Lewis 塩基触媒を利用した位置選択的環化反応の開発と 生物活性天然

第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨
Lewis 塩基触媒を利用した位置選択的環化反応の開発と
生物活性天然物の合成研究
Lewis Base-Catalyzed Regioselective Cyclization of o-Alkynoylphenol
Derivatives and Synthetic Application of Bioactive Natural Products
齋藤虹矢, 吉田将人, 土井隆行(東北大院薬)
フラボノイド類は抗腫瘍活性や抗菌活性など多種多様な生物活性を示し, 医薬品としての展開
が期待される. 現在までに様々な合成法が報告されているが, その中でもアルキノイルフェノール
1 を出発物とする合成法は, 環化の位置選択性を制御することができれば様々なフラボノイド類を
選択的に得ることができるため, 効率的な合成法と考えられる. しかし, 一般的に 6-endo 環化に加
え 5-exo 環化も進行することで混合物を与えるため, この環化反応の制御が課題であった.
先に我々は 1 に対し, 触媒量のジメチルアミノピリジン(DMAP)を作用させることで位置選択的
に 6-endo 環化が進行することを見出し, フラボン 2 が高収率で得られることを報告している.1) 一
方 1 に対し, EtOH 溶媒中トリブチルホスフィン(PBu3)を作用させると, 5-exo 選択的に環化が進行す
ることでオーロン 3 が高収率で得られることが分かり, 用いる Lewis 塩基を変えることで環化の位
置選択性を制御できることが分かった.2) また, フェノール性水酸基にアシル基を導入した基質に
ついて, DMF 溶媒中 9-azajulolizine(9-AJ), または toluene 溶媒中 PBu3 を作用させると 3-アシルフラ
ボン 4 を高選択的かつ高収率で得られることを見出した.3) 以上より, 1 に対する 6-endo 環化と 5-exo
環化を Lewis 塩基触媒によって制御することで, フラボノイド類の多様性指向型合成に成功した.
本発表では抗菌活性を示す frutinone 類の合成 4)と, 酸素を窒素に置き換えることで医薬品の中心骨
格として用いられるキノロン類の合成にも成功したので合わせて報告する.
<参考文献>
1) Yoshida, M.; Fujino, Y.; Saito, K.; Doi, T. Tetrahedron 2011, 67, 9993.
2) Saito, K.; Yoshida, M.; Doi, T. Chem. Lett. 2015, 44, 141.
3) Yoshida, M.; Saito, K.; Fujino, Y.; Doi, T. Chem. Commun. 2012, 48, 11796.
4) Yoshida, M.; Saito, K.; Fujino, Y.; Doi, T. Tetrahedron 2014, 21, 3452.
発表者紹介
氏名
齋藤虹矢(さいとう こうや)
所属
東北大院薬
学年
博士後期課程 2 年
研究室
反応制御化学分野(土井研究室)
分子薬科学専攻