特集 病棟と外来をつなぐ看護 Ⅱ-2 虚血性心疾患患者の病棟と外来をつなぐ看護 ~循環器ナースの取り組み~ 隣接する 診療所 病院 ・ 病院の外来は,紹介・救急患 者のみに対応している ・ 心臓リハビリテーション外来 が行われている(週2回) 図1 外科外来 心臓リハビリ テーション外来 内科外来 紹介・救急外来 ・ 診療所は,退院後の定期通院 患者に対応している ・ 内科フロアに循環器内科外来, 外科フロアに心臓血管外科外 来が開設されている 循環器内科・心臓血管外科外来と心臓リハビリテーション外来の配置 心リハ外来に通院を予定している患者や,通院を 明することもあります。入院中に相談のあった患 勧めたい患者について病棟看護師と相談したり, 者については,退院後の患者の様子を病棟看護師 心リハ外来への通院を提案したりします。病棟看 へフィードバックすることを心がけ,看護師間の 護師の依頼で,入院患者に心リハ外来について説 連携を意識しています。 一日の外来業務の流れ 心リハ外来の流れと看護師業務を 図2 へ示し など,医師へ伝えたほうがよい情報は,診察前に 内科や消化器内科などの診察室があります。看護 院の頻度は週 1 回〜月 1 回など患者の希望による ます。 師の配置は,診療科ごとではなくフロアごとなの ため,1 セッション(90 分)の患者数は 10 〜 12 まず,当日の予約患者の患者ファイル( で,循環器内科の患者に特化した看護師のかかわ 人程度です。患者の多くは,隣接する診療所の循 を用意します。患者ファイルは,基礎疾患や治療 検査について患者に説明し,検査室へ連絡を入れ, りはなく,これは外科フロアでも同様です。 環器内科・心臓血管外科外来にも通院しています。 内容,冠危険因子などが記載された基礎情報の用 スムーズに診療が進むようサポートします。また, 前述したように,隣接する診療所の外来では,看 紙と,毎回の問診や運動前後のバイタルサインを 運動中に体調変化があった患者のバイタルサイン 護師の体制上,虚血性心疾患患者に特化した看護師 記入するモニタリング用紙,CPX の結果表で構 チェックや症状の観察を行い,必要な場合には医 の継続的なかかわりは困難です。一方,心リハ外来 成されています。患者の来院後は理学療法士と協 師へ相談します。継続した観察や補液など,心リ 当院では,心臓リハビリテーション(以下,心 では,看護師の継続したかかわりが可能です。今回 力して,バイタルサインをチェックし問診をとり ハ室での対応が困難なときは,救急外来看護師と リハ)外来が週 2 回(月曜日午後 1 セッション, は,心リハ外来における看護師の介入を紹介し,二 ます。体調や内服状況を確認し,運動療法が可能 連携し対応を依頼します。その他,次のセッショ 金曜日午前 2 セッション)開設されています。心 次予防が重要といわれる,虚血性心疾患患者の病棟 か,優先した医師の診察が必要かアセスメントし ンの患者ファイルの準備,次回予約の確認,救急 リハ外来管理の患者数は 35 〜 40 人程度です。通 と外来とつなぐ看護について考えます。 ます。体調に問題がなければ,理学療法士による カートの点検などを行います。運動療法終了後は, 運動療法が始まります。運動療法の合間に,全患 バイタルサインチェックを行い,次回の予約票を 者が医師の診察を受けられるよう調整し,患者を 渡して 90 分のセッションが終了です。 心臓リハビリテーション外来 外来の看護体制 心臓リハビリテーション外来の体制 と看護師の主な業務 循環器病棟看護師との連携 ツールやシステムはありませんが,入院中の様子 師は残念ながら筆者 1 名のみです。他に,医師 1 は電子カルテで情報収集できます。また,週に 1 名,理学療法士 5 名,管理栄養士 1 名が携わって 回,病棟のカンファレンスに参加しているため, 談,多職種間の調整業務などを担います。面談 は,退院後,心リハ外来に初めて来院する患者 や心肺運動負荷試験(cardiopulmonary exercise training;CPX,メモ 1)を行う患者を対象に実施 します。 ・ 2015/12 Vol.5 No.12 外来の 流れ 循環器病棟看護師との連携方法に,決まった 現在,心リハ外来に直接かかわっている看護 患者の身体状況の把握,面談を中心とした療養相 医師へ伝えます。医師の診察後,臨時で検査が行 図3 ) われる患者もいます。検査の指示が出た場合は, 診察室へ案内します。体調や来院前のエピソード います。看護師は主に,安全な運動療法のための 28 外来編 メモ 1 看護師 の動き 心肺運動負荷試験(CPX)とは? CPX は呼気ガス分析を併用して行う運動負荷試験です。AT (anaerobic threshold;嫌気性代謝閾値)を求め,その 時点での血圧上昇や,心筋虚血などがないことを確認後, AT の 1 分前の負荷量あるいは AT レベルの心拍数で運動 処方をします 1)。この試験により,虚血性心疾患患者にと って具体的で安全な活動レベルを提示することができます。 図2 開始 ・ 患者 ファイル の準備 ∼15分 ∼20分 ∼75分 ∼80分 ∼90分 バイタルサイン チェック と問診 ウォーム アップ 運動療法 クール ダウン バイタルサイン チェック ・運 動 療 法 が 可 能 か? 医 師 の 診 察 を優先したほうが よい患者はいない か? チェックしな がらバイタルサイ ンと問診を行う ・ 順番に診察室へ案 内。必要な患者情 報は事前に医師へ 伝える ・臨 時 の 検 査 指 示 が出たら患者へ説 明し,検 査室へ連 絡する ・ 面談をする ・ 次回予約の 確認 終了 ・ 来 院しなか った患者へ 電話連絡 ・ 体調不良などの患者の対応 ・ 合間で救急カートの点検 ・ 次のセッションの患者ファ イルの準備 心臓リハビリテーション外来の流れと看護師業務 2015/12 Vol.5 No.12 ・ 29
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