問題2−1 (図 1) 図のような、バネと滑車と質点からなる系を考える。質点の振動の周期を求めよ。バネ定数は k 、滑車の慣性 モーメントは I 、質点の質量は m、糸の質量は無視でき、糸は伸び縮みしない。滑車と糸の間はすべらないとする。 問題2−2 長さ l、質量 m の棒の端を、自由にうごけるようにセロテープで天井にとりつける。水平位置で静止させて手 を離した。垂直になったときの速度を求めよ。 また、垂直になった時にセロテープにかかる力を求めよ。 また、所要時間を与える式を示せ。 問題2−3 斜面(傾斜 θ)をすべらずに転がる円柱(質量 M 、慣性モーメント I )の運動はどうなるか。 缶コーヒーを転がすとき、そのままと凍らせた場合と、どちらが早く落ちるか。 問題2−4 (2-4-1) 立方体の1辺を回転軸とする慣性モーメントを求めよ。辺の長さ l、密度 ρ. (2-4-2) 円柱を立てておいて、側面に鉛直線を引く。この線のまわりに回転させる場合の慣性モーメントを求めよ。 高さ h、半径 r、密度 ρ。 (2-4-3) 円錐の対称軸(円錐軸)まわりの慣性モーメント。底面の半径 a、高さ h とする。 (2-4-4) 円錐の頂点を通り、円錐軸と垂直な直線まわりの慣性モーメント。 問題2−5 (2-5-1) 棒の端に、垂直に撃力を加える。動かない点はどこか。 (2-5-2) 棒でなくて、球ならどうなるか。 図 1: バネと滑車と質点 1 問題2−6 (2a-18-1) 地面に固定せずにほぼ垂直に棒を立てる。垂直との差を ϕ とする。手を離してから地面に着くまでの 時間が T となるように、ϕ を設定する。 任意の T に対して (どんなに T が大きくても)ϕ が決まることを示せ。 問題2−7 ロバーバルの天秤はどういうものか?一見釣り合わないように見えるのに、実は釣り合う理由を説明せよ。 問題2−8 (2-8-1) 自由に動ける円盤(質量 M 、慣性モーメント I )が静止していた。そこに質量 m の質点が速度 v でやっ てきて外側に貼りついた。質点の貼りつき前の速度ベクトルの載っている直線と、円盤の中心との距離を h とす る。貼りつき後の速度と角速度を求めよ。 (2-8-2) 貼りつき後の運動エネルギーを求めよ。 (2-8-3) 貼りつき前に、円盤の重心は静止していたが、回転はしていたとする。貼りつきの前後でエネルギーのロ スがないのはどういう場合か。 問題2−9 長さ l、質量 M のはしごを壁にたてかける。水平面とはしごのなす角度を α、床からの抗力を R1 、静止摩擦係 数を µ1 , 壁からの抗力を R2 、静止摩擦係数を µ2 とする。はしごがすべらない条件を求めよ。なお静止摩擦係数 は 1 より小さいとする。 問題2−10 半径 a、質量 m の一様な円盤が鉛直方向を回転軸として角速度 ω0 で回転している。粗い水平面(摩擦係数 µ′ ) の上に置いたらどれだけの時間で止まるか。 問題2−11 軸を水平にしてそのまわりに回転できる一様な円柱 (質量 M ) に糸をまきつけ、その端に物体 (質量 m) をつる して放す。重力加速度を g とする。糸の張力を求めよ。 問題2−12 直角三角形の直角 O をはさむ二辺の長さを a、b とし、その二辺の端にそれぞれ質量 m1 、m2 の質点をつけ、O を支点にして鉛直面内で微小振動をさせるとき、その周期を求めよ。ただし三角形自体の質量は無視する。 問題2−13 一様な円板 (半径 a、質量 M ) が鉛直面内に固定された粗い円輪(半径 b)の内面に接してすべらずに転がる運 動は 3(b − a)/2 の長さを持つ単振り子と同様であることを示せ。 問題2−14 半径 a の一様なうすい円板がその平面 (xy 面) 内で運動している。突然その周上の一点(最も y 座標が小さい点) を固定したら円板はどういう運動をするか。なお固定前には円板は角速度 ω で回転し、重心の速度は (v cos θ, v sin θ) であった。 問題2−15 剛体が回転していて、回転軸の方向は一定の場合を考える。この剛体の運動エネルギーは、重心の並進運動の エネルギーと、重心まわりの回転の運動エネルギーの和であることを示せ。 2 問題2−16 xy 平面上に剛体振り子があって、重力は y 方向を向いているとする。回転軸は z 軸、摩擦のない軸の抗力を (Fx , Fy ) とする。