平成14年10月の第7回TDFの議長サマリー(日本語仮訳)(PDF:120KB)

第7回アジア太平洋防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)
議長サマリー(仮訳)
(2002年10月18日))
○ 第7回アジア太平洋防衛当局者フォーラムは2002年10月17日~1
8日東京において、ASEAN地域フォーラムのメンバーから21ヶ国(豪
州、ブルネイ、カナダ、カンボディア、中国、インド、インドネシア、日本、
ラオス、マレイシア、モンゴル、ミャンマー、ニュージーランド、パプア・
ニューギニア、フィリピン、韓国、ロシア、シンガポール、タイ、米国、ヴ
ィエトナム)及びEUの参加を得て開催された。
○ 第7回フォーラムの議題は、セッションⅠの「テロ対策における軍の役割」、
セッションⅡの「地域の信頼醸成における国防当局の役割」、セッションⅢの
「各国の国防政策」の3つである。
○ 議長は本年1月に開催され、参加者が多様な軍の役割や海賊対策について
の議論が行われた第1回分科会の成果に言及した。この分科会は本年4月の
ARFのISGにおいて報告されているものである。
○ 参加者は1996年に防衛当局間で地域の安全保障について率直な対話を
行う唯一の機会として始まったこのフォーラムの後に続いて、ARFの枠組
みの中における努力がなされ、メンバー国の間での他のイニシアティヴが成
果を生んできているという事実を歓迎した。
1.セッションI
: テロ対策における軍の役割
○ 参加者は9月11日のテロは国際テロリズムが国内、地域、国際の平和に
対する重大な脅威であることを強調した。また、参加者は最近のバリ島での
爆弾テロを強く非難し、その犠牲者に対し深い哀悼の意を表明した。この最
近の悲劇に直面し、参加者はテロリズムと闘い、各国間の協力を強化し、国
際的協力への支援の幅を拡げる強い決意を表明した。
○ 他方、9月11日の攻撃後、国際的テロ対策への協力において前向きの進
展があった。多くの国は情報共有の分野におけるものなど、他の国との協力
例について発表を行った。対テロリズムのための共同訓練についても別の多
国間協力の効果的な例として発表された。
○ 警察と国防当局との役割分担について、多くの国においてテロリズムへの
対処に関しては警察が一義的責任を有し、軍の役割は補完的なものである。
参加者は警察や他の関係機関とのさらなる協力の必要性につき認識した。
○ 地域のほとんどの国では、状況が軍事的なものへとエスカレートした場合、
軍が警察や地方政府を支援する前向きな役割を担うことになる。多くの国は
このような前向きの軍の役割がテロ攻撃を防止し、抑止することについて見
解を共有した。
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○ テロとの対処の上で、国際的資金凍結や犯罪人引き渡しを含む可能なあら
ゆる手段を用いる必要性につき指摘があった。参加者はさらなる部局間、国
際協力、調整の必要性につき認識した。
○ テロリストの生物、化学、放射性、核兵器など大量破壊兵器の使用を抑止
し、影響を低減するための適切な措置のさらなる必要についての発言もあっ
た。
○ フォーラムは去る7月のARF閣僚会合におけるテロリズムに関するAR
F-ISMの設置を歓迎した。
2.セッションII
: 地域の信頼醸成における国防当局の役割
○ 参加者は信頼醸成措置は、不確実性及び誤解の低減に資し、ひいては偶発
的な戦争の可能性を低減するものであり、2国間、多国間を問わず、地域の
安全保障環境安定化の上で重要であることについて同意した。
○ 参加者は信頼醸成措置においては、2国間、多国間両アプローチともに有
用である点につき認識が一致した。2国間アプローチは防衛交流や軍事協力
の確立にその焦点がある一方、多国間アプローチは2国間アプローチより複
雑であり、かつよりゼロサム的ではないことを基調に、幅広い安全保障上の
関心事項を取りあげることで2国間関係を高めるものである。参加者は両ア
プローチがそれぞれの特徴と利点を有することについて見解を共有した。
○ 参加者は、ARFがPKO、災害救援に関するISMや信頼醸成措置に関
するISGなど、よりオープンに議論する多様で多層的な機会を提供するも
のであること、ひいては地域に於ける非公式のネットワークを涵養すること
について認識した。
○ 2国間の防衛協力が相互信頼と国防政策の透明性を促すことについて強調
する参加者もあった。
○ また、信頼醸成措置の一つとして平和維持活動に言及した参加者もあった。
ARFのメンバー中数カ国により共催され、PKOの多様な面について議論
する、PKOセミナーについて紹介があった。
○ 日本の代表より、国際戦略研究所(IISS)により組織された「アジア安全
保障会議」において提案がなされたアジア太平洋地域における「国防大臣会
合」の設置について言及があった。このような高いレベルの会合を開催する
ことの意義について参加者より認識された。このような会合は重要であり、
非常に見えやすい信頼醸成措置であるとともに、追求する価値があることに
ついて指摘があった。上記の「アジア安全保障会議」がこの目的を達成する
場の一つとなるとの示唆もあった。
○ フォーラムは第9回ARF閣僚会合の下で7月にブルネイで開催された第
1回ARF国防当局者会合を歓迎した。
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3.セッションIII: 各国の国防政策
○ 8参加者からそれぞれの国防政策についてのプレゼンテーションがあっ
た。ある国の厳格な中立が地域の安定に資するという意見も紹介された。参
加者は地域の安定及び世界平和への貢献が各国の国防政策の主要目的の一つ
であることについて認識した。
○ 将来の防衛力について、各国はその政策及び能力を、一般に冷戦終結後、
また9月11日以後変化した安全保障環境に対応したものとする必要性を認
識した。
○ 参加者は国際的安全保障に関する戦略の側面及び国際法の側面がテロリズ
ムとの闘いにおいて考慮されなくてはならないこと、及び同じくテロリズム
の根本原因についてのさらなる研究が重要であることについて議論した。テ
ロリズムの根本原因及びそれらに対処する手段についての議論を行うことが
有益であるとの示唆があった。
4.その他
○ 本フォーラムの成果については、フォーラム議長国からニュージーランド
で来月開催される次のARF/ISG会合で報告されることについて合意し
た。
○ 参加者は本フォーラムの第2回分科会の来年1月の開催について歓迎し
た。
(以上)
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