年頭所感 経済産業省中国四国産業保安監督部長 内田 富雄 平成27年

年頭所感
経済産業省中国四国産業保安監督部長
内田
富雄
平成27年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
旧年中は、産業保安行政の推進に対しご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございま
した。本年も同様なご厚誼方、お願い申し上げます。
昨年は、8 月 20 日に広島市北部の安佐北区や安佐南区などにおいて集中豪雨による大規
模な土砂災害が発生し、多くの尊い命が喪われました。謹んでお悔やみを申し上げるとと
もに、ご冥福をお祈りいたします。また、上記の土砂災害等夏場の自然災害に加え、昨年
2月、12月の大雪など冬場の自然災害も増加するなど自然の脅威、それに対する対応の
必要性を痛感する一年でした。
中国地域の産業部門に目を向けますと、社会的に大規模な影響を与える事故は発生して
いないものの、依然、感電事故、波及事故、漏えい、火災、転落などが後を絶たない状況
で、特に感電事故については、一昨年に引き続き人命に関わる重大な案件が発生したほか、
コンビナートにおける異常現象発生件数も過去最多に迫るなど、憂慮すべき事態と考えて
おります。
産業保安を確保するため、行政としましても立入検査による保安状況の確認、事故・災
害発生時の情報収集・原因究明、再発防止策の水平展開により類似災害の防止に努めます
が、一方で、各事業場の皆様による自主保安体制の強化、コンプライアンス遵守の徹底が
非常に重要です。各事業場の皆様のご協力をいただきながら、社会や顧客に安全・安心を
与える産業保安の推進を目指す所存です。
私ども中国四国産業保安監督部は、国民の皆様の御期待・御意見に誠実に対応し、私ど
もに与えられた使命「国民の安全の確保と環境の保全」を確実に実行していくため、「強い
使命感」「科学的・合理的な判断」「業務執行の透明性」「中立性・公正性」を行動規範とし
て、それぞれの分野において次のとおり取り組んで参ります。
第一は「電気の安全確保」についてです。昨年発生した中国管内小学校での児童の感電
負傷事故は、電線接続部の不適切な処理により通電している部分が露出していたことが原
因である可能性が高いと考えられます。このような事象は他にも潜在する懸念があるため、
類似の感電事故防止に努めます。
また、電力の安定供給と公共の安全を確保するために、本年も電気事業法及び電気工事
業法に基づく立入検査を計画的・機動的に実施し、電気工作物の設置者や電気工事業者に
対して、事故の未然防止、技術基準への適合及び自主保安体制の確立について指導を行い
ます。そして、不適切な保安管理や電気主任技術者の未選任等の法令違反に対しては、厳
正に対処します。
第二は「都市ガス及びLPガスの保安確保」についてです。都市ガスの経年埋設内管対
策は、腐食・地震等によるガス漏えいを防ぐための重要な課題です。特に、保安上重要な
建物にかかる経年埋設内管対策については、4大ガス事業者は 2015 年度までの完了、他の
ガス事業者は可能な限り 2015 年度までの完了を目標にしているところであり、取替が着実
に進むよう、より積極的に指導・支援を継続します。併せて、事業者の自主保安体制の徹
底・定着を推進します。
また、LPガスでは保安アドバイザー制度について、各県等との連携を図るなどして、
より円滑かつ効率的に実施できるよう支援します。
第三は「火薬類及び高圧ガス等の保安確保並びにコンビナート災害防止の推進」につい
てです。昨今、増加傾向にある事故・災害の発生に対し、再発防止対策の徹底を図ります。
特に、コンビナートについては、近年の石油コンビナート等における重大事故の発生を踏
まえ、昨年2月に内閣官房主催の下、総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省が参加する
「石油コンビナート等における災害防止検討関係省庁連絡会議」が設置され、5月には重
大事故の発生防止に向けて事業者や業界団体が取り組むべき事項等について報告書がとり
まとめられました。当部としても異常現象が増加している事もあり、提言の内容を踏まえ、
引き続き、関係企業、関係保安団体、関係行政機関との連携を密にし、事故防止対策の徹
底を図ります。併せて、南海トラフ地震等に備えてのプラント、配管、建物、地盤等の耐
震化及び老朽化対策も推進して参ります。
第四は、「鉱山の保安確保」についてです。本年は平成25年度からスタートした第12
次鉱業労働災害防止計画の中間年に当たります。同計画で定めたとおり、鉱山災害の発生
を防ぐためには、各鉱山がそれぞれの実情に即した鉱山保安マネジメントシステムを構築
し、PDCAサイクルを循環させることにより、その有効化を図ることが重要です。当部
におきましては、鉱山保安マネジメントシステムについて、ガイドブック等を活用して具
体的な実施方法や優良事例の情報提供を推進すると共に、各鉱山の自主的な取組状況に応
じた指導又は支援を行って参ります。
休廃止鉱山対策として、まず、休閉山対策については、鉱業権者に対し着実な鉱害等防
止措置を指導します。また、休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金事業については、補助事
業者である地元自治体等と連携し実効ある形で執行していきます。
以上、新春を迎えるにあたり所信の一端を述べさせていただきましたが、近年は大規模
な自然災害も発生しており、災害事故時等における迅速な対応がより重要となっておりま
す。中国四国産業保安監督部では、関係企業や関連保安団体との連携はもとより地方自治
体等との連携を密にし、地域住民の皆様が安全で安心して生活できる環境形成に貢献して
いきたいと考えております。
最後に、本年も引き続き産業保安の確保と無事故・無災害の継続、そして皆様のますま
すのご発展を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。皆様、「御安全」に。