重心の位置を (x, y)、y 軸から測った角度を θ とする。重心と軸の距離は h であり、 x = h sin θ, y = h cos θ (1) である。 (1) 重心の並進運動の運動方程式、剛体の回転運動の方程式をそれぞれ書け。 (2)(Fx , Fy ) を消して、θ についての運動方程式を求めよ。 (3)Fx を θ とその時間微分であらわせ。 問題2−17 (1) 長さ l の糸でつった円振り子が最低の位置で水平の速さ v0 で運動を始める。最高点でも糸がたるまず、質点が √ 円周を一定方向にまわりつづけるためには v0 > 5gl でなければならないことを示せ。 (2) この時、最低の位置から角 θ だけ回転するのに要する時間はおよそ ωt = θ − g sin θ ω2 l で与えられることを示せ。ただし ω は糸が水平になった時の角速度で、2g << ω 2 l とする。 3 (2) 第1章 解答 問題2−1 質点の上方向を x、滑車の左回りの角度を θ として、滑車と壁の間の糸の張力を T1 、滑車と質点の間の糸の張 力を T2 とする。バネの力の式 T1 = kx 滑車の回転の運動方程式 (T1 − T2 )a = I 物体の運動方程式 T2 = m (1.1) d2 θ dt2 d2 x dt2 (1.2) (1.3) また、aθ = x なので、これらから d2 x dt2 という単振動。両辺を a で割れば θ の運動方程式になるが、もちろん同様。周期は √ ma2 + I T = 2π ka2 −ka2 x = (ma2 + I) (1.4) (1.5) 問題2−2 長さ l、質量 m の棒の端を、自由にうごけるようにセロテープで天井にとりつける。水平位置で静止させて手 を離した。垂直になったときの速度を求めよ。 また、垂直になった時にセロテープにかかる力を求めよ。 また、所要時間を与える式を示せ。 長さ l で、慣性モーメントは ml2 /3。エネルギー保存は、 1 2 l Iω = mg 2 2 より √ ω= 3g l (1.6) (1.7) 最下点での遠心力と重力の和は 1 3g 5mg ml + mg = 2 l 2 (1.8) 問題2−3 斜面(傾斜 θ)をすべらずに転がる円柱(質量 M 、慣性モーメント I )の運動はどうなるか。 缶コーヒーを転がすとき、そのままと凍らせた場合と、どちらが早く落ちるか。 摩擦力を R とすれば、重心の並進運動の方程式は M d2 x = M g sin θ − R dt2 4 (1.9) 回転角を ϕ とする。回転運動の方程式は、 d2 ϕ = Ra dt2 (1.10) I d2 x d2 x + = M g sin θ dt2 a2 dt2 (1.11) d2 x M g sin θ = 2 dt 1 + I/(M a2 ) (1.12) I また、x = aϕ である。R を消せば、 M つまり M 別の考えとして、接している点を中心にする回転を考察すると、 I′ ここで I ′ = I + M a2 なので、 d2 ϕ = M ga sin θ dt2 d2 ϕ M ga sin θ = dt2 I + M a2 (1.13) (1.14) もちろん同じ式になっている。 問題2−4 (2-4-1) 立方体の1辺を回転軸とする慣性モーメントを求めよ。辺の長さ l、密度 ρ. I= 2 5 ρl 3 (1.15) (2-4-2) 円柱を立てておいて、側面に鉛直線を引く。この線のまわりに回転させる場合の慣性モーメントを求めよ。 高さ h、半径 r、密度 ρ。M = ρh(πr2 ) I = IG + M r 2 = 3 M r2 2 (1.16) (2-4-3) 円錐の対称軸(円錐軸)まわりの慣性モーメント。底面の半径 a、高さ h とする。薄い円板を求めてから、それ を積分する。 I= πρa4 h 10 (1.17) (2-4-4) 円錐の頂点を通り、円錐軸と垂直な直線まわりの慣性モーメント。半径 a の薄い円板の直径を軸とする慣性モー メント I は、ρ が面密度なら、回転軸が y 軸として、x から x + dx の部分の寄与は √ ρx2 a2 − x2 dx なので、これを積分して、 ∫ I = 2ρ x2 √ M a2 a2 − x2 dx = 4 (1.18) (1.19) 仮にこの時に、x 軸を回転軸とすれば、棒の慣性モーメントの式 (2/3)ml2 を使って、x から x + dx の部分の寄 与は 2 ρdxl3 3 5 (1.20) なので I= 2 ρ 3 ∫ a −a (a2 − x2 )( 3/2)dx = ρ 2a4 3 ∫ π/2 cos4 θdθ == ρ −π/2 2a4 3 1 π = ρ πa4 3 8 4 (1.21) としてもいい。 