北越紀州製紙(3865

岡三にいがた
県内企業レーティング情報
北越紀州製紙(3865
東証1部)
2015年12月18日
カナダのパルプ製造・販売会社の買収が業績に寄与へ
<<アナリストの視点>>
レーティング
中立
16年3月期第2四半期累計の業績は、洋紙の国内販売数量減を値上
げ効果や各種コストダウンなどによってカバーし、大幅営業増益
となった。下期も引き続き値上げ効果が寄与することで採算改善
(前回:中立 )
今後6カ月の目標株価
株価 =
が見込まれる。10月にカナダのパルプ製造・販売会社である
ALPACグループを買収しており、16年3月期業績にはALPACグルー
-円 (前回:- 円)
プの10-12月期の業績が寄与する見込みとなっている。主力の洋
紙は書籍やチラシの電子化などを背景に国内需要の減少が続くな
726
か、ALPACグループの販売ネットワークを生かして海外の販路拡
大に繋がるかどうか動向を見極めたい。
円 ( 12/16 )
年初来高値 =
864 円 ( 11/10 )
年初来安値 =
471 円 ( 01/13 )
<<レーティングの根拠>>
実績PBR (連結) = 0.82 倍
16年3月期はALPACグループの連結が業績を押し上げる要因となる
が、買収効果を加味した同社の16年3月期予想PER17.8倍は製紙大
手のPER水準と比較して特段の割安感はないといえる。現在の株
価水準は妥当と考え、レーティング「中立」を継続する。
予想ROE (連結) =
<<16年3月期第2四半期累計は値上げ効果で採算改善>>
予想PER (連結) = 17.8 倍 (
16/3 )
予想PER (連結) = 17.1 倍 (
17/3 )
時価総額
4.5 %
16年3月期第2四半期累計の業績は、洋紙の国内販売数量が減少
したものの、洋紙の値上げ効果やアジア向けの輸出販売数量の増
加により、売上高が1173億37百万円(前年同期比5.7%増)と
なった。
洋紙の価格修正効果や各種コストダウンによって円安に伴う原
燃料価格上昇の影響をカバーし、営業利益は34億96百万円(同
75.9%増)となった。前年同期にあった負ののれん償却額がなく
なったことや為替差損の計上などにより、経常利益は37億78百万
円(同5.7%増)となった。営業利益の増加に伴う税金費用の負
1,367 億円
発行済株式数 188,335 千株
(除く自己株)
予想配当利回り = 1.65 %
エクイティ情報部
担増などにより、四半期純利益は22億62百万円(同17.6%減)と
なった。
主力の紙パルプ事業の売上高は1031億34百万円(同6.2%増)、
営業利益は27億12百万円(同135.9%増)となった。書籍やチラ
仲野 惠理佳
<<業績推移>> 日本基準
決算期(年/月)
2013/03
2014/03
2015/03
会社
2016/03(予)
弊社前回
弊社今回
弊社前回
2017/03(予)
弊社今回
売上高
208,280
223,864
228,400
242,000
246,200
247,100
254,000
279,100
営業利益
3,657
3,307
6,139
9,000
9,100
9,500
9,400
11,700
経常利益
10,516
8,480
11,462
11,500
11,700
12,050
12,100
12,900
当期純利益
8,169
6,105
8,359
6,500
6,610
7,680
6,800
8,000
一株純利益
40.08
30.54
44.39
34.51
35.10
40.78
36.11
42.48
一株配当金
12.00
12.00
12.00
12.00
12.00
12.00
12.00
12.00
単位:百万円、一株純利益・配当は円
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
1
岡三にいがた県内企業レーティング情報
北越紀州製紙(3865東証1部)
シの電子化などを背景に洋紙の国内需要が減少したことで販売数量は686千トン(同1.2%減)となった一
方、印刷用紙などの値上げによって単価が105.14円/kg(前年同期は100.73円/kg)に上昇したことで販売
金額は721億27百万円(同3.1%増)となった。板紙は単価が113.06円/kg(同111.49円/kg)に上昇したも
のの、販売数量減を補えず、販売金額は169億69百万円(同2.2%減)となった。紙パルプ事業その他は、
年初から中国で始めた白板紙の量産が寄与し、販売金額は140億38百万円(同42.7%増)となった。
パッケージング・紙加工事業は事業環境が依然として厳しいなか、内部努力が奏功し、販売金額は103
億80百円(同2.4%増)となった。
2016年3月期第2四半期経常利益 対前年増減要因
マイナス要因(▲39億円)
2016年3月期第2四半期連結販売実績
プラス要因(+41億円)
2016/3期
第2四半期
32
販売価格差
▲2
原燃料価格差
2
効率向上
7
固定費
▲4
販管費
連結要因
▲ 13
営業外収支
▲ 13
(億円)
洋紙
板紙
紙計
紙パルプ事業
その他
紙パルプ事業
合計
パッケージング・
紙加工事業
その他
合計
▲7
生産・販売
▲ 20
▲ 10
0
10
20
30
会社資料より岡三にいがた証券作成
前年同期差異
数量
単価
金額
数量 単価
金額
千トン 円/kg 百万円 千トン 円/kg 百万円
686 105.14 72,127 ▲ 8
4.41 2,200
150 113.06 16,969 ▲ 5
1.57 ▲ 376
836 106.56 89,096 ▲ 14 3.86 1,824
14,038
4,198
103,134
6,022
10,380
245
3,822
117,337
41
6,308
40
会社資料より岡三にいがた証券作成
<<カナダのパルプ会社を完全子会社化>>
