問題2−1 (図 1) 図のような、バネと滑車と質点からなる系を考える。質点

問題2−1
(図 1)
図のような、バネと滑車と質点からなる系を考える。質点の振動の周期を求めよ。バネ定数は k 、滑車の慣性
モーメントは I 、質点の質量は m、糸の質量は無視でき、糸は伸び縮みしない。滑車と糸の間はすべらないとする。
問題2−2
長さ l、質量 m の棒の端を、自由にうごけるようにセロテープで天井にとりつける。水平位置で静止させて手
を離した。垂直になったときの速度を求めよ。
また、垂直になった時にセロテープにかかる力を求めよ。
また、所要時間を与える式を示せ。
問題2−3
斜面(傾斜 θ)をすべらずに転がる円柱(質量 M 、慣性モーメント I )の運動はどうなるか。
缶コーヒーを転がすとき、そのままと凍らせた場合と、どちらが早く落ちるか。
問題2−4
(2-4-1) 立方体の1辺を回転軸とする慣性モーメントを求めよ。辺の長さ l、密度 ρ.
(2-4-2) 円柱を立てておいて、側面に鉛直線を引く。この線のまわりに回転させる場合の慣性モーメントを求めよ。
高さ h、半径 r、密度 ρ。
(2-4-3)
円錐の対称軸(円錐軸)まわりの慣性モーメント。底面の半径 a、高さ h とする。
(2-4-4)
円錐の頂点を通り、円錐軸と垂直な直線まわりの慣性モーメント。
問題2−5
(2-5-1)
棒の端に、垂直に撃力を加える。動かない点はどこか。
(2-5-2)
棒でなくて、球ならどうなるか。
図 1: バネと滑車と質点
1
問題2−6
(2a-18-1) 地面に固定せずにほぼ垂直に棒を立てる。垂直との差を ϕ とする。手を離してから地面に着くまでの
時間が T となるように、ϕ を設定する。
任意の T に対して (どんなに T が大きくても)ϕ が決まることを示せ。
問題2−7
ロバーバルの天秤はどういうものか?一見釣り合わないように見えるのに、実は釣り合う理由を説明せよ。
問題2−8
(2-8-1) 自由に動ける円盤(質量 M 、慣性モーメント I )が静止していた。そこに質量 m の質点が速度 v でやっ
てきて外側に貼りついた。質点の貼りつき前の速度ベクトルの載っている直線と、円盤の中心との距離を h とす
る。貼りつき後の速度と角速度を求めよ。
(2-8-2) 貼りつき後の運動エネルギーを求めよ。
(2-8-3) 貼りつき前に、円盤の重心は静止していたが、回転はしていたとする。貼りつきの前後でエネルギーのロ
スがないのはどういう場合か。
問題2−9
長さ l、質量 M のはしごを壁にたてかける。水平面とはしごのなす角度を α、床からの抗力を R1 、静止摩擦係
数を µ1 , 壁からの抗力を R2 、静止摩擦係数を µ2 とする。はしごがすべらない条件を求めよ。なお静止摩擦係数
は 1 より小さいとする。
問題2−10
半径 a、質量 m の一様な円盤が鉛直方向を回転軸として角速度 ω0 で回転している。粗い水平面(摩擦係数 µ′ )
の上に置いたらどれだけの時間で止まるか。
問題2−11
軸を水平にしてそのまわりに回転できる一様な円柱 (質量 M ) に糸をまきつけ、その端に物体 (質量 m) をつる
して放す。重力加速度を g とする。糸の張力を求めよ。
問題2−12
直角三角形の直角 O をはさむ二辺の長さを a、b とし、その二辺の端にそれぞれ質量 m1 、m2 の質点をつけ、O
を支点にして鉛直面内で微小振動をさせるとき、その周期を求めよ。ただし三角形自体の質量は無視する。
問題2−13
一様な円板 (半径 a、質量 M ) が鉛直面内に固定された粗い円輪(半径 b)の内面に接してすべらずに転がる運
動は 3(b − a)/2 の長さを持つ単振り子と同様であることを示せ。
問題2−14
半径 a の一様なうすい円板がその平面 (xy 面) 内で運動している。突然その周上の一点(最も y 座標が小さい点)