円錐は、これを使って I = IG + M h2 を使って足していく。 I= π 2 a2 ρa h( + h2 ) 5 4 (1.22) 問題2−5 (2-5-1) 棒の端に、垂直に撃力を加える。動かない点はどこか。 長さ 2l なら、I = (1/3)M l2 。重心の速度は V = F ∆t M (1.23) 回転の角速度は F ∆tl 3F ∆t 3V = = I Ml l なので、中心から l/3 の点は力を加えた直後動かない。 ω= (1.24) (2-5-2) 棒でなくて、球ならどうなるか。 半径 a なら I = (2/5)M l2 。上と同じ計算で、中心から 2a/5 の点は動かない。 問題2−6 (2a-18-1) 地面に固定せずにほぼ垂直に棒を立てる。垂直との差を ϕ とする。倒れる時間までの時間を T となる ように、ϕ を設定する。 任意の T に対して ϕ が決まることを示せ。 問題に書いてないが、床に接している部分は摩擦で動かないものとする。 床に接している点のまわりの運動を考え、角度 0 から動き出すとすれば、エネルギー保存は l(1 − cos(θ)) = I( dθ 2 ) dt (1.25) であるので、 dθ ∝θ dt ∫ 従って T = ∫ dt = これは、θ = 0 から積分すれば無限大になる。 6 (1.26) dθ θ (1.27) 次に、床には全く摩擦がないとする。この時のエネルギー保存は、下向きの重心の速度と、回転のエネルギー がそれぞれあって、 l(1 − cos(θ)) = I( dθ 2 dx ) + M ( )2 dt dt (1.28) である。ここで θ2 2 なので、θ が小さいときはこの項は無視してよい。従って摩擦があるときと結果は同じ。 x = l(1 − cos θ) ≈ l (1.29) 問題2−7 ロバーバルの天秤を説明せよ。 授業での解答では、復元力がある場合の式が示されたが、以下は復元力がない場合の説明。 (図 1.1) 右のTを左倒しにした枝をまず考えて、それの右のほうに mg がかかる。上の支点にかかる抗力を左に R1 、上 に R2 、下の支点にかかる抗力を右に R3 、上に R4 とする。mg がかかっている点を中心に回転のつりあいを書く と、横枝を l1 , 縦を 2h とすれば l1 (R2 + R4 ) = h(R1 + R3 ) (1.30) もちろんこの中心はどこをとっても同じ。並進の式は、 mg = R4 + R2 (1.31) R1 = R3 (1.32) これらから、 R1 = R3 = mg l1 2h (1.33) となる。 次に、左の T の対応する抗力を Ri′ とする。ただし mg のかかる位置を l2 とする。 左右で l1 、l2 が違うときの釣り合いが問題なわけだが、これは、上記のように、横方向の抗力にのみ効いてく る。縦方向には効かないことがわかる。 図 1.1: ロバーバルの天秤 図を描くため分離してある。 7 (c)中の2本のつりあいは、横方向は、中央の支点の抗力でつりあうので問題ない。水平でない場合は、l1 ̸= l2 なのでモーメントがあるように見えるが、上と下の棒で逆なので、回すことはできない。上の棒と下の棒で縦の 力が生じてこのモーメントを打ち消す。つまり、角度によらずつりあう。 (d)縦は、右は mg = R2 + R4 左は mg = R2′ + R4′ かかり、上の棒と下の棒は常に平行なので、あわせてこ の力がかかるものの、どちらにどれだけかかるかは分からない。これにより、もし片方の横棒に力のモーメント がかかると、もう一方の横棒には逆にかかるので、回転できず、静止するしかない。mg の分配は同じでなくて、 (c)の効果で縦の力がかかるので、その後でそれぞれの棒が回転しないように分配される。 問題2−8 (2-8-1) 自由に動ける円盤(質量 M 、慣性モーメント I )が静止していた。そこに質量 m の質点が速度 v でやっ てきて外側に貼りついた。