた証券として
の個別銘柄のレーティングの継続性を保つため、前任者の付与したレーティングを「前回」レーティングと
して記載しています。
・株価は日付日の終値。年初来高値・安値は権利落ち修正後で、各取引所の立会市場の売買立会時
(前場・後場)における約定値段を用いています。
・上場市場は東京証券取引所の場合、記載せず、複数市場上場の場合は売買高の多い市場を記載して
います。
・時価総額など、特に日付を記していない場合は、個別銘柄の株価日付に同じです。
・PBRの根拠となるBPSは直近決算期末時点の会社公表数値を用いていますが、必要に応じて岡三にい
がた証券が算出しています。
・ROEの根拠となる自己資本は必要に応じて純資産から新株予約権と少数株主持分の金額を控除した金額
を用いています。
・予想EPSは当期利益(会社計画、前回予想を含む)を記載の発行済株式数で除して計算しています。なお、
払い込み前の公募、権利落ち前の株式分割等は考慮しておりません。
・時価総額は記載の株価と発行済株式数で計算しています。
・発行済株式数は自己株を含んでおりません。株式数は直近決算期末時点の会社公表数値を原則として用
いておりますが、株式分割、公募増資、自己株買入れなど必要に応じて岡三にいがた証券の推定による試
算値を用いる場合があります。
・日本基準の連結当期利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です(平成27 年4月1日以後開始する連
結会計年度の期首から適用)。
・米国会計基準の当期利益は、当社株主に帰属する当期純利益です。
・指定国際会計基準(IFRS)の当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益です。
(平成27年5月改訂)
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
岡三にいがた 県内企業ウオッチ38
銘柄コード 5208
東証 1部
エクイティ情報部
化学
(株)有沢製作所
≪会社概要≫
上越市に本社を置く。ガラス繊維が発祥。プリント基板向けの電子材料が主力。16年3月期第2四半期累計の
業績は増収増益となったものの、電子材料がパソコン需要の低迷などを背景に想定より伸びず、会社計画を下
回る着地となった。下期は航空機内装材などの産業用構造材料の好調がけん引役となる一方、電子材料が伸び
悩み、通期の営業利益は小幅増益にとどまるとみる。同社はFPCでの収益源の多様化に向けて成長余地の大きい
車載分野の製品開発を計画しており、今後の収益拡大に繋がることに期待したい。
≪週足チャート≫
776
現在値
13週移動平均線
1,250
11/05 (月/日)現在
円
26週移動平均線
①
②
1,150
1,050
950
850
④
750
650
月/日
10/24
10/03
08/22
08/01
07/11
06/20
05/30
05/09
04/18
03/28
03/07
02/14
01/24
01/03
12/13
11/22
11/01
10/11
09/20
08/30
08/09
07/19
06/28
06/07
09/12
③
550
〔テク二カルコメント〕
①(15年3月高値1,178円)を頂点として下落トレンドが続き、②(6月第2週)以降では13週移動平均線
が上値抵抗となっていた。しかし、9月第1週に下ヒゲを伴う大陽線が出現③、11月第1週には13週線を上
回り④底入れの兆しが出てきた。26週線を上回り13週線と26週線がゴールデンクロスするなど明確な上
昇トレンド入りを確認したい状況と言えよう。
〔参考指標〕
年初来高値
1,178 円
年初来安値
PER(会社予想)
9.35 倍
PBR(実績)
信用買い残
866 千株
貸借倍率
644 円
0.60 倍
9.38 倍
単元株数
100 株
ROE(実績)
11.03 %
発行済株式数
35,567 千株
最低購入代金
配当利回り
時価総額
77,600 円
4.51 %
27,600 百万円
〔業積推移〕
決算期
売上高
経常利益
2014/03
30,232
2,730
2015/03
37,589
4,503
2016/03
38,200
3,900
2016/03 は予想
単位:百万円
税引利益
4,106
4,859
2,950
EPS(円)
117.22
137.85
82.95
配当(円)
25
35
未定
〔株主優待情報〕
※株主優待は現在行っておりません。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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手数料およびリスクについての重要な注意事項
・ この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特
定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、過去の実績は必ずしも将来の成果
を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願
いします。
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失が生じるおそれがあります。また、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外
部評価の変化等により、株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
・ 本資料は、岡三にいがた証券が信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものです
が、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。企業が過去の業績を訂正する等により、
過去に言及した数値等を修正することがありますが、その責を負うものではありません。また、本資料に記
された意見や予測等は、資料作成時点での岡三にいがた証券の判断であり、今後予告なしに変更される
ことがあ ります。なお、本資料は、日本証券業協会「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」のアナ
リスト・レポートとして審査されたものです。
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約ください。
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下回った場合は2,700 円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律1.242%
(税込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払
いいただきます。
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的のいかんを問わず無断で本資料を複写、複製、配布することを禁じます。
岡三にいがた証券株式会社
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加入協会:日本証券業協会
(平成27年5月改訂)