平成 26 年度「土砂災害防止に関する絵画・作文」作文中学生の部 優秀賞(事務次官賞) 「土砂災害にどう立ち向かうのか」 たかはし ゆ うひ 静岡県 静岡市立清水庵原中学校 3年 高橋 勇斐 僕の住んでいる静岡県は、世界文化遺産に登録された富士山や三保の松原があります。その他に も、きれいな山や海が見られる場所がたくさんあり、自然に恵まれた県です。 しかし、その反面土砂災害が起こりやすい県でもあります。昔から地震や台風などの影響で多く の被害を受けています。特に清水区の由比という場所では、記録が残っているだけで 40 回もの土 砂災害が起こっていて、どれも深刻な被害を受けています。ここでは、特に被害が大きかった「寺 尾地すべり」、「七夕豪雨土砂災害」の2つを紹介します。 まずは、昭和 36 年3月に発生した「寺尾地すべり」についてです。東京ドームを埋め尽くすほ どの大量の土砂が押し寄せ、当時の日本の大動脈である国道1号、東海道本線が埋まってしまいま した。 2つ目は、静岡市では有名な昭和 49 年7月7日に発生した「七夕豪雨土砂災害」についてです。 台風8号による大雨で、土砂災害以外でも川の氾濫により、静岡市が水没するという被害もありま した。この大雨により、地盤がゆるんだ山が崩れてしまいました。被害は、人家が全半壊、東海道 本線7日間不通、国道1号 23 日不通など、交通網が土砂で埋まってしまいました。この七夕豪雨 で、死者 23 人、負傷者 28 人にのぼりました。 この2つの土砂災害を調べて、いつ山が崩れてくるということが、分からないことが本当の怖さ だと思いました。現在も続いていることだから人ごとではないということを忘れないでいたいです 。 さて、その大きな土砂災害から約 40 年たった今、土砂災害を防止するための設備、たとえ起こ ってしまっても被害を最小限に抑えるための設備があらゆるところにあるのをよく見かけます。こ のような設備だけではなく、インターネットやハザードマップなどでも土石流や急傾斜地の崩壊の 「特別警戒区域」 、 「警戒区域」など細かな情報を見ることができます。実際、僕が住んでいる家の 裏山の情報も見ることができました。このように住民に情報が提供されていることは良いことでど こが危ないのかがよく分かって良いことだと思いました。 しかし、情報だけでは実際に土砂災害が起こった時にパニックになってしまうと思いました。静 岡県は東海地震が心配されているため主に行われるのは、地震や津波の避難訓練です。それも大事 な訓練だと思うけれど、たくさんの情報が分かっているなら、少しでも土砂災害の避難訓練を行っ てほしいと思いました。そうすれば、人的被害を最小限に抑えることができると思います。 そして、最近テレビのニュースをみてよく思うことがたくさんあります。それは、大雨や台風が 起きると毎年のようにいつまでも同じような被害が発生していることです。土砂災害を防ぐための 設備は、砂防ダムや土砂の流出を防ぐさくなどたくさんあります。しかしその設備があるから「安 全」と思い込んでしまって避難が不十分だったり逃げおくれてしまったりして毎年多くの死傷者が 出ています。気象庁や市役所などが必死に呼びかけているのになかなか避難しない人や「自分だけ は大丈夫」と考えている人がたくさん亡くなっています。 このように、過去に何回も同じような被害を経験しているのにまた同じことを繰り返すのは、地 震と同じで「災害は忘れた頃にやってくる」ということです。過去に経験した人々がいなくなり、 次の世代になった時また同じ被害を受けてしまうと思います。 そして、繰り返し同じ被害を起こさないためにどこかで教訓を生かさなければなりません。しか し、それを生かすのは、気象庁や市役所の人たちだけではなく、日本に住んでいる人たちだと思い ます。たとえ土砂災害が起こってしまったとしても自分たちの命を守るのは自分です。どう対処す るのかを決めるのも自分です。災害に立ち向かう主役は国民全員だと思います。
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