を固定したら円板はどういう運動をするか。なお固定前には円板は角速度 ω で回転し、重心の速度は (v cos θ, v sin θ)
であった。
問題2−15
剛体が回転していて、回転軸の方向は一定の場合を考える。この剛体の運動エネルギーは、重心の並進運動の
エネルギーと、重心まわりの回転の運動エネルギーの和であることを示せ。
2
問題2−16
xy 平面上に剛体振り子があって、重力は y 方向を向いているとする。回転軸は z 軸、摩擦のない軸の抗力を
(Fx , Fy ) とする。重心の位置を (x, y)、y 軸から測った角度を θ とする。重心と軸の距離は h であり、
x = h sin θ, y = h cos θ
(1)
である。
(1) 重心の並進運動の運動方程式、剛体の回転運動の方程式をそれぞれ書け。
(2)(Fx , Fy ) を消して、θ についての運動方程式を求めよ。
(3)Fx を θ とその時間微分であらわせ。
問題2−17
(1)
長さ l の糸でつった円振り子が最低の位置で水平の速さ v0 で運動を始める。最高点でも糸がたるまず、質点が
√
円周を一定方向にまわりつづけるためには v0 > 5gl でなければならないことを示せ。
(2)
この時、最低の位置から角 θ だけ回転するのに要する時間はおよそ
ωt = θ −
g
sin θ
ω2 l
で与えられることを示せ。ただし ω は糸が水平になった時の角速度で、2g << ω 2 l とする。
3
(2)
第1章
解答
問題2−1
質点の上方向を x、滑車の左回りの角度を θ として、滑車と壁の間の糸の張力を T1 、滑車と質点の間の糸の張
力を T2 とする。バネの力の式
T1 = kx
滑車の回転の運動方程式
(T1 − T2 )a = I
物体の運動方程式
T2 = m
(1.1)
d2 θ
dt2
d2 x
dt2
(1.2)
(1.3)
また、aθ = x なので、これらから
d2 x
dt2
という単振動。両辺を a で割れば θ の運動方程式になるが、もちろん同様。周期は
√
ma2 + I
T = 2π
ka2
−ka2 x = (ma2 + I)
(1.4)
(1.5)
問題2−2
長さ l、質量 m の棒の端を、自由にうごけるようにセロテープで天井にとりつける。水平位置で静止させて手
を離した。垂直になったときの速度を求めよ。
また、垂直になった時にセロテープにかかる力を求めよ。
また、所要時間を与える式を示せ。
長さ l で、慣性モーメントは ml2 /3。エネルギー保存は、
1 2
l
Iω = mg
2
2
より
√
ω=
3g
l
(1.6)
(1.7)
最下点での遠心力と重力の和は
1 3g
5mg
ml + mg =
2
l
2
(1.8)
問題2−3
斜面(傾斜 θ)をすべらずに転がる円柱(質量 M 、慣性モーメント I )の運動はどうなるか。
缶コーヒーを転がすとき、そのままと凍らせた場合と、どちらが早く落ちるか。
摩擦力を R とすれば、重心の並進運動の方程式は
M
d2 x
= M g sin θ − R
dt2
4
(1.9)
回転角を ϕ とする。回転運動の方程式は、
d2 ϕ
= Ra
dt2
(1.10)
I d2 x
d2 x
+
= M g sin θ
dt2
a2 dt2
(1.11)
d2 x
M g sin θ
=
2
dt
1 + I/(M a2 )
(1.12)
I
また、x = aϕ である。R を消せば、
M
つまり
M
別の考えとして、接している点を中心にする回転を考察すると、
I′
ここで I ′ = I + M a2 なので、
d2 ϕ
= M ga sin θ
dt2
d2 ϕ
M ga sin θ
=
dt2
I + M a2
(1.13)
(1.14)
もちろん同じ式になっている。
問題2−4
(2-4-1) 立方体の1辺を回転軸とする慣性モーメントを求めよ。辺の長さ l、密度 ρ.
