B-8 深腐食法による各種黒鉛の SEM 観察 12-1-035-0140 1. 緒言 松下 潤紀 とがわかった. 球状黒鉛鋳鉄は,延性や靭性などの優れた高強 度材料として高く評価されている.しかし,球状 黒鉛鋳鉄には問題があり,その一つに異常黒鉛(チ ャンキー黒鉛)がある.鋳物の内部にチャンキー黒 鉛が発生すると,鋳物の信頼性を損なうことにな る.本研究では,深腐食による各種黒鉛(球状 SG, 片状 FG,チャンキーCG)の立体的観察を行い,そ 図 1 3%ナイタールと王水の腐食 れぞれの黒鉛の大きさや形状,分布状態などの類 似性を調査・検討した. 3.2 各種黒鉛の SEM 結果 図 2 に FG および CG の SEM 観察結果を示 2. 実験方法 す.FG は黒鉛の稀有上に関わらず連鎖してい 2.1 試料の溶製および腐食条件の選定 た.CG は 2 次元的には非連続であったが,立体観 高周波誘導電気炉を用いて各種黒鉛の母材を 溶製した.溶製した母材を切断し,研磨,バフ 研磨した.その後,王水および 3%ナイタール 察すると連鎖していた. つまり CG の生成は FG と類似していることが わかった. で腐食させ,洗浄時間,洗浄方法,腐食時間をそれ 以上より,CG の成長段階では基底面を拡げる ぞれ比べ最も妥当な腐食条件を選定した.なお 方向の成長が優勢となって成長したことが考えら 腐食面積は FG,SG が 7cm2,CG が 0.8cm2 とす れる. る. 2.2 各種黒鉛の SEM 観察 SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて腐食させた母 材を観察し,黒鉛の形態を調査した. 3. 実験結果および考察 3.1 腐食条件の選定 腐食条件を変え比較した結果,王水および 3%ナ 図 2 FG(左)と CG(右)の SEM 観察写真 イタールの最も妥当な腐食時間はそれぞれ 1h,1week であることがわかった.また洗浄方法は 超音波洗浄処理で約 1.5min 洗浄させると最も観 察しやすいことがわかった. これらの条件で腐食させた 3%ナイタールおよ 4. 結言 (1) 最も妥当な腐食条件として腐食液は王水, 腐食時間は 1h,洗浄方法は超音波洗浄処理, 洗浄時間は 1.5min である. び王水の SEM 観察写真を図 1 に示す.これを見る (2) CG は,立体観察すると連鎖しており,基底 と 3%ナイタールではフェライト層があまり腐食 面を拡げる方向の成長が優勢となって枝 されておらず,基地組織の起伏が激しいことがわ 分かれした黒鉛であることがわかった. かった.一方,王水では基地組織が平滑に腐食され ており,黒鉛形態や腐食の深さが認識しやすいこ
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