質点の貼りつき前の速度ベクトルの載っている直線と、円盤の中心との距離を h とす る。貼りつき後の速度と角速度を求めよ。 はりつき後の速度は V = mv M +m (1.34) 貼りつき後に一体になった物体(以降は物体と書く)の重心の位置は、中心から l= mr M +m (1.35) の位置であって、それを中心とする慣性モーメントは、 I ′ = I + M l2 + m(r − l)2 (1.36) これは以下のように変形してもよい I′ = I + M ( mr 2 Mr 2 mM r2 ) + m( ) =I +( ) M +m M +m M +m (1.37) 円板の中心まわりの角運動量保存から、 (I + M l2 + m(r − l)2 )ω + (M + m)V mh = mvh M +m (1.38) 二項目は重心の並進運動の効果。ここから、 (I + M l2 + m(r − l)2 )ω = mvh − (M + m)V mh m2 hv mM hv = mvh − = M +m M +m M +m (1.39) または、(0, hm/(M + m)) のまわりの角運動量保存を書けば、 (I + M l2 + m(r − l)2 )ω = (h − hm )mv M +m (1.40) なので同じ。(外力がないのでどの点のまわりで書いても同じ。) (2-8-2) 貼りつき後の運動エネルギーを求めよ。 略。上の ω を代入する。 (2-8-3) 貼りつき前に、円盤の重心は静止していたが、回転はしていたとする。貼りつきの前後でエネルギーのロ スがないのはどういう場合か。 速度が同じばあい、つまり v = rω で最外周の上部に貼り付く場合。 8 問題2−9 長さ l、質量 M のはしごを壁にたてかける。水平面とはしごのなす角度を α、床からの抗力を R1 、静止摩擦係 数を µ1 , 壁からの抗力を R2 、静止摩擦係数を µ2 とする。はしごがすべらない条件を求めよ。なお静止摩擦係数 は 1 より小さいとする。 計算できるのは滑り出すギリギリのところだけである。そこでは摩擦力が決まるので。 長さ l の棒で、中央 l/2 の位置に重心がある。 壁を y 軸方向に、床を x 軸方向に書く。第一象限に右下がりで棒を置く。 床からの抗力を R1 、左向きにかかる摩擦力を µ1 R1 、壁からの抗力 R2 、上向きにかかる摩擦力を µ2 R2 、 x 軸方向のつりあい µ1 R1 = R2 (1.41) y 軸方向のつりあい M g = R1 + µ2 R2 = ( ここから、 1 + µ2 )R2 µ1 Mg 1 + µ1 µ2 = R2 µ1 (1.42) (1.43) 一方、床に接する点を中心に回転のつりあいは l −M g cos α + R2 l sin α + µ2 R2 l cos α = 0 2 (1.44) l −M g + R2 l tan α + µ2 R2 l = 0 2 (1.45) 1 + µ1 µ2 1 − µ1 µ2 Mg − µ2 = − µ2 = 2R2 2µ1 2µ1 (1.46) より、 tan α = tan α が求まって、一見変な感じだが、これは滑り出す角度を与えている。 µ2 = 1 − 2 tan α µ1 (1.47) であるので、横軸に µ1 、縦軸に µ2 として双曲線を描いて、その右上と、0 < µ1 < 1、0 < µ2 < 1 で指定される 領域が、求める領域。 問題2−10 半径 a、質量 m の一様な円盤が鉛直方向を回転軸として角速度 ω0 で回転している。粗い水平面(摩擦係数 µ′ ) の上に置いたらどれだけの時間で止まるか。 微少面積 ds = rdrdθ に対し、力は dF = µρzgds = µgρzrdrdθ (1.48) dN = µgρzr2 drdθ (1.49) モーメントは、 なので、 N = µgρz 2 a3 (2π) = µM g a 3 3 また、 1 M a2 2 (1.51) ω0 I 3 ω0 a = N 4 µg (1.52) I= 等角加速度運動なので、 T = (1.50) 問題2−11 9 軸を水平にしてそのまわりに回転できる一様な円柱 (質量 M ) に糸をまきつけ、その端に物体 (質量 m) をつる して放す。重力加速度を g とする。糸の張力を求めよ。 