ユニオンツール(6278)

岡三にいがた
レーティング情報
ユニオンツール(6278
東証1部)
2016年3月7日
今期は成長投資を加速、超硬エンドミルは第2の柱に
<<アナリストの視点>>
レーティング
中立
16年12月期は、昨年後半からの中国スマートフォン需要の減速の
影響が懸念される。一方で、自動車関連に加え、通信インフラ需
要は底堅く推移するとみられ、同社の高品質で豊富な品揃えは他
(強気 )
円 ( 03/03 )
社との差別化が図られよう。また、第2の柱として期待される超
硬エンドミルはここ数年間で10%以上の増収が継続しており、今
後もこれまでの自動車・航空機・金型に加え、医療用など幅広い
用途への拡大が見込まれる。
今期は、これまでの株主還元に加え、設備投資も積極的に行う方
針で、生産ラインの省力化などコスト削減効果が期待できよう。
年初来高値 =
4,380 円 ( 06/04 )
<<レーティングの根拠>>
年初来安値 =
2,151 円 ( 02/15 )
今期も、運転支援やIoT向けなどは底堅い需要が想定されるが、
目標株価
- 円 (前回:4,450 円)
株価 =
2,683
予想PER (連結) = 16.0 倍 ( 16/12 )
予想PER (連結) = 14.9 倍 ( 17/12 )
実績PBR (連結) = 0.93 倍
予想ROE (連結) =
5.7 %
時価総額
472 億円
発行済株式数
(除く自己株)
17,577 千株
<<上方修正後の会社計画は未達に>>
15年12月期から、決算期を11月から12月に変更しており、15年
12月期は13ヵ月の変則決算となっている。
15年12月期の連結決算で、売上高は251億15百万円となった。
上期には、国内を中心にPCBドリルがスマートフォンや自動車関
連の電子部品向けに伸びたことや、従来品より耐久性の高い新商
予想配当利回り = 1.86 %
品の販売が寄与した。一方で、下期は年央より中国経済やスマー
トフォン生産の減速の影響から、売上高は伸び悩んだ。
エクイティ情報部
利益面では、生産コストの低減による原価改善を行ったものの、
下期減速に伴い在庫調整による稼働率の低下などから、営業利益
は39億93百万円、経常利益は42億78百万円、投資有価証券売却益
7億58百万円を特別利益に計上したことで、当期純利益は35億71
百万円となり、第2四半期で上方修正した会社計画を下回っての
着地となった。
原田 俊介
<<業績推移>> 日本基準
決算期(年/月)
2013/11
2014/11
2015/12
会社
2016/12(予)
弊社前回
弊社今回
弊社前回
2017/12(予)
弊社今回
昨年後半からの中国経済減速やスマートフォンの生産動向を見極
める必要があろう。同社の直近1年間の平均PERが16.7倍であるこ
とを加味すると16年12月期予想PER16.0倍は妥当な水準と考え、
岡三にいがた証券ではレーティングを「強気」から「中立」に引
き下げる。
売上高
18,247
20,595
25,115
21,500
24,800
22,500
24,500
営業利益
1,938
3,065
3,993
3,600
4,470
3,800
4,100
経常利益
2,627
3,389
4,278
3,800
4,720
4,000
4,300
当期純利益
1,813
2,549
3,571
2,800
3,950
2,950
3,160
※15年12月期より決算期を11月から12月に変更したため、15年12月期は13か月の変則決算となる。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
一株純利益
88.55
129.99
194.83
161.37
222.16
167.83
179.78
一株配当金
32.00
36.00
55.00
50.00
55.00
50.00
50.00
単位:百万円、一株純利益・配当は円
1
岡三にいがた県内企業レーティング情報
ユニオンツール(6278東証1部)
<<仕向先別販売数量は、その他分野が拡大>>
仕向先別販売数量推移
仕向先別販売数量をみると、15年12月期は基地局とクラウド
用サーバ向けの需要が拡大したことで「その他」の販売数量の
割合が27%(前期:21%)へ大幅に拡大した。スマートフォン
の普及で通信会社の基地局が増加していることや、データのク
ラウド化によって基地局とクラウド用サーバの需要が高まって
いる。自動車関連の比率は前期と変わらずとなったが、運転支
援やIoT向けに販売は堅調に推移した。
一方、デジタル・モバイル機器は比率が低下した。デジタ
ル・モバイル機器は下期の中国市場のスマートフォン需要の減
速の影響を受けたようだ。
<<超硬エンドミルの売上が拡大>>
同社が第2の柱と位置付けている「超硬エンドミル」の売上
高は順調に拡大している。超硬エンドミルは、PCBドリルの製
造技術を応用したものであり、見た目はドリルに似ているが、
ドリルは先端の切れ刃(底刃)だけで穴をあける工具であるの