同社は10月22日にカナダのパルプ製造会社であるAlpac Forest Products Inc.(AFPI)及び販売会社
であるAlpac Pulp Sales Inc.(APSI)の全株式を取得し、完全子会社化した。ALPACグループは北米向
け6割、アジア向け4割のグローバルな販売ネットワークを有しており、ALPACグループの販売ネットワー
クを生かしてアジアや北米へ同社製品の販路拡大に繋がるかが注目される。
<<16年3月期の見通し>>
上期は値上げによる採算改善が寄与したことで全体で大幅増益となったものの、期初計画に対しては未
達となった。また、洋紙のアジア向けの輸出量は内需減をカバーする形で上期に伸びたが、各社の輸出攻
勢によって輸出価格が下落しており、会社目標には届いていないようだ。下期は引き続き値上げ後の価格
を維持する一方、洋紙・板紙ともに国内販売数量が減少することで販売数量は2%程度落ち込むと予想する。
今年1月から本格稼働した中国の白板紙事業は量産効果が売上高に寄与するものの、中国国内は競争激化
により事業環境が厳しく、下期も営業赤字が続く見込み。会社側は需要に見合った生産体制を整備するこ
とや、操業の安定化を図ることで次年度以降の黒字化を目指す方針。
利益面では、洋紙の輸出採算改善や値上げ効果に加え、主力の新潟県の工場などで生産効率化に取り組む
ことによって大幅増益を見込む。円安進行は原燃料の輸入調達コストの増加要因となるため利益を押し下げ
るが、会社側は通期の想定為替レートを1ドル=124円と想定しており、足元の為替水準は会社計画の範囲内
であろう。
16年3月期の通期業績にはALPACグループの第4四半期(15年10~12月期)の損益を連結する予定となって
おり、追加の増益要因となる見込み。会社側は通期業績見通しを変更していないが、買収の影響を精査して
公表するとしている。岡三にいがた証券では買収効果を加味して業績予想を修正し、売上高2471億円(前期
比8.1%増)、営業利益95億円(同54.7%増)、経常利益120億50百万円(同5.1%増)、当期純利益76億80
百万円(8.1%減)と前回予想から変更する。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
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岡三にいがた県内企業レーティング情報
レーティングの基準など
強 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上上回ると判断される銘柄
中 立:今後6ヵ月以内の目標株価と現在の株価の差が±10%未満と判断される銘柄
弱 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上下回ると判断される銘柄
目標株価の定義と未達成リスクについて
目標株価は、アナリストによる当該企業の業績予想を基に、マルチプル法やDCF法等の岡三にいがた証券
エクイティ情報部が妥当と考える方法により算出したもので、対象期間は6 ヵ月以内です。目標株価達成を
阻むリスク要因としては、当該企業の主要市場における競合状況(企業買収・訴訟なども含む)、製品・商品・
サービス需要の変動、原材料及び燃料価格の変動のほか、当該企業を取り巻く経済状況、為替相場の変動、
国内外の金融・不動産市場の状況、各種規制変更、事故・災害(人災含む)、社会的責任などが考えられま
す。なお、これらの要因以外にも、現時点で予想できないリスクが将来的に発生し、その結果として目標株価
達成が妨げられるおそれがあります。
本資料における個別銘柄に関する注記事項
・個別銘柄のレーティングについては、執筆アナリストの変更があった場合でも、岡三にいがた証券として
の個別銘柄のレーティングの継続性を保つため、前任者の付与したレーティングを「前回」レーティングと
して記載しています。
・株価は日付日の終値。年初来高値・安値は権利落ち修正後で、各取引所の立会市場の売買立会時
(前場・後場)における約定値段を用いています。
・上場市場は東京証券取引所の場合、記載せず、複数市場上場の場合は売買高の多い市場を記載して
います。
・時価総額など、特に日付を記していない場合は、個別銘柄の株価日付に同じです。
・PBRの根拠となるBPSは直近決算期末時点の会社公表数値を用いていますが、必要に応じて岡三にい
がた証券が算出しています。
・ROEの根拠となる自己資本は必要に応じて純資産から新株予約権と少数株主持分の金額を控除した金額
を用いています。
・予想EPSは当期利益(会社計画、前回予想を含む)を記載の発行済株式数で除して計算しています。なお、
払い込み前の公募、権利落ち前の株式分割等は考慮しておりません。
・時価総額は記載の株価と発行済株式数で計算しています。
・発行済株式数は自己株を含んでおりません。株式数は直近決算期末時点の会社公表数値を原則として用
いておりますが、株式分割、公募増資、自己株買入れなど必要に応じて岡三にいがた証券の推定による試
算値を用いる場合があります。
・日本基準の連結当期利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です(平成27 年4月1日以後開始する連
結会計年度の期首から適用)。
・米国会計基準の当期利益は、当社株主に帰属する当期純利益です。
・指定国際会計基準(IFRS)の当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益です。
(平成27年5月改訂)
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
岡三にいがた 県内企業ウオッチ38
銘柄コード 3865
東証 1部
エクイティ情報部
パルプ・紙
北越紀州製紙(株)
≪会社概要≫
中堅総合製紙会社。紙パルプ事業が主力。16年3月期第2四半期累計の業績は、洋紙の国内販売数量減を値上
