平成27年4月 - 佐世保市立総合病院

佐世保市立総合病院
地域連携室だより
vol.95
2015 年 4 月号
第3回 九州・沖縄ブロック
相談支援フォーラム in 長崎に参加して
がん相談支援センター
野田
雪美
昭和56年に悪性腫瘍が日本人の死亡原因の第一位となり、国は昭和59年よりがん対
策を開始し、平成18年にはがん対策基本法が成立、全国409ヶ所に厚生労働大臣指定
のがん診療連携拠点病院(以下拠点病院)を整備しました。また、
「がん患者の置かれてい
る状況に応じ、本人の意向を十分尊重してがんの治療方法等が選択されるようがん医療を
提供する体制の整備がなされること」
(がん対策基本法第二条)のもと、全ての拠点病院に
がん医療(療養)に関する情報提供、心理的サポート、意思決定の相談支援を行う相談支
援センターを設置し、研修を修了した専門の相談員を配置しました。
当院も拠点病院のひとつとしてがん相談支援センターを設置し、院内外関係なく患者様、
ご家族、地域のがん相談窓口として相談支援を行っています。
去る平成27年1月31日から2月1日の2日間にかけて、第3回九州・沖縄ブロック
相談支援フォーラム in 長崎が長崎大学病院で開催されました。
このフォーラムは国立がん研究センターが、がん相談専門員の研修機会として全国各地
で開催しているもので、相談員間の症例共有を通して県境を越えた地域ブロック単位で相
談員の相互支援ネットワーク支援を育成し、また県境を越えて受療する患者様やご家族へ
の対応向上を目指した連携ネットワークの構築に寄与することを目的としたワークショッ
プ形式の研修会です。今回は「つなげよう!がん相談支援の輪」を全体テーマとして九州
8県から総勢約130名、当院からはがん相談員5名が参加しました。
開催1日目は各県の情報交換会を目的に、がん相談支援の取り組み、離島・がん医療空
白地域におけるがん診療、がん相談支援体制の現状と問題点について発表され、県レベル
での相談員の横のつながりやがん相談支援センターの広報活動についてグループワークを
行いました。
全国261ある有人島の中で、長崎県は54と全国の約20%を占めており、離島を抱
える県ならではの広報のありかたについて考える機会となりました。どの県も広報活動に
ついてはリーフレットの院内外への配布、ポスター掲示の工夫、図書館などへのポスター
掲示などに取り組まれており、高齢者の多い地域によっては地区の回覧板を活用したり、
公民館など集会の場で住民向けに出前講座をされているという発表があり、インターネッ
トの普及する中での「顔の見える話し合いの場」という環境がとても新鮮に感じました。
開催2日目は、がん診療連携拠点病院の相談員、離島中核病院の相談員、在宅医、訪問
看護ステーション、患者会のそれぞれの立場から現状や課題について報告されました。在
宅医の立場からは押渕医院、押渕素子医師より、松浦市の医療資源、在宅医や在宅見取り
の現状、かかりつけ医としての役割について症例をまじえて発表していただきました。
また、沖縄県の患者会の方からの発表は、離島での交通費(渡航費、滞在費など)の問
題、情報支援、相談支援体制が十分でないことが問題としてあげられました。インターネ
ットの活用といっても過疎化や高齢化の進む地域では限界があり、情報自体の正確さも判
断できません。しかし島には医学専門書なども少なく、情報不足問題の解決に向けて相談
員として今何ができるのか、考えさせられる発表でした。
2日間のフォーラムを通し、地域や県に関係なく情報伝達、広報のあり方については同
じ問題を抱えていることが明らかになりました。だからこそ、がん相談員同士が連携して
患者様が不安なく療養できるよう、まずは院内周知、そして地域の皆様に広く周知してい
ただけるように今後も取り組んでいきたいと考えます。
~ 押渕素子医師による発表 ~
~ グループワーク発表の様子 ~
理学療法士
心臓リハビリテーション指導士
古田 弘二
心臓リハビリテーションの運動処方において、CPX による AT point をベースとした運動処方が
