2015/6/18/No.10 解析学序論 I・自習シート 定義 学籍番号 名前 微分して f (x) になる関数を f (x) の原始関数といい ∫ f (x)dx とかく. 一般に F (x) を f (x) の原始関数の 1 つとすると, 定数 C を加えた関数も f (x) の原始関数となり ∫ f (x)dx = F (x) + C とかける. 問 1 次の計算をせよ. ∫ √ 5 (1) x dx ∫ √ 5 x dx = = ∫ (2) ∫ 1 x 5 dx 5 6 x5 + C 6 (以下, C は積分定数) sin3 x cos x dx 置換積分 g = g(x) とおくとき, g が C 1 級ならば ∫ ∫ 0 f (g(x))g (x)dx = f (g)dg 実際, f (g) の原始関数の一つを F (g) とおくと, F 0 (g) = f (g) で, F (g(x)) を x に ついて微分すれば, d dF dg F (g(x)) = (g(x)) (x) dx dg dx 0 = f (g(x))g (x) よって, ∫ ∫ ∫ dg 0 f (g(x))g (x)dx = f (g(x)) (x)dx = F (g(x)) = F (g) = f (g)dg dx g = sin x とおくと, g 0 = dg/dx = cos x で ∫ ∫ dg 3 sin x cos x dx = g 3 dx dx ∫ = g 3 dg 1 4 g +C 4 1 4 = sin x + C 4 = 提出する場合は、解答例を参考にして自分で採点をしておくこと。提出しなくても試験で 60 点以上取れば合格です。 ∫ (3) √ 2x x2 + 1 dx g = x2 + 1 とおくと, g 0 = dg/dx = 2x で ∫ ∫ √ √ dg g 2x x2 + 1 dx = dx dx ∫ 1 = g 2 dg 2 3 g2 + C 3 √ 2 2 = (x + 1) x2 + 1 + C 3 = ∫ (4) x2 e2x dx ∫ 部分積分 ∫ 0 f (x)g (x)dx = f (x)g(x) − f 0 (x)g(x)dx 実際, {f (x)g(x)}0 = f 0 (x)g(x) − f (x)g 0 (x) より ∫ f (x)g(x) = {f (x)g(x)}0 dx ∫ ∫ 0 = f (x)g(x)dx − f (x)g 0 (x)dx よって, ∫ ∫ 0 f (x)g (x)dx = f (x)g(x) − ∫ ∫ 2 2x xe dx = = = = = = = f 0 (x)g(x)dx 1 x2 ( e2x )0 dx 2 ∫ 2x 1 2e x − (x2 )0 e2x dx 2 2 ∫ 2 2x xe − xe2x dx 2 ∫ x2 e2x 1 − x( e2x )0 dx 2 2 { 2x ∫ } 2 2x e xe 0 1 2x − x − (x) e dx 2 2 2 ∫ 2 2x 2x xe xe 1 2x − + e dx 2 2 2 e2x (2x2 − 2x + 1) 4 ∫ (5) tan x dx g = cos x とおくと, g 0 = dg/dx = − sin x で ∫ ∫ sin x tan x dx = dx cos x ∫ −1 = (− sin x)dx cos x ∫ −1 dg dx = g dx ∫ 1 = − dg g = − log |g| + C = − log | cos x| + C ∫ f 0 (x) dx = log |f (x)| + C f (x) ∫ (6) 1 dx 1 − x2 1 1 1 1 2 2 = = + より 1 − x2 (1 + x)(1 − x) 1+x 1−x ∫ ∫ 1 1 1 2 2 dx = + dx 1 − x2 1+x 1−x ∫ ∫ 1 1 1 1 = dx + dx 2 1+x 2 1−x 1 1 = log |1 + x| − log |1 − x| + C 2 2 1 + x 1 +C = log 2 1 − x ∫ (7) log x dx ∫ ∫ (x)0 log x ∫ = x log x − ∫ = x log x − ∫ = x log x − log x dx = dx x(log x)0 dx 1 x dx x dx = x log x − x + C 一般に F (x) が f (x) の原始関数ならば, C 0 = 0 より F (x) + C も f (x) の原始関数とな る. しかし f (x) の原始関数が F (x) + C で全て網羅されているかどうかはまだ分からな い. y = cos x の原始関数は y = sin x + C だけだろうか. y = sin x + C とは全く異なる, ま だ我々の知らない何か別の関数があって, 微分したら y = cos x になるかもしれない. しか し, そのようなことはなく, f (x) の原始関数どうしの違いは定数だけであることを示して いく. 問 2 f : [a, b] → R, f は (a, b) 上で微分可能とする. このとき f 0 (x) = 0 (∀ x ∈ (a, b)) なら ば f は定数関数であること示せ∗ . ∀ x ∈ (a, b] とする. Cauchy の平均値の定理を f (x) と g(x) = x について [a, x] 上で利 用すると, g 0 (x) = 1 より ∃ c ∈ (a, x) s.t. 証明 f 0 (c) f (x) − f (a) = . x−a 1 よって, 常に f 0 (x) = 0 ならば f 0 (c) = 0 より f (x) − f (a) = 0, f (x) = f (a). 一方 x = a のときにはすでに f (x) = f (a) であるので, 以上により f (x) = f (a) (∀ x ∈ [a, b]). 2 これは f は定数関数であることを意味する. 問 3 F1 (x) と F2 (x) をそれぞれ f (x) の任意の原始関数とする. このとき F1 と F2 の差は 高々定数である† ことを示せ. 証明 F1 − F2 が定数関数であることを示す. 原始関数の定義より F10 (x) = f (x), F20 (x) = f (x) (∀ x ∈ [a, b]), であるので {F1 (x) − F2 (x)}0 = F10 (x) − F20 (x) = f (x) − f (x) = 0 (∀ x ∈ [a, b]). よって問 1 より関数 F1 − F2 は定数関数である, すなわち ∃ C ∈ R s.t. F1 (x) − F2 (x) = C, F1 (x) = F2 (x) + C (∀ x ∈ [a, b]). つまり F1 と F2 の差は高々定数である. 2 これにより先の問題は解決される. すなわち y = cos x の原始関数の 1 つが y = sin x であ る以上, 他の原始関数は形は違うかもしれないが本質的には y = sin x + C だけである. つ まり, もし何か謎の関数 y = X(x) を微分すると, X 0 (x) = cos x となったならば, y = X(x) の表現がどのようになっているかに関わらず, それは X(x) = sin x + C とかけることが証 明された. ∗∀ x ∈ [a, b] について, Cauchy の平均値の定理を f (x) と g(x) = x について [a, x] 上で利用せよ. † 違いがあってもその差は定数という意味.
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