I=
2 5
ρl
3
(1.15)
(2-4-2) 円柱を立てておいて、側面に鉛直線を引く。この線のまわりに回転させる場合の慣性モーメントを求めよ。
高さ h、半径 r、密度 ρ。M = ρh(πr2 )
I = IG + M r 2 =
3
M r2
2
(1.16)
(2-4-3)
円錐の対称軸(円錐軸)まわりの慣性モーメント。底面の半径 a、高さ h とする。薄い円板を求めてから、それ
を積分する。
I=
πρa4 h
10
(1.17)
(2-4-4)
円錐の頂点を通り、円錐軸と垂直な直線まわりの慣性モーメント。半径 a の薄い円板の直径を軸とする慣性モー
メント I は、ρ が面密度なら、回転軸が y 軸として、x から x + dx の部分の寄与は
√
ρx2 a2 − x2 dx
なので、これを積分して、
∫
I = 2ρ
x2
√
M a2
a2 − x2 dx =
4
(1.18)
(1.19)
仮にこの時に、x 軸を回転軸とすれば、棒の慣性モーメントの式 (2/3)ml2 を使って、x から x + dx の部分の寄
与は
2
ρdxl3
3
5
(1.20)
なので
I=
2
ρ
3
∫
a
−a
(a2 − x2 )( 3/2)dx = ρ
2a4
3
∫
π/2
cos4 θdθ == ρ
−π/2
2a4 3
1
π = ρ πa4
3 8
4
(1.21)
としてもいい。
円錐は、これを使って I = IG + M h2 を使って足していく。
I=
π 2 a2
ρa h( + h2 )
5
4
(1.22)
問題2−5
(2-5-1)
棒の端に、垂直に撃力を加える。動かない点はどこか。
長さ 2l なら、I = (1/3)M l2 。重心の速度は
V =
F ∆t
M
(1.23)
回転の角速度は
F ∆tl
3F ∆t
3V
=
=
I
Ml
l
なので、中心から l/3 の点は力を加えた直後動かない。
ω=
(1.24)
(2-5-2)
棒でなくて、球ならどうなるか。
半径 a なら I = (2/5)M l2 。上と同じ計算で、中心から 2a/5 の点は動かない。
問題2−6
(2a-18-1) 地面に固定せずにほぼ垂直に棒を立てる。垂直との差を ϕ とする。倒れる時間までの時間を T となる
ように、ϕ を設定する。
任意の T に対して ϕ が決まることを示せ。
問題に書いてないが、床に接している部分は摩擦で動かないものとする。
床に接している点のまわりの運動を考え、角度 0 から動き出すとすれば、エネルギー保存は
l(1 − cos(θ)) = I(
dθ 2
)
dt
(1.25)
であるので、
dθ
∝θ
dt
∫
従って
T =
∫
dt =
これは、θ = 0 から積分すれば無限大になる。
6
(1.26)
dθ
θ
(1.27)
次に、床には全く摩擦がないとする。この時のエネルギー保存は、下向きの重心の速度と、回転のエネルギー
がそれぞれあって、
l(1 − cos(θ)) = I(
dθ 2
dx
) + M ( )2
dt
dt
(1.28)
である。ここで
θ2
2
なので、θ が小さいときはこの項は無視してよい。従って摩擦があるときと結果は同じ。
x = l(1 − cos θ) ≈ l
(1.29)
問題2−7
ロバーバルの天秤を説明せよ。
授業での解答では、復元力がある場合の式が示されたが、以下は復元力がない場合の説明。
(図 1.1)
右のTを左倒しにした枝をまず考えて、それの右のほうに mg がかかる。上の支点にかかる抗力を左に R1 、上
に R2 、下の支点にかかる抗力を右に R3 、上に R4 とする。mg がかかっている点を中心に回転のつりあいを書く
と、横枝を l1 , 縦を 2h とすれば
l1 (R2 + R4 ) = h(R1 + R3 )
(1.30)
もちろんこの中心はどこをとっても同じ。並進の式は、
mg = R4 + R2
(1.31)
R1 = R3
(1.32)
これらから、
R1 = R3 = mg
l1
2h
(1.33)
となる。
次に、左の T の対応する抗力を Ri′ とする。ただし mg のかかる位置を l2 とする。
左右で l1 、l2 が違うときの釣り合いが問題なわけだが、これは、上記のように、横方向の抗力にのみ効いてく
る。縦方向には効かないことがわかる。
図 1.1: ロバーバルの天秤 図を描くため分離してある。
7
(c)中の2本のつりあいは、横方向は、中央の支点の抗力でつりあうので問題ない。水平でない場合は、l1 ̸= l2
なのでモーメントがあるように見えるが、上と下の棒で逆なので、回すことはできない。上の棒と下の棒で縦の
