所属:岐阜工業高等専門学校 電子制御工学科 研究タイトル:Si 上鉄シリサイド薄膜の固相成長法に関する研究 氏名: 職名: 籾山 克章 助教 E-mail: [email protected] 学位: 工学修士 所属学会・協会: 応用物理学会 キーワード: 固相成長法、半導体評価技術 技術相談 提供可能技術: ・蒸着による薄膜形成法について ・半導体の性能評価技術一般について ・ 研究内容: 提供可能な設備・機器: 記録計 LCR メーター β -FeSi2 1000 Disorder 800 600 400 Cubic Fe 50 100 150 200 Initial Fe thickness (nm) 250 300 図 1:固相成長における結晶状態図 図 2:選択エッチング前の表面 SEM 画像 図 3:選択エッチング後の表面 SEM 画像 I-V,C-V 測定などの一般的な半導体評価装置 名称・型番(メーカー) Diffuse Halo 1200 Temperature (K) 新規半導体材料の作製を行い、薄膜としての結晶性を評価し、 新規デバイスの創出につなげている。具体的には、環境 半導体β型鉄シリサイドを、大面積化が可能で将来的には 工業上大量生産が可能な、そして低コストでの作製が期待 できる固相成長法で作製を試み、薄膜の特性を表面科学的な アプローチで評価している。薄膜の表面形状を SEM や AFM などで調べてきた。試料の作製方法として、一般的な化学 洗浄をした基板を真空容器内に取り付け、排気の上超高真空 状態にして、Si 基板に Fe および Fe と Si の混合蒸着材料を 堆積させ、その後アニールを施すことによって実験を進めた。 超高真空にした理由は RHEED におけるその場観察を行う ためである。Fe の初期蒸着量を変化させ、段階アニールを施し、 アニールによる RHEED 観察での表面結晶状態を相図として まとめ上げた(図 1)。この相図を利用すれば、温度を適切に 制御することで、自分が望む結晶表面状態を作ることができ、 材料作製の指針となるものである。相図の特徴として、Fe 初期 蒸着量が、100nm 以上の時も調べられており、厚膜初期蒸着 量のデータとして有意義なものである。本研究を通して、 固相成長後の表面では、反応残差としてアイランドが無数に 存在し(図2)、これを電子デバイスへと応用していくのには、性能の 劣化の原因となりうるものである。これに対して、我々は、 塩化第 2 鉄溶液による化学選択エッチング方法を見出し、 完ぺきではないもののより平坦な薄膜へと変化させることが できた(図3)。これは今後の膜作製に対して、固相成長法に我々の エッチング技術を付加することで、比較的簡便に低コストで、 結晶性に優れたデバイスづくりへと応用ができるもの と期待している。今後はこれまで作製した試料を、様々な 光源からの光を当ててみて、特性に変化がないか、など、 別な角度からの物性評価を行い、新規デバイスへとつなげたい。
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