げ効果や各種コストダウンなどでカバーし、大幅営業増益となった。下期も引き続き値上げ効果が寄与し採算
改善が見込まれる。10月にカナダのALPACグループを買収しており、16年3月期の業績には同社の10-12月期の業
績が寄与する見込み。主力の洋紙は書籍やチラシの電子化などを背景に国内需要の減少が続くなか、ALPACグ
ループの販売ネットワークを生かして海外の販路拡大に繋がるかどうか動向を見極めたい。
≪週足チャート≫
716
現在値
13週移動平均線
12/15 (月/日)現在
円
26週移動平均線
900
800
700
⑤
④
600
②
400
⑥
③
500
12/05
11/14
10/24
10/03
09/12
08/22
08/01
07/11
06/20
05/30
05/09
04/18
03/28
03/07
02/14
2
0
1
5
年
01/24
01/03
12/13
11/22
11/01
10/11
09/20
08/30
08/09
07/19
2
0
1
4
年
月/日
①
300
〔テク二カルコメント〕
①(14年10月安値399円)、②(15年1月安値471円)、③(3月安値535円)、④(10月安値635円)と
下値を切り上げているものの、④に続き、⑤直近で13週、26週の両移動平均線下回ってきており、上昇
トレンドの継続に疑問が出ている。⑥(9月の第4週)の時のように、早急に両移動平均線を上回ること
ができればトレンド継続となるが、両線を回復できなければ13週線と26週線のデッドクロスなどトレン
ド転換のサインが出る可能性がある為、様子を見たい。
〔参考指標〕
年初来高値
864 円
年初来安値
PER(会社予想) 20.75 倍
PBR(実績)
信用買い残
貸借倍率
127 千株
471 円
0.81 倍
0.31 倍
単元株数
100 株
ROE(実績)
5.15 %
発行済株式数
最低購入代金
配当利回り
209,263 千株
時価総額
71,600 円
1.68 %
149,833 百万円
〔業積推移〕
決算期
売上高
経常利益
2014/03
223,864
8,480
2015/03
228,400
11,462
2016/03
242,000
11,500
2016/03 は予想
単位:百万円
税引利益
6,105
8,359
6,500
EPS(円)
30.54
44.39
34.51
配当(円)
12
12
12
データ出所:Astra
〔株主優待情報〕
※株主優待は現在行っておりません。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
4
手数料およびリスクについての重要な注意事項
・ この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特
定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、過去の実績は必ずしも将来の成果
を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願
いします。
・ 株式は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による株価の変動によって損
失が生じるおそれがあります。また、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外
部評価の変化等により、株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
・ 本資料は、岡三にいがた証券が信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものです
が、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。企業が過去の業績を訂正する等により、
過去に言及した数値等を修正することがありますが、その責を負うものではありません。また、本資料に記
された意見や予測等は、資料作成時点での岡三にいがた証券の判断であり、今後予告なしに変更される
ことがあ ります。なお、本資料は、日本証券業協会「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」のアナ
リスト・レポートとして審査されたものです。
・ 岡三にいがた証券およびその関係会社、役職員が、本資料に記載されている証券もしくは金融商品につい
て、自己売買または委託売買取引を行う場合があります。
・ 自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがあり
ます。
・ 金融商品取引のご契約にあたっては、あらかじめ当該契約の「契約締結前書面」(もしくは目論見書及びそ
の補完書面)または「上場有価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、ご理解いただいたうえでご契
約ください。
・ 株式の売買取引には、約定代金(単価×数量)に対し、最大1.242%(税込み)(手数料金額が2,700 円を
下回った場合は2,700 円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律1.242%
(税込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払
いいただきます。
・ 本資料は岡三にいがた証券が発行するものです。本資料の著作権は岡三にいがた証券に帰属し、その目
的のいかんを問わず無断で本資料を複写、複製、配布することを禁じます。
岡三にいがた証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第169号
加入協会:日本証券業協会
(平成27年5月改訂)