特別演習 Philosophy of Economics 輪読ゼミ 価値システム専攻 坂野研究室 菅哲雄 Ross D. (2014). Philosophy of Economics Section 2.5 Ordinalism(P1~P7) パラグラフ 1:効用値の算出は困難 ! ! 直接効用値を測定することは実際上難しい作業である 効用そのものを単独で測定することはできない、効用は消費者の選択のトレ ードオフを示すもの → 少なくとも市場レベルにおいて、一般的な効用値 (general utility values)を求めることはできない パラグラフ 2:価値尺度としての貨幣の作用 ! ! ある財に関して、個人の所得の合計、消費する可能性のある全ての財の無差 別曲線が分かれば、需要関数を導出できる、しかし実践的ではない、なぜな ら個人の財のストックを観察することはできない 経済学者は、相対的な需要を近似的に定量化できる価値尺度が必要 → 貨幣は、市場の相互作用、効用関数に影響された相対的価値を測定する のに理想的な価値尺度 パラグラフ 3:貨幣と財に関する無差別曲線 ! ! ! チーズと貨幣に関する無差別曲線を考える 予想インフレ率・デフレ率をコントロールしたうえで、収入レベルに対応し たチーズの需要量を求めることができる 収入レベルが違えば、対応する無差別曲線も変化する パラグラフ 4:需要曲線の導出 ! ! ! ! 無差別曲線から市場の需要曲線を導出するのに、個人の効用の相対的な強度 についての仮定がない We assume only that、個人の選好順序が明確、無差別曲線の特定が可能→ 初期の marginalists は限界効用の signs(正負の符号)を比較することがで きると仮定、しかし効用の合計を測定できるものは存在しない Irving Fisher:均衡点(最大効用となる最適消費量)における相対価格は、 無差別曲線のその点における傾きを求めることで算出可能 すべての消費者の無差別曲線、消費の組み合わせを知ることができれば、 人々の選好の相対的な度合いを知る必要がない、(※理論的には)経済分析 が可能 パラグラフ 5:無差別曲線と心理学 ! ! ! ! 経済学の分析が個人の primitive indifference judgment に基づく限り、経 済学はまだ心理学から完全に切り離されたわけではない(※切り離されるべ きと筆者は考えている→無差別曲線に基づく方法に対し疑問を呈している) Pareto、個人の選択の選好順序を観察することで無差別曲線を構築できる 例:常に 4 グラムのチーズ<2 グラムのチョコレート、常に6グラムのチー ズ>2 グラムのチョコレート、5 グラムのチーズと 2 グラムのチョコレート の選好は inconsistent→無差別である ※inconsistent 整合的ではない 無差別曲線全体を明確にするには、チーズとチョコレートの代替率を導出す る必要がある、また簡単に線形と仮定してはいけない 市場でチョコレートとチーズが貨幣を通して売り買いされているとする。個 人の潜在的な psychological preference が連続性に欠けていたとしても、市 場においては、個人は線形の需要関数に基づき意思決定をしているように見 える。上のケースでは、個人は市場では常に 2 グラムのチョコレートと 5 グラムのチーズの代替率で消費している。 パラグラフ 6:心理学に基づく方法への疑問 ! 心理学に基づき効用関数を構築する方法はうまくいかなくなる " チョコレートとチーズの量の変化に伴う無差別曲線の急激な変化 " 無差別領域の幅 どのように個人は認識しているか? ! 2 グラムのチョコレートから0.1グラム減らし、5グラムのチーズでは0. 1グラム増やす、この組み合わせは無差別でなくなるのか?こういうケース では誤差の範囲として処理される。 ! また、無差別の仮定は、形式上の利便性のために存在しているよう見える。 (collapses to a true point)であればなぜ消費者は 2 グラムのチョコレート と 2.1 グラムのチョコレートの違いは特に気にしないと仮定しないのか? パラグラフ 7:Inquiring about the agent’s psychology ! ! ! Dan Hausman(2011)「その人がチョコレートとチーズの消費量に対し 正確な beliefs を持ち、さらにその beliefs に基づいて個人の選好がどのくら い正確になされているかを表す degrees を測定できなければ、その人の選好 を知ることはできない」 初 期 の marginalists は 心 理 学 の 仕 事 に 興 味 を も っ て い た 。 Gustav Fechner(グスタフ・フェヒナー)量の変化と意思決定の関連性について研 究を行った 現代の経済学者が行っている効用関数の推定の仕方 " 実 験 的 手 法 、 wrestling with issues around systematically distinguishing perceptual error from indifference " 19 世紀の心理学の内容からモデルの改善を模索している
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