力が生じてこのモーメントを打ち消す。つまり、角度によらずつりあう。
(d)縦は、右は mg = R2 + R4 左は mg = R2′ + R4′ かかり、上の棒と下の棒は常に平行なので、あわせてこ
の力がかかるものの、どちらにどれだけかかるかは分からない。これにより、もし片方の横棒に力のモーメント
がかかると、もう一方の横棒には逆にかかるので、回転できず、静止するしかない。mg の分配は同じでなくて、
(c)の効果で縦の力がかかるので、その後でそれぞれの棒が回転しないように分配される。
問題2−8
(2-8-1) 自由に動ける円盤(質量 M 、慣性モーメント I )が静止していた。そこに質量 m の質点が速度 v でやっ
てきて外側に貼りついた。質点の貼りつき前の速度ベクトルの載っている直線と、円盤の中心との距離を h とす
る。貼りつき後の速度と角速度を求めよ。
はりつき後の速度は
V =
mv
M +m
(1.34)
貼りつき後に一体になった物体(以降は物体と書く)の重心の位置は、中心から
l=
mr
M +m
(1.35)
の位置であって、それを中心とする慣性モーメントは、
I ′ = I + M l2 + m(r − l)2
(1.36)
これは以下のように変形してもよい
I′ = I + M (
mr 2
Mr 2
mM r2
) + m(
) =I +(
)
M +m
M +m
M +m
(1.37)
円板の中心まわりの角運動量保存から、
(I + M l2 + m(r − l)2 )ω + (M + m)V
mh
= mvh
M +m
(1.38)
二項目は重心の並進運動の効果。ここから、
(I + M l2 + m(r − l)2 )ω = mvh − (M + m)V
mh
m2 hv
mM hv
= mvh −
=
M +m
M +m
M +m
(1.39)
または、(0, hm/(M + m)) のまわりの角運動量保存を書けば、
(I + M l2 + m(r − l)2 )ω = (h −
hm
)mv
M +m
(1.40)
なので同じ。(外力がないのでどの点のまわりで書いても同じ。)
(2-8-2) 貼りつき後の運動エネルギーを求めよ。
略。上の ω を代入する。
(2-8-3) 貼りつき前に、円盤の重心は静止していたが、回転はしていたとする。貼りつきの前後でエネルギーのロ
スがないのはどういう場合か。
速度が同じばあい、つまり v = rω で最外周の上部に貼り付く場合。
8
問題2−9
長さ l、質量 M のはしごを壁にたてかける。水平面とはしごのなす角度を α、床からの抗力を R1 、静止摩擦係
数を µ1 , 壁からの抗力を R2 、静止摩擦係数を µ2 とする。はしごがすべらない条件を求めよ。なお静止摩擦係数
は 1 より小さいとする。
計算できるのは滑り出すギリギリのところだけである。そこでは摩擦力が決まるので。
長さ l の棒で、中央 l/2 の位置に重心がある。
壁を y 軸方向に、床を x 軸方向に書く。第一象限に右下がりで棒を置く。
床からの抗力を R1 、左向きにかかる摩擦力を µ1 R1 、壁からの抗力 R2 、上向きにかかる摩擦力を µ2 R2 、
x 軸方向のつりあい
µ1 R1 = R2
(1.41)
y 軸方向のつりあい
M g = R1 + µ2 R2 = (
ここから、
1
+ µ2 )R2
µ1
Mg
1 + µ1 µ2
=
R2
µ1
(1.42)
(1.43)
一方、床に接する点を中心に回転のつりあいは
l
−M g cos α + R2 l sin α + µ2 R2 l cos α = 0
2
(1.44)
l
−M g + R2 l tan α + µ2 R2 l = 0
2
(1.45)
1 + µ1 µ2
1 − µ1 µ2
Mg
− µ2 =
− µ2 =
2R2
2µ1
2µ1
(1.46)
より、
tan α =
tan α が求まって、一見変な感じだが、これは滑り出す角度を与えている。
µ2 =
1
− 2 tan α
µ1
(1.47)
であるので、横軸に µ1 、縦軸に µ2 として双曲線を描いて、その右上と、0 < µ1 < 1、0 < µ2 < 1 で指定される
領域が、求める領域。
問題2−10
半径 a、質量 m の一様な円盤が鉛直方向を回転軸として角速度 ω0 で回転している。粗い水平面(摩擦係数 µ′ )
の上に置いたらどれだけの時間で止まるか。
微少面積 ds = rdrdθ に対し、力は
dF = µρzgds = µgρzrdrdθ
(1.48)
dN = µgρzr2 drdθ
