線形写像(基底の表現行列, 像と核, 次元定理)

2S 数学演習 III・IV
標準 H006
担当教員 : 浜中 真志 研究室 : A327
E-mail:[email protected]
線形写像 (基底の表現行列, 像と核, 次元定理)
作成日 : May 26, 2012
実施日 : May 29, 2012
Updated : May 28, 2012 Version : 1.0
基底の表現行列, 基底変換
[表現行列] T を線形空間 U から V への線形写像とし, U の基底 ⃗u1 , · · · , ⃗un と V の基底
⃗v1 , · · · , ⃗vm を決めておく. T (⃗u1 ), · · · , T (⃗un ) は V のベクトルであるから, ⃗v1 , · · · , ⃗vm
の 1 次結合で次のように書ける:
(T (⃗u1 ), · · · , T (⃗un )) = (⃗v1 , · · · , ⃗vm )B,
ただし B は m × n 行列. このとき行列 B を U の基底 ⃗u1 , · · · , ⃗un , V の基底 ⃗v1 , · · · , ⃗vm
に関する T の表現行列であるという.
特に U = V とし,
(T (⃗u1 ), · · · , T (⃗un )) = (⃗u1 , · · · , ⃗un )B,
が成り立つとき, n × n 行列 B を基底 ⃗u1 , · · · , ⃗un に関する表現行列という.
(
問題 1. (基底の表現行列:1 年の復習?) R2 の線形変換 T はベクトル ⃗e1 =
( )
( ) (
)
0
7
−6
をそれぞれ,
,
に写す.
1
3
−2
)
1
0
, ⃗e2 =
(1) 標準基底 ⃗e1 , ⃗e2 に関する T の表現行列 A を求めよ.
( )
( )
2
1
, ⃗u2 =
をとる. このとき以下を満たす基底変
(2) R2 の基底として, ⃗u1 =
1
1
換の表現行列 P を求めよ:(⃗u1 , ⃗u2 ) = (⃗e1 , ⃗e2 )P.
(3) 基底 ⃗u1 , ⃗u2 に関する T の表現行列 B を求めよ.
問題 2. (基底変換:1 年の復習?) U = R3 , V = R2 とし, U から V への線形写像を以下
のように定義する:
(
)
2 4 1
T (⃗v ) =
⃗v , ⃗v ∈ U
1 −1 0
(1) U の標準基底 ⃗e1 , ⃗e2 , ⃗e3 , V の標準基底 ⃗e1′ , ⃗e2′ に関する T の表現行列 A を求めよ.
 
 
 
1
0
2
 
 
 
3
(2) R の基底として, ⃗u1 =  0  , ⃗u2 =  1  , ⃗u3 =  0  をとる. このとき以下を
1
1
3
満たす基底変換の表現行列 P を求めよ:(⃗u1 , ⃗u2 , ⃗u3 ) = (⃗e1 , ⃗e2 , ⃗e3 )P.
標準 H0-2S12-06 難易度 : C
名古屋大学・理学部・数理学科
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(
)
( )
1
2
(3) R2 の基底として, ⃗v1 =
, ⃗v2 =
をとる. このとき以下を満たす基底変
1
3
換の表現行列 Q を求めよ:(⃗v1 , ⃗v2 ) = (⃗e1′ , ⃗e2′ )Q.
(4) 基底 ⃗u1 , ⃗u2 , ⃗u3 , 基底 ⃗v1 , ⃗v2 に関する T の表現行列 B を求めよ.
問題 3. (基底の表現行列:数ベクトル空間の場合:1 年の復習?) 次のように定義される
線形写像


1 −1 0


T (⃗v ) = A⃗v =  1 −2 1  ⃗v , ⃗v ∈ R3
−2 4 3

 
 
0
1
2
 
 
 
の基底 ⃗u1 =  1  , ⃗u2 =  0  , ⃗u3 =  1  に関する T の表現行列 B を求めよ.
0
1
1

問題 4. (基底の表現行列:関数空間の場合) 2 次以下の実係数多項式全体のなすベクトル
空間 P2 (R) := {a0 x2 + a1 x + a2 | a0 , a1 , a2 ∈ R} を考える. 次式で定義される P2 (R) の線
形変換 T の, 基底 1, x, x2 に関する表現行列 A を求めよ.
T (f (x)) = ex
d −x
(e f (x))
dx
像と核, 次元定理
問題 5. (ウォーミング・アップ) 次の連立方程式が解を持つための a, b, c に関する条件を
求めよ. またそのときの解を求めよ.