高さ h、半径 a、密度 ρ の円柱の慣性モーメントは、 I= 物体の運動方程式 m 1 1 ρπa4 h = M a2 2 2 (1.53) d2 x = mg − T dt2 (1.54) d2 θ = Ta dt2 (1.55) I d2 x =T a2 dt2 (1.56) 円柱の運動方程式 I また、aθ = x なので、 T を消せば、 (m + I d2 x ) = mg a2 dt2 (1.57) T = I mg a2 m + I/a2 (1.58) M mg mM g = 2 m + M/2 2m + M (1.59) 微分を消せば、 I を代入 T = 問題2−12 直角三角形の直角 O をはさむ二辺の長さを a、b とし、その二辺の端にそれぞれ質量 m1 、m2 の質点をつけ、O を支点にして鉛直面内で微小振動をさせるとき、その周期を求めよ。ただし三角形自体の質量は無視する。 原点を O として、a の方に x 座標、b の方に y 座標をとれば、重心の座標は、 ) ( m2 b m1 a , (xG , yG ) = m1 + m2 m1 + m2 原点と重心の距離 l は √ m21 a2 + m22 b2 l= m1 + m2 (1.60) (1.61) O を中心とする慣性モーメントは、 I = m1 a 2 + m2 b 2 従って、 √ T = 2π I = 2π (m1 + m2 )gl √ m a2 + m2 b2 √1 g m21 a2 + m22 b2 (1.62) (1.63) 問題2−13 一様な円板 (半径 a、質量 M ) が鉛直面内に固定された粗い円輪(半径 b)の内面に接してすべらずに転がる運 動は 3(b − a)/2 の長さを持つ単振り子と同様であることを示せ。 粗い円輪の中心で測る円板の位置の角度を θ とすれば、粗い円輪の弧の長さは bθ であり、すべらないので、こ れが円板の動いた弧の長さである。しかし円板は粗い円輪の弧の上にあるので、実際の円板の回転角度は b θ′′ = ( − 1)θ a 10 (1.64) のように減る。 エネルギー保存は、回転、並進の運動エネルギーと位置エネルギーなので、 )2 ( ′′ )2 ( 1 1 dθ d((b − a)θ E= I + M + (b − a)(1 − cos θ)M g = E 2 dt 2 dt I = (1/2)M a2 などを代入すれば、 ( ) ( )2 M 3(b − a)2 dθ + (b − a)(1 − cos θ)M g = E 2 2 dt (b-a) で割ってから、h = (3/2)(b − a) として、h をかければ、 ( )2 M d(hθ) + h(1 − cos θ)M g = E ′ 2 dt (1.65) (1.66) (1.67) となり、これは長さ h の単振り子と同じ。 問題2−14 半径 a の一様なうすい円板がその平面 (xy 面) 内で運動している。突然その周上の一点(最も y 座標が小さい点) を固定したら円板はどういう運動をするか。なお固定前には円板は角速度 ω で回転し、重心の速度は (v cos θ, v sin θ) であった。 固定した点を A 点とする。円板の中心周りの慣性モーメントは I = (1/2)M a2 A 点周りの慣性モーメントは IA = M a2 + I = (3/2)M a2 A 点まわりの角運動量の保存を考える。固定後の角速度を ω ′ とする。 (IA )ω ′ = Iω − M va cos θ (1.68) より、 ω′ = 1 2v cos θ ω− 3 3a (1.69) 問題2−15 剛体が回転していて、回転軸の方向は一定の場合を考える。この剛体の運動エネルギーは、重心の並進運動の エネルギーと、重心まわりの回転の運動エネルギーの和であることを示せ。剛体を mi の質点の集合と思えば、運 動エネルギー K は、 2K = ∑ ( mi d⃗ri dt )2 (1.70) rG 中心に書き直す。 2K = ∑ 3項出てくる。1項目は、 2K1 = ( mi ∑ )2 d (⃗ri − ⃗rG + ⃗rG ) dt ( mi )2 d (⃗ri − ⃗rG ) dt (1.71) (1.72) これは重心まわりの回転の運動エネルギーである。これは、式の形だけを見ても、回転の運動エネルギーかは明 らかでないが、剛体なので、|⃗ri − ⃗rG | は一定なので、回転以外は不可能、という意味である。