(1.49)
モーメントは、
なので、
N = µgρz
2
a3
(2π) = µM g a
3
3
また、
1
M a2
2
(1.51)
ω0 I
3 ω0 a
=
N
4 µg
(1.52)
I=
等角加速度運動なので、
T =
(1.50)
問題2−11
9
軸を水平にしてそのまわりに回転できる一様な円柱 (質量 M ) に糸をまきつけ、その端に物体 (質量 m) をつる
して放す。重力加速度を g とする。糸の張力を求めよ。
高さ h、半径 a、密度 ρ の円柱の慣性モーメントは、
I=
物体の運動方程式
m
1
1
ρπa4 h = M a2
2
2
(1.53)
d2 x
= mg − T
dt2
(1.54)
d2 θ
= Ta
dt2
(1.55)
I d2 x
=T
a2 dt2
(1.56)
円柱の運動方程式
I
また、aθ = x なので、
T を消せば、
(m +
I d2 x
)
= mg
a2 dt2
(1.57)
T =
I
mg
a2 m + I/a2
(1.58)
M
mg
mM g
=
2 m + M/2
2m + M
(1.59)
微分を消せば、
I を代入
T =
問題2−12
直角三角形の直角 O をはさむ二辺の長さを a、b とし、その二辺の端にそれぞれ質量 m1 、m2 の質点をつけ、O
を支点にして鉛直面内で微小振動をさせるとき、その周期を求めよ。ただし三角形自体の質量は無視する。
原点を O として、a の方に x 座標、b の方に y 座標をとれば、重心の座標は、
)
(
m2 b
m1 a
,
(xG , yG ) =
m1 + m2 m1 + m2
原点と重心の距離 l は
√
m21 a2 + m22 b2
l=
m1 + m2
(1.60)
(1.61)
O を中心とする慣性モーメントは、
I = m1 a 2 + m2 b 2
従って、
√
T = 2π
I
= 2π
(m1 + m2 )gl
√
m a2 + m2 b2
√1
g m21 a2 + m22 b2
(1.62)
(1.63)
問題2−13
一様な円板 (半径 a、質量 M ) が鉛直面内に固定された粗い円輪(半径 b)の内面に接してすべらずに転がる運
動は 3(b − a)/2 の長さを持つ単振り子と同様であることを示せ。
粗い円輪の中心で測る円板の位置の角度を θ とすれば、粗い円輪の弧の長さは bθ であり、すべらないので、こ
れが円板の動いた弧の長さである。しかし円板は粗い円輪の弧の上にあるので、実際の円板の回転角度は
b
θ′′ = ( − 1)θ
a
10
(1.64)
のように減る。
エネルギー保存は、回転、並進の運動エネルギーと位置エネルギーなので、
)2
( ′′ )2
(
1
1
dθ
d((b − a)θ
E= I
+ M
+ (b − a)(1 − cos θ)M g = E
2
dt
2
dt
I = (1/2)M a2 などを代入すれば、
(
) ( )2
M 3(b − a)2
dθ
+ (b − a)(1 − cos θ)M g = E
2
2
dt
(b-a) で割ってから、h = (3/2)(b − a) として、h をかければ、
(
)2
M d(hθ)
+ h(1 − cos θ)M g = E ′
2
dt
(1.65)
(1.66)
(1.67)
となり、これは長さ h の単振り子と同じ。
問題2−14
半径 a の一様なうすい円板がその平面 (xy 面) 内で運動している。突然その周上の一点(最も y 座標が小さい点)
を固定したら円板はどういう運動をするか。なお固定前には円板は角速度 ω で回転し、重心の速度は (v cos θ, v sin θ)
であった。
固定した点を A 点とする。円板の中心周りの慣性モーメントは I = (1/2)M a2
A 点周りの慣性モーメントは IA = M a2 + I = (3/2)M a2
A 点まわりの角運動量の保存を考える。固定後の角速度を ω ′ とする。
(IA )ω ′ = Iω − M va cos θ
(1.68)
より、
ω′ =
1
2v cos θ
ω−
3
3a
(1.69)
問題2−15
剛体が回転していて、回転軸の方向は一定の場合を考える。この剛体の運動エネルギーは、重心の並進運動の
エネルギーと、重心まわりの回転の運動エネルギーの和であることを示せ。剛体を mi の質点の集合と思えば、運
動エネルギー K は、
2K =
∑
(
mi
d⃗ri
dt
)2
(1.70)
rG 中心に書き直す。
2K =
∑
3項出てくる。1項目は、
2K1 =
(
mi
∑
)2