 x+y =a
x + 2y + z = b

 3y + 3z = c
問題 6. (線形写像の単射条件) U, V を体 K 上の線形空間として, T : U → V を線形写像
とする. このとき次の命題を証明せよ:T が単射 ⇔ Ker T = {⃗0}
問題 7. (像と核
)

1 1 0


行列 A =  1 2 1  で表される線形写像 TA : R3 → R3 について以下の問いに答
0 3 3
えよ.
(1) A の逆行列があれば求め, なければ階数を求めよ.
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(2) 像 Im TA を求めよ. (方程式を用いた表現および基底を用いた表現を両方書け.)
(3) 核 Ker TA を求めよ. (方程式を用いた表現および基底を用いた表現を両方書け.)
(4) A の固有値, 固有ベクトルを求めよ.
問題 8. (線形写像の全射・単射条件) U, V を体 K 上の線形空間として, T : U → V を線
形写像とする. また, ベクトルの組 ⃗u1 , ⃗u2 , · · · , ⃗um を U の基底とする. このとき次の命題
を証明せよ.
(1) T が単射 ⇔ T (⃗u1 ), T (⃗u2 ), · · · , T (⃗um ) が1次独立
(2) T が全射 ⇔ W = ⟨T (⃗u1 ), T (⃗u2 ), · · · , T (⃗um )⟩
(3) T が単射のとき, および全射のとき, 線形空間の次元 m = dim U と n = dim V に対
して成り立つ条件をそれぞれ求めよ.
今週の宿題 (提出期限は 6 月 5 日 (火) 演習開始時です)
問題 9. (像と核
)

1 1 −2


行列 A =  2 −1 −1  で表される線形写像 TA : R3 → R3 について以下の問いに
1 −5 4
答えよ.
(1) A の逆行列があれば求め, なければ階数を求めよ.
(2) 像 Im TA を求めよ. (方程式を用いた表現および基底を用いた表現を両方書け.)
(3) 核 Ker TA を求めよ. (方程式を用いた表現および基底を用いた表現を両方書け.)
(4) TA は全射か?また, TA は単射か?(答えのみでよい)
問題 10. (平行移動演算子の行列表示) 2 次以下の実係数多項式全体のなすベクトル空間
P2 (R) := {a0 x2 + a1 x + a2 | a0 , a1 , a2 ∈ R} を考える.
(1) 基底 1, x, x2 から 1, x + 2, (x + 2)2 への変換行列 P を求め, 1, x + 2, (x + 2)2 は P2 (R)
の基底であることを示せ.
(2) φ(f (x)) = f (x + a) で定義される線形変換 φ の基底 1, x, x2 に関する表現行列 Ta を
求めよ.
(3) ψ(f (x)) =
書くと
d
f (x) で定義される線形変換 ψ の基底 1, x, x2 に関する表現行列を D と
dx
Ta = E +
1
1
aD + (aD)2
1!
2!
が成り立つことを示せ. (E は単位行列)
標準 H0-2S12-06 難易度 : C
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(4) (2),(3) の議論を n 次以下の実係数多項式全体のなすベクトル空間
Pn (R) := {a0 xn + a1 xn−1 + · · · + an | a0 , a1 , · · · , an ∈ R} に適用し,
Ta = E +
1
1
1
aD + (aD)2 + · · · + (aD)n
1!
2!
n!
が成り立つことを示せ. また n → ∞ のときこの関係式はどのようになるか, 行列の
∞
∑
1 n
指数関数 exp(A) =
A を用いて書き表せ. (答えのみでよい.)
n!
n=0
ボーナス問題 (提出期限は 6 月 5 日 (火) 演習開始時です)
問題 11. (像と核
)
 
x+y+z
x
 x−y−z
  
A y  = 

2x
z
3x + y + z
いに答えよ.



 により定まる線形写像 TA : R3 → R4 について以下の問

(1) 像 Im TA を求めよ. (方程式を用いた表現および基底を用いた表現を両方書け.)
(2) 核 Ker TA を求めよ. (方程式を用いた表現および基底を用いた表現を両方書け.)
(3) 次元定理を, R3 , R4 , Im TA , Ker TA などの言葉で書き表せ.
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