推奨されています。今回、CPX を導入することができ、平成 27 年 3 月より運用を開始しましたの
でお知らせいたします。
CPX は運動負荷試験の一つで、心電図、血圧、呼気ガス分析を併用して行う運動負荷試験で
す。運動中の心ポンプ機能が評価できるだけではなく「どの程度の運動強度/活動レベル」で
異常が出現するかを評価できます。運動に対する心拍数応答、虚血性変化、不整脈等、血圧応
答、また酸素摂取量、換気量等を測定し「呼吸・循環・代謝」の総合的な評価ができる検査で
す。
実際には、マスクをつけエルゴメーター(自転車こぎ)を使用し徐々にペダル負荷が増加し
ていきます。その間ペダルは一定の速さでこぎ続けます。
嫌気性代謝閾値(Anaerobic threshold: AT)といわれ、呼気ガス分析装置を使用して求めた、
乳酸が産生される直前の運動閾値のことで、AT 1 分前の強度での運動は安全かつ効果が高いと
されています。
CPX は運動処方の作成のほか、運動中の心機能の精査、息切れの精査目的で行われます。CPX
を行うことで日常生活のどの程度の活動レベルで危険な状態になるか把握でき、生活指導がで
きます。また運動耐容能、心不全重症度、予後の指標にもなります。
○運動処方
○心不全重症度判定
○心血管イベント発生閾値の測定
○運動耐容能、運動能力の評価
3 分の安静、4 分のウォーミングアップ、10 分
前後の Ramp 負荷(漸増的負荷),リカバリーと
しています。
主として 10W ウォーミングアップ 10W Ramp
負荷が主です。
CPX は心臓リハビリテーションには必須の検
査と考えられます。運動処方だけではなく循環器系の診療の一部としても有効に活用できると
考えます。
『がん患者・家族へのアンケート』のご協力
ありがとうございました
平成27年2月1日~平成27年2月28日の期間、がん患者様、がん患者様のご家族
を対象に、長崎県がん診療連携協議会に属する8施設にてアンケート調査を実施しました。
<当院に頂いたご意見、ご要望>
・初期相談について、地域連携室やがん相談支援センターは院外活動を頑張ってほしい。
・総合病院のがん相談支援センターの入口が入りづらい雰囲気で、興味はあるのですが、中に
入ったことがありません。もう少し入りやすい入口にして頂けると良いと思います。
・治療中、治療後に不安や悩みを気軽に話すことができるサロンのようなところがあればいい
と思いました。
当院でいただいたアンケートより患者様、ご家族の皆様に相談窓口のご案内が届いていないこと
を痛感しています。現在、がん相談支援センターでは、がん患者様ご家族が知りたい情報をすぐ手
にとれる環境を目指し、相談室内、外来図書室、放射線治療室等院内にがん情報の冊子やちらし等
の設置の準備を進めています。また、多くの来室される相談者の皆様へ対応ができるよう相談室を
増築しました。当院内の準備が整いましたら改めてご紹介いたします。
通院中の病院、地域は関係ありませんので、些細なこと、どのようなことでも気になるがんのお悩
みをお気軽にお尋ねください。研修を受けたがん専門相談員がお聴きします。
病
院
情
報
平成 27 年 2 月の救急外来
患者数
572 人
救急車搬入
ドクターヘリ
による搬入
213 人
紹介患者数
入院患者数
175 人
266 人
(救急車使用 153
5人
人)
平成 27 年 2 月の紹介患者数
紹介患者
数
1792 人
市内
市外
紹介率
逆紹介率
一般病床
利用率
1284 人
508 人
85.9%
83.7%
89.2%
〒857-8511
佐世保市立総合病院の理念
私たちは患者様を中心として、安全で安心できる
心暖まる医療を提供します。
1.チーム医療の実践
2.インフォームド・コンセントに基づいた医療
3.先進的な高度医療
地域連携室の
モットーは
1.笑顔
2.親切
3.丁寧
長崎県佐世保市平瀬町 9-3
佐世保市立総合病院 地域連携室
室長 : 中村 昭博
担当 : 緒方 福田 酒井 野田 田渕 楠本
外尾 空閑 藤木 斉藤 北村
TEL(0956)24-1515(内線 6921)
FAX(0956)24-0474(連携室直通)