d
(⃗ri − ⃗rG + ⃗rG )
dt
(
mi
)2
d
(⃗ri − ⃗rG )
dt
(1.71)
(1.72)
これは重心まわりの回転の運動エネルギーである。これは、式の形だけを見ても、回転の運動エネルギーかは明
らかでないが、剛体なので、|⃗ri − ⃗rG | は一定なので、回転以外は不可能、という意味である。角度の式に直した
いときは軸の方向を決めなくてはいけない。
2項目は、
2K2 =
∑
(
mi
)2
)2
(
d
d
(⃗rG ) = M
(⃗rG )
dt
dt
11
(1.73)
となり、重心の並進運動のエネルギー。
3項目のクロスタームは、内積を使って、(余弦定理でも)
2K3 =
∑
(
mi
d
(⃗ri − ⃗rG ) · ⃗rG
dt
)
(1.74)
和を中にいれれば
2K3 =
)
∑
d (∑
d
mi⃗ri −
mi⃗rG · ⃗rG =
(M⃗rG − M⃗rG ) · ⃗rG = 0
dt
dt
(1.75)
よって示せた。
これは I = IG + M h2 の証明と同じであった。
また、例として、振り子の運動エネルギーは、
K=
1 2
1
1
1
1
Iω = IG ω 2 + M h2 ω 2 = IG ω 2 + M v 2
2
2
2
2
2
(1.76)
なので、「重心周りの回転」と「並進」の和になっていることもわかる。
問題2−16
xy 平面上に剛体振り子があって、重力は y 方向を向いているとする。回転軸は z 軸、摩擦のない軸の抗力を
(Fx , Fy ) とする。重心の位置を (x, y)、y 軸から測った角度を θ とする。重心と軸の距離は h であり、
x = h sin θ, y = h cos θ
(1.77)
である。
(1) 重心の並進運動の運動方程式、剛体の回転運動の方程式をそれぞれ書け。
(2)(Fx , Fy ) を消して、θ についての運動方程式を求めよ。
(3)Fx を θ とその時間微分であらわせ。
並進の運動方程式は、
d2 x
= Fx
dt2
(1.78)
d2 y
= M g + Fy
dt2
(1.79)
d2 θ
= hFy sin θ − hFx cos θ
dt2
(1.80)
M
M
重心まわりの回転の運動方程式
IG
これらからとりあえず Fx ,Fy を消すと、
M h cos θ
d2 x
d2 y
d2 θ
− M h sin θ 2 + IG 2 = −M gh sin θ
2
dt
dt
dt
(1.81)
次に、x = h sin θ より、
dx
dθ
= h cos θ
dt
dt
(1.82)
d2 x
dθ 2
d2 θ
=
−h
sin
θ(
)
+
h
cos
θ
dt2
dt
dt2
(1.83)
同様に、
d2 y
dθ
d2 θ
= −h cos θ( )2 − h sin θ 2
2
dt
dt
dt
これらを使うと、θ の一階微分の自乗の項(遠心力、向心力)は消しあって、
(M h2 + IG )
d2 θ
= −M gh sin θ
dt2
(3) の Fx ,Fy はほとんど上記の通り。遠心力が加わることに注意。
12
(1.84)
(1.85)
問題2−17
(1)
長さ l の糸でつった円振り子が最低の位置で水平の速さ v0 で運動を始める。最高点でも糸がたるまず、質点が
√
円周を一定方向にまわりつづけるためには v0 > 5gl でなければならないことを示せ。
円運動をしていれば、エネルギー保存から最高点では
v02 = v 2 + 4gl
(1.86)
v2
> g, v 2 > gl
l
(1.87)
この v による遠心力が、重力より大きいので、
から v02 > 5gl
(2)
この時、最低の位置から角 θ だけ回転するのに要する時間はおよそ
ωt = θ −
g
sin θ
ω2 l
(1.88)
で与えられることを示せ。ただし ω は糸が水平になった時の角速度で、2g << ω 2 l とする。
であって、エネルギー保存は
v02 = l2 ω 2 + 2gl
(1.89)
1
1
mv02 = mv 2 + mgl(1 − cos θ)
2
2
(1.90)
なので、v = lθ̇ を入れて
θ̇2 = ω 2 +
よって
2g
cos θ
l
(1.91)
√
dθ
= ±ω 1 + (2g/(ω 2 l)) cos θ
dt
(1.92)
dθ
√
= ωdt
1 + (2g/(ω 2 l)) cos θ
(1.93)
θ − (g/(ω 2 l)) sin θ = ωt
(1.94)
符号を決めて
分母を展開してから積分
13