EtAlCl2 と塩基による二酸化炭素を用いた アルケン類の脱水素

第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨
EtAlCl2 と塩基による二酸化炭素を用いた
アルケン類の脱水素カルボキシル化
EtAlCl2/Base-mediated dehydrogenative carboxylation of alkenes
with carbon dioxide
田中信也,渡辺稿太,服部徹太郎(東北大院工)
二酸化炭素を固定化してカルボン酸へと変換する合成反応の開発は,グリーンサスティナブルケ
ミストリーにおける重要な研究課題の一つである.我々は,これまでに Lewis 酸による CO2 を用い
た芳香族およびヘテロ芳香族化合物のカルボキシル化反応を開発してきた 1,2).この手法をアルケ
ン類へ適用することは,強 Lewis 酸性に起因する基質の分解や重合のために困難であったが,ごく
最近,Lewis 酸とともに R3SiH を用いることでアルケン類をヒドロカルボキシル化することに成功
した 3).この反応は,求電子試薬がアルケンに付加して生じたカチオン中間体を R3SiH で捕捉する
ことにより付加型で進行するが,カチオン隣接位の水素を塩基で引き抜くことができれば,置換型
の反応が実現できると考えた.本研究では,これを可能にする塩基を見出し,種々のアルケン類か
ら不飽和カルボン酸を合成する手法を開発した.
本反応を達成するためには,Lewis 酸を失活させることなくプロトンを引き抜ける塩基が必要で
ある.我々は塩基性度とかさ高さに着目して種々の塩基を探索した.その結果,EtAlCl2 と 2,6-ジブ
ロモピリジンの組み合わせを用いると良好な収率でカルボン酸が得られることを見出した.本手法
は,末端・内部両方の-アリールアルケンに適用できた.さらに,環状アリールアルケンであるイ
ンデンやジヒドロナフタレンに対しても有効であった.
<参考文献>
1)Nemoto, K.; Yoshida, H.; Egusa, N.; Onozawa, S.; Morohashi, N.; Hattori, T. J. Org. Chem. 2010,
75, 7855.
2)Nemoto, K.; Onozawa, S.; Egusa, N.; Morohashi, N.; Hattori, T. Tetrahedron Lett. 2009, 50, 4512.
3)Tanaka, S.; Tanaka, Y.; Chiba, M.; Hattori, T. Manuscript submitted.
発表者紹介
氏名
田中信也(たなかしんや)
所属
東北大学大学院工学研究科 バイオ工学専攻
生体分子化学講座 応用有機合成化学分野
職
助教
研究室
服部研究室