採択番号 11B1007 新規メソポーラス金属触媒の創製と水素吸着測定による表面特性の 評価 Development of Novel Mesoporous Metal Catalyst and Characterization of its Surface Reactivity by Hydrogen Absorption Measurement 山内悠輔 a,ワンホンジン a,ジャンシャンフェン a,山内美穂 b Yusuke Yamauchia, Hongjing Wanga, Xiangfen Jianga, Miho Yamauchib a a 独)物質・材料研究機構, b 北海道大学 National Institute for Materials Science, bHokkaido University 背景と研究目的: メソスケール細孔(2~50nm)を有するメ ソポーラス物質は,規則配列した均一なメ ソ細孔・高い表面積等の特徴を有している。 これまで,メソポーラス物質としては,主 に無機酸化物を骨格とするものが研究され, 吸着剤や触媒・触媒担体などをはじめ様々 な応用が研究されてきた。最近では,細孔 壁内の組成の多様化が進み,これまでの無 機酸化物に留まらず,無機有機ハイブリッ ドや有機高分子単独系を含む系へ組成が展 開し,最近では金属まで拡張可能となって きた。 本研究の対象物質であるメソポーラス Pd にはバルク表面の他に, メソスケールの一 次元細孔が存在する。この一次元細孔は反 応性の高い Pd の 4d 電子で囲まれた特殊な 空間であり, メソポーラスシリカやゼオラ イトなどの他の多孔性材料に形成されたも のとは全く異なる化学反応性を発現するも のと期待される。本研究では, この一次元 細孔およびその表面の反応特性を明らかに するため, 水素吸着/脱離特性を詳細に調 査する。得られた測定結果を, Pd 微粉末, Pd ナノ粒子などの他の Pd 触媒と比較するこ とで, メソポーラス材料の触媒特性につい ての知見を得ることが出来る。 結果および考察: メソポーラス Pd 系材料の合成:本研究で用 いるメソポーラス Pd 系物質は,ソフトテン プレート法とハードテンプレート法により それぞれ合成を行った.後者の手法では, 鋳型となる共連続構造有するメソポーラス シリカをまず作製し,その細孔中に Pd イオ ンを導入し,その後還元剤を導入すること で,Pd を析出させる.最後に,シリカを除 去することで,Pd 系メソポーラス材料が合 成可能となる. SEM 像から規則的なメソ 構造を観察し,共連続構造のメソ細孔中に 欠陥なく Pd が析出していることを確認し た(図1) .窒素吸着測定からも 50m2/g を 越える高い表面積が得られた. 図1.メソポーラス Pd 粒子の表面 SEM 像. メソポーラス Pd 系材料表面の水素分子吸 着/解離特性の解明:メソポーラス Pd 系材 料の水素吸蔵/放出特性を水素圧力組成等 温線および放射光を用いた粉末 XRD 測定 により詳細な検討を行った。Pd 粉末では、 表面に強固な水素吸着のため 2 回目の水素 吸蔵量が減少する。他方、メソポーラス材 料では表面吸着挙動は観測されなかった。 これは、メソポーラス材料の表面構造が非 常に規則的であり、水素の迅速な吸脱着が 可能であるためと考えられる。今後、NMR 測定などにより、材料と水素の結合状態を 詳細に調べ、メソポーラス材料界面の特異 性の起源を明らかにつもりである。 論文発表状況・特許状況 [1] 山内悠輔,山内美穂,論文投稿準備中
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