に対し、エンドミルは先端の切れ刃(底刃)とドリルにはない
外周の切れ刃(外周刃)で多様な形状加工が可能である。
同社の超硬エンドミルの特徴はPCBドリルと同様に小径サイ
ズのラインナップが充実していることに加え、独自開発のダイ
ヤモンド被膜によって従来できなかった超硬合金の金型加工が
容易となっている。今後も、同社の得意とする高品質品への需
要は堅調推移が見込まれ、今後も販売拡大が期待できよう。
(%)
その他
デジタル・モバイル機器
半導体PKG
車載関連
100
17
18
16
19
19
21
27
36
33
37
36
31
30
24
30
33
27
24
29
26
26
17
16
20
21
21
23
23
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
80
60
40
20
0
出所:会社資料より岡三にいがた証券作成
(百万円)
連結エンドミル売上高推移
5,000
4,661
中間
4,500
通期
4,000
3,473
3,500
3,078
3,000
2,447
2,378
2,500
1,928
2,000
1,500
1,429
1,170
1,210
2011年度
2012年度
1,630
1,000
500
<<今期は成長投資に重点>>
今期は、これまでの株主還元に加え、設備投資を積極的に行っ
ていく。PCBドリルなど設備省力化をすることでローコストライ
ンを推進していく。また、コーティング装置の増強など、将来を
見据えた成長投資を行うことで、今後の需要に備える。
株主還元については、普通配当ベースでは5円増配(15年12月
期は期末の特別配当10円を含む55円)の1株当たり50円を見込ん
でいる。手元資金が豊富にあることに加え、キャッシュ創出力が
安定向上していることから、今後も短期的なキャッシュフローの
状況を勘案し、自社株買いを行っていくようだ。
0
2013年度
2014年度
2015年度
出所:会社資料より岡三にいがた証券作成
2015年度通期は決算期変更の経過期間であり、参入月数が
他年度に比べ多くなっている
(百万円)
設備投資・研究開発費・減価償却費推移
4500
設備投資
4000
研究開発費
3500
2732
減価償却費
3000
2731
2417
2423
1033
1093
1375
1333
1463
1504
2013年度
2014年度
2015年度
2016年度
見通し
2328
2500
2000
1500
1968
1000
500
0
出所:会社資料より岡三にいがた証券作成
<<16年12月期見通し>>
16年12月期は、前期に続きPCBドリルは自動車関連の電子部品向けに、超硬エンドミルは携帯の基地局な
ど通信インフラ向けに堅調な需要が見込まれる。一方で、中国経済の減速やスマートフォン需要の動向は見
極める必要があろう。今期はPCBドリルの設備省力化や第2の柱として成長しているエンドミル向けに積極的
に投資していく方針であり、生産ラインの効率化により利益率の改善が図られよう。なお、16年通期の想定
為替レートは1ドル=115円に設定しており、1円の変動により年間の売上高で1億19百万円、営業利益で9百
万円の影響が見込まれる。
岡三にいがた証券では、足元の中国需要の減速を考慮し、売上高225億、営業利益38億、経常利益40億、
純利益29億50百万円と予想する。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
2
岡三にいがた県内企業レーティング情報
レーティングの基準など
強 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上上回ると判断される銘柄
中 立:今後6ヵ月以内の目標株価と現在の株価の差が±10%未満と判断される銘柄
弱 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上下回ると判断される銘柄
目標株価の定義と未達成リスクについて
目標株価は、アナリストによる当該企業の業績予想を基に、マルチプル法やDCF法等の岡三にいがた証券
エクイティ情報部が妥当と考える方法により算出したもので、対象期間は6 ヵ月以内です。目標株価達成を
阻むリスク要因としては、当該企業の主要市場における競合状況(企業買収・訴訟なども含む)、製品・商品・
サービス需要の変動、原材料及び燃料価格の変動のほか、当該企業を取り巻く経済状況、為替相場の変動、
国内外の金融・不動産市場の状況、各種規制変更、事故・災害(人災含む)、社会的責任などが考えられま
す。なお、これらの要因以外にも、現時点で予想できないリスクが将来的に発生し、その結果として目標株価
達成が妨げられるおそれがあります。
本資料における個別銘柄に関する注記事項
・個別銘柄のレーティングについては、執筆アナリストの変更があった場合でも、岡三にいがた証券として
の個別銘柄のレーティングの継続性を保つため、前任者の付与したレーティングを「前回」レーティングと
して記載しています。
