2015 年 12 月 17 日 小松精練(3580) 担当 レーティング:NEUTRAL(2015/6/22)→ 近藤 浩之 NEUTRAL 受注数量は高水準も、生産性の悪化などで利益は低水準。 売上高 (百万円) 連 12/3 37,218 連 13/3 35,905 連 14/3 36,753 連 15/3 36,662 連 16/3(予) 38,000 第 2 四半期累計期間 連 14/4-9 18,879 連 15/4-9 19,284 株価(2015/12/16) 発行済み株式数(15/9 末) 自己株式数(15/9 末) 時価総額 企業価値(EV) ROE(15/3 実績) 予想配当利回り 予想 PER BPS(15/9 実績) PBR CFPS(15/3 実績) PCFR EV/EBITDA(15/3 実績) 伸び率 (%) 8.1 -3.5 2.4 -0.2 3.6 営業利益 (百万円) 1,974 1,285 362 412 1,000 伸び率 (%) 43.5 -34.9 -71.8 13.7 142.4 経常利益 (百万円) 2,396 1,810 993 957 1,400 伸び率 (%) 41.3 -24.5 -45.1 -3.7 46.3 純利益 (百万円) 1,435 1,200 772 632 1,000 伸び率 (%) 22.3 -16.4 -35.6 -18.2 58.2 EPS (円) 33.66 28.04 18.05 14.77 23.36 1 株配 (円) 12.00 14.00 12.00 12.00 12.00 -1.0 2.1 28 386 671 43,140 332 28,948 22,716 2.0 1.8 28.7 768.71 0.9 12.3 54.5 10.3 -94.6 - 309 685 -63.4 121.7 301 497 -60.2 64.7 7.05 11.62 6.00 6.00 円 千株 千株 百万円 百万円 % % 倍 円 倍 円 倍 倍 株価チャート(週足) 出所:小松精練、ブルームバーグ、今村証券 (資料1) 売上構成比(2015 年 3 月期) 染色加工大手で、衣料向けが主力(資料 1、出所:同社決算説明資料)。 繊維産業は原糸メーカーの中国や東南ア ジアへの生産移管が進み、染色の工程も海 外に移った(資料2、出所:一般社団法人 日本染色協会)。そのなかで、同社は質感 や触感、耐久性、吸放湿性などに優れた高 機能素材の開発に注力し差別化を図ってい る。開発した素材を世界的に認知度が高い 欧州トップブランドに売り込み、採用され ると、日本、中国、韓国などのブランドにも注目され、取引量が増える―という販売戦略をとる。 (資料2) 国内の染色整理加工実績(長・短繊維織物・ニット生地合計) 小松精練(3580) 1 2015 年 12 月 17 日 2016年3月期第2四半期は増収、大幅増益となり、期初計画との比較では売上高は7億円(4.2%)、 営業利益は0.8億円(28.7%)上回った。とはいえ、利益水準は依然として低水準だ(資料3、 出所:同社決算短信)。売上高は、国内向けが前年同期比▲1.0%で、資材分野のカーテン用途 が大きく落ち込んだ。一方で、海外向けは同+9.3%だった。欧州トップブランド向けのファッシ ョン素材や、北米向けのアウターウェア素材、中東の民族衣装向け素材などが伸びた。利益面で は、海外向けの好調に加えて、昨年後半以降の原油価格の急落に連れた燃料安、円安も寄与した。 利益が低水準にあるのは、①受注の小ロット化・短納期化による生産性の悪化、②染料・薬品 価格の高騰―が要因だ。受注数量は高水準を維持しているものの、小ロット・短納期での受注が 増え、生産ロスが生じやすくなっている。染料・薬品の価格は、最大生産国の中国での環境規制 の強化に伴い生産量が減少しており高止まりの状況にある。 通期見通しに変更はない(資料4、出所:同社決算短信)。従来から下期偏重型の見通しであ ったことから、予想通りといえる。一段と燃料安が進んだ恩恵を受け、会社計画近辺での着地が 可能と考える。 (資料3) 業績の推移(半期) (資料4) 業績の推移(通期) 戦略としては、欧米トップブランドへの販売に注力することに変わりはなく、他社に真似でき ない素材を開発し続けていく。最近は業務提携にも積極的で、10月に韓国の繊維素材メーカー KOLON FASHION MATERIAL社(以下、コーロン社)との包括提携を発表した。コーロン社は米国を 中心にアウトドア市場で評価が高い。同社は北米向けのウエイトが小さく、コーロン社の販路を 利用した販売拡大を狙う。両社の技術、設備を活用して共同開発も進める。 資材分野では、9月に大和ハウスが環境共生素材「グリーンビズ」を日本全国で販売する契約 を締結した。グリーンビズは、染色工場の廃棄物を原材料として作られた発泡セラミック基盤で、 屋上や壁面の緑化基盤材、壁、舗装、床などで用いられる。ミラノ国際博覧会の日本館などでも 採用された(資料5、出所:同社ホームページ)。 小松精練(3580) 2 2015 年 12 月 17 日 (資料5) グリーンビズ施工例 (資料6) 「fa-bo(ファーボ) 」 また、炭素繊維素材を用いた耐 震補強材の事業化を狙う。現在の 炭素繊維を用いた補強材といえ ば、シート状にして柱や梁に接着 させる工法で用いられるが、今回、 同社が発表したのは棒状のもの であり、地面と既存躯体を繋いだ り、壁に格子状に組んだりするこ とで強度を高める(資料6、出所:同社ホームページ)。旧本社棟(現、ファブリック・ラボラ トリー「fa-bo(ファーボ) 」)の耐震補強に取り入れた。課題は、国内では建築資材として認可 されていないことだ。認可を見据えて品質を向上させながら、認可されている海外で営業活動を 進める。 株価は炭素繊維の耐震補強材の事業化が報じられ大きく上昇した。一時 796 円と 1998 年以来 の高値を付けた。現在は報道前の水準に戻っている。投資指標面では、PBR、配当利回りが割 安な水準にあるのに対して、収益性が低水準に落ち込んでいることを映し、PERは割高感があ る(資料7、各社決算短信)。小ロット・短納期化への対応のため、省力化、高技術化、加工時 間の短縮などを可能とする設備に入れ替えなどを数年かけて行う見通しであり、この成果が出て くるのを待ちたい。投資判断はNEUTRALを継続する。 最後に、物色対象となりそうな材料を付け加える。新国立競技場の建設計画だ。14 日に応募 された 2 案が公表され、一方(A案)が隈研吾氏の設計とされる。隈研吾氏は上述した「fa-bo (ファーボ) 」の設計を手掛けたほか、複数の設計案件で「グリーンビズ」も採用している。仮 にA案に決まれば、「グリーンビズ」の採用もありえるとの連想が働く可能性がある。新国立競 技場の選定は年内の予定だ。 (資料7) 染色加工メーカーの業績・投資指標の比較 3580 東1部 3408 東1部 3569 東1部 3571 東2部 3577 東1部 3578 東2部 (注) 株価 売上高 営業利益 経常利益 純利益 伸び率 伸び率 利益率 伸び率 利益率 伸び率 (15/12/16) (百万円) (百万円) (百万円) (百万円) (%) (%) (%) (%) (%) (%) 36,753 2.4 362 -71.8 1.0 993 -45.1 2.7 772 -35.6 小松精練 671 36,662 -0.2 412 13.7 1.1 957 -3.7 2.6 632 -18.2 38,000 3.6 1,000 142.4 2.6 1,400 46.3 3.7 1,000 58.2 22,034 6.6 1,393 4.7 6.3 1,885 14.9 8.6 1,333 32.4 サカイオーベックス 226 24,845 12.8 1,463 5.0 5.9 2,125 12.7 8.6 1,346 1.0 25,500 2.6 1,550 5.9 6.1 2,200 3.5 8.6 1,500 11.4 97,982 8.4 5,849 51.9 6.0 6,409 43.7 6.5 4,204 55.0 セーレン 1,346 103,766 5.9 6,566 12.3 6.3 7,329 14.4 7.1 4,898 16.5 107,000 3.1 8,200 24.9 7.7 8,600 17.3 8.0 5,800 18.4 10,490 -1.3 433 33.6 4.1 1,187 196.7 11.3 828 7.3 ソトー 1,001 11,408 8.8 434 0.3 3.8 656 -44.7 5.8 501 -39.4 12,200 6.9 500 15.0 4.1 660 0.5 5.4 550 9.6 15,419 6.9 638 62.0 4.1 502 17.2 3.3 351 153.7 東海染工 136 16,339 6.0 759 19.0 4.6 748 48.9 4.6 461 31.3 16,400 0.4 770 1.3 4.7 750 0.2 4.6 460 -0.3 4,374 -4.3 -260 - -5.9 -160 - -3.7 -857 倉庫精練 102 3,344 -23.6 -685 - -20.5 -859 - -25.7 1,066 3,410 2.0 -220 - -6.5 -400 - -11.7 -420 上段:2014年3月期実績、中段:2015年3月期実績、下段:2016年3月期見通し。東海染工、倉庫精練の2016年3月期配当金は未定。 小松精練(3580) 3 予想 EPS 利益率 PER (円) (%) (倍) 2.1 18.05 1.7 14.77 2.6 23.36 28.7 6.0 20.66 5.4 20.88 5.9 23.28 9.7 4.3 70.53 4.7 82.00 5.4 97.08 13.9 7.9 65.10 4.4 39.44 4.5 43.22 23.2 2.3 10.27 2.8 13.54 2.8 13.50 10.1 -19.6 -120.38 31.9 149.70 -12.3 -58.98 - BPS (円) 727.92 761.83 190.39 225.82 964.92 1,103.80 1,254.42 1,267.27 150.30 174.02 156.97 311.88 - PBR (倍) 0.9 1.0 1.2 0.8 0.8 0.3 予想配当 配当金 利回り (円) (%) 12.00 12.00 12.00 1.8 2.00 2.00 2.00 0.9 15.00 20.00 22.00 1.6 40.00 40.00 40.00 4.0 3.00 4.00 0.00 5.00 - 2015 年 12 月 17 日 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明 本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解 を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬 も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義 O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。 N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場 合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様 への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お 客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま すようお願い申し上げます。 本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成 しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま たは完全性を保証するものではありませんし、本資料における過誤又は遺漏に対して何らの責任を負うものでもありま せん。本資料でインターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている 場合を除き、アドレス等の内容について当社は一切責任を負いません。本資料は、当然にお客様の投資結果を保証する ものではございませんので、今村証券は、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもあり ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま た、今村証券は本資料に関するお客様からのご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社 および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い または売りのポジションを有している場合があり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係 会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘 を行う場合があります。 日本および外国の株式・債券への投資は、株価の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評 価の変化、金利・為替の変動などにより、投資元本を割り込むリスクがあります。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承認なく、また電子的・機械的な方 法を問わず、本資料の全部もしくは一部引用または複製、転送等により使用することを禁じます。 小松精練(3580) 4
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