角度の式に直した いときは軸の方向を決めなくてはいけない。 2項目は、 2K2 = ∑ ( mi )2 )2 ( d d (⃗rG ) = M (⃗rG ) dt dt 11 (1.73) となり、重心の並進運動のエネルギー。 3項目のクロスタームは、内積を使って、(余弦定理でも) 2K3 = ∑ ( mi d (⃗ri − ⃗rG ) · ⃗rG dt ) (1.74) 和を中にいれれば 2K3 = ) ∑ d (∑ d mi⃗ri − mi⃗rG · ⃗rG = (M⃗rG − M⃗rG ) · ⃗rG = 0 dt dt (1.75) よって示せた。 これは I = IG + M h2 の証明と同じであった。 また、例として、振り子の運動エネルギーは、 K= 1 2 1 1 1 1 Iω = IG ω 2 + M h2 ω 2 = IG ω 2 + M v 2 2 2 2 2 2 (1.76) なので、「重心周りの回転」と「並進」の和になっていることもわかる。 問題2−16 xy 平面上に剛体振り子があって、重力は y 方向を向いているとする。回転軸は z 軸、摩擦のない軸の抗力を (Fx , Fy ) とする。重心の位置を (x, y)、y 軸から測った角度を θ とする。重心と軸の距離は h であり、 x = h sin θ, y = h cos θ (1.77) である。 (1) 重心の並進運動の運動方程式、剛体の回転運動の方程式をそれぞれ書け。 (2)(Fx , Fy ) を消して、θ についての運動方程式を求めよ。 (3)Fx を θ とその時間微分であらわせ。 並進の運動方程式は、 d2 x = Fx dt2 (1.78) d2 y = M g + Fy dt2 (1.79) d2 θ = hFy sin θ − hFx cos θ dt2 (1.80) M M 重心まわりの回転の運動方程式 IG これらからとりあえず Fx ,Fy を消すと、 M h cos θ d2 x d2 y d2 θ − M h sin θ 2 + IG 2 = −M gh sin θ 2 dt dt dt (1.81) 次に、x = h sin θ より、 dx dθ = h cos θ dt dt (1.82) d2 x dθ 2 d2 θ = −h sin θ( ) + h cos θ dt2 dt dt2 (1.83) 同様に、 d2 y dθ d2 θ = −h cos θ( )2 − h sin θ 2 2 dt dt dt これらを使うと、θ の一階微分の自乗の項(遠心力、向心力)は消しあって、 (M h2 + IG ) d2 θ = −M gh sin θ dt2 (3) の Fx ,Fy はほとんど上記の通り。遠心力が加わることに注意。 12 (1.84) (1.85) 問題2−17 (1) 長さ l の糸でつった円振り子が最低の位置で水平の速さ v0 で運動を始める。最高点でも糸がたるまず、質点が √ 円周を一定方向にまわりつづけるためには v0 > 5gl でなければならないことを示せ。 円運動をしていれば、エネルギー保存から最高点では v02 = v 2 + 4gl (1.86) v2 > g, v 2 > gl l (1.87) この v による遠心力が、重力より大きいので、 から v02 > 5gl (2) この時、最低の位置から角 θ だけ回転するのに要する時間はおよそ ωt = θ − g sin θ ω2 l (1.88) で与えられることを示せ。ただし ω は糸が水平になった時の角速度で、2g << ω 2 l とする。 であって、エネルギー保存は v02 = l2 ω 2 + 2gl (1.89) 1 1 mv02 = mv 2 + mgl(1 − cos θ) 2 2 (1.90) なので、v = lθ̇ を入れて θ̇2 = ω 2 + よって 2g cos θ l (1.91) √ dθ = ±ω 1 + (2g/(ω 2 l)) cos θ dt (1.92) dθ √ = ωdt 1 + (2g/(ω 2 l)) cos θ (1.93) θ − (g/(ω 2 l)) sin θ = ωt (1.94) 符号を決めて 分母を展開してから積分 13
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