・株価は日付日の終値。年初来高値・安値は権利落ち修正後で、各取引所の立会市場の売買立会時
(前場・後場)における約定値段を用いています。
・上場市場は東京証券取引所の場合、記載せず、複数市場上場の場合は売買高の多い市場を記載して
います。
・時価総額など、特に日付を記していない場合は、個別銘柄の株価日付に同じです。
・PBRの根拠となるBPSは直近決算期末時点の会社公表数値を用いていますが、必要に応じて岡三にい
がた証券が算出しています。
・ROEの根拠となる自己資本は必要に応じて純資産から新株予約権と少数株主持分の金額を控除した金額
を用いています。
・予想EPSは当期利益(会社計画、前回予想を含む)を記載の発行済株式数で除して計算しています。なお、
払い込み前の公募、権利落ち前の株式分割等は考慮しておりません。
・時価総額は記載の株価と発行済株式数で計算しています。
・発行済株式数は自己株を含んでおりません。株式数は直近決算期末時点の会社公表数値を原則として用
いておりますが、株式分割、公募増資、自己株買入れなど必要に応じて岡三にいがた証券の推定による試
算値を用いる場合があります。
・日本基準の連結当期利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です(平成27 年4月1日以後開始する連
結会計年度の期首から適用)。
・米国会計基準の当期利益は、当社株主に帰属する当期純利益です。
・指定国際会計基準(IFRS)の当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益です。
(平成27年5月改訂)
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
手数料およびリスクについての重要な注意事項
・ この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特
定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、過去の実績は必ずしも将来の成果
を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願
いします。
・ 株式は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による株価の変動によって損
失が生じるおそれがあります。また、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外
部評価の変化等により、株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
・ 本資料は、岡三にいがた証券が信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものです
が、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。企業が過去の業績を訂正する等により、
過去に言及した数値等を修正することがありますが、その責を負うものではありません。また、本資料に記
された意見や予測等は、資料作成時点での岡三にいがた証券の判断であり、今後予告なしに変更される
ことがあ ります。なお、本資料は、日本証券業協会「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」のアナ
リスト・レポートとして審査されたものです。
・ 岡三にいがた証券およびその関係会社、役職員が、本資料に記載されている証券もしくは金融商品につい
て、自己売買または委託売買取引を行う場合があります。
・ 自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがあり
ます。
・ 金融商品取引のご契約にあたっては、あらかじめ当該契約の「契約締結前書面」(もしくは目論見書及びそ
の補完書面)または「上場有価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、ご理解いただいたうえでご契
約ください。
・ 株式の売買取引には、約定代金(単価×数量)に対し、最大1.242%(税込み)(手数料金額が2,700 円を
下回った場合は2,700 円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律1.242%
(税込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払
いいただきます。
・ 本資料は岡三にいがた証券が発行するものです。本資料の著作権は岡三にいがた証券に帰属し、その目
的のいかんを問わず無断で本資料を複写、複製、配布することを禁じます。
岡三にいがた証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第169号
加入協会:日本証券業協会
(平成27年5月改訂)