確率論 試験前プリント 1. (確率)数直線上の点 0 に動点 P がある。この動点 P は、六面体のサイコロを 1 回投げ、1 の目が出たら −1、2 または 3 の目が出たら 0、4 または 5 または 6 の目が出たら +1 だけ進 むとする。このとき、次の問いに答えよ。 (a) サイコロを 2 回投げたとき、動点 P が点 −2 にいる確率を求めよ。 (b) サイコロを 3 回投げたとき、動点 P が点 −2 にいる確率を求めよ。 (c) サイコロを 3 回投げたとき、動点 P が負の点にいる確率を求めよ。 2. (条件付確率)次の問に答えなさい。 (a) P (A) = 0.4, P (B) = 0.5, P (C) = 0.5, P (A∩B) = 0.2, P (A∩C) = 0.2, P (B∩C) = 0.2, P (A ∩ B ∩ C) = 0.1 のとき、P (B|Ac ), P (Ac |A ∪ B), P (A ∩ B|A ∪ B ∪ C) を求めよ。 (b) 事象 A, B1 , B2 に対して P (B1 ∪ B2 |A) = P (B1 |A) + P (B2 |A) − P (B1 ∩ B2 |A) が成り立つことを示せ。 3. (ベイズの定理) 壺の中に 5 個の赤球と 3 個の黒球が入っている。ただし、球は色以外は 全く同じものとする。壺から球を 1 つ取り出し、取り出された球の色を確認し、取り出され た球とともに同色の球を 4 個壺へ戻す。 (a) 2 回目に黒球が出る確率を求めよ。 (b) 2 回目に黒球が出たとき、1 回目が赤球である確率を求めよ。 4. (期待値・分散) 確率変数 X が次の確率関数をもつとき、期待値 E(X) と分散 V (X) を 求めよ。 2x k(k + 1) (x = 1, 2, 3, . . . , k) fX (x) = 0 (その他) 5. (積率) 確率変数 X の積率母関数が mX (t) = (1 − t)−3 , で与えられているとき、X の積率は E(X k−2 ) = た、確率変数 X の平均と分散を求めよ。 |t| < 1 k! , k = 2, 3, 4, . . . であることを示せ。ま 2 6. (不等式) 事象 A, B に対して、次の不等式が成り立つことを示せ。 P (A ∩ B) ≤ P (A) ≤ P (A ∪ B) ≤ P (A) + P (B) 7. (確率分布の再生性) 確率変数 X が次の確率関数をもつとき、確率変数 X はパラメータ λ(> 0), のポアソン分布に従うという。ポアソン分布の積率母関数 mX (t) が [ ] mX (t) = exp λ(et − 1) であることを用いて、次のポアソン分布の再生性を示せ。 「確率変数 Xi (i = 1, . . . , k) が互いに独立で、それぞれがパラメータ λi (i = 1, . . . , k) のポ アソン分布に従うとき、X1 + · · · + Xk はパラメータ λ1 + · · · + λk のポアソン分布に従う。」 確率論 試験前プリント 解答 1. (確率) (a) サイコロを 2 回投げたとき、動点 P が点 −2 にいるためには、2 回とも1の目が出なければなら ないので、求める確率は 1 1 1 × = 6 6 36 (b) サイコロを 3 回投げたとき、動点 P が点 −2 にいるためには、3 回中「2 または 3 の目」が 1 回、 「1の目」が 2 回出なければならないので、求める確率は ( ) ( )2 3 C1 2 6 1 6 = 1 36 (c) サイコロを 3 回投げたとき、動点 P が点 −3 にいるためには、3 回とも1の目が出なければなら ないので ( )3 1 1 = 6 216 サイコロを 3 回投げたとき、動点 P が点 −1 にいるためには、3 回中「1の目」が 2 回「4 また は 5 または 6 の目」が 1 回出るか、3 回中「1の目」が 1 回「2 または 3 の目」が 2 回出なけれ ばならないので ( )2 ( ) ( ) ( )2 1 3 1 2 1 1 7 + 3 C1 = + = 3 C2 6 6 6 6 24 18 72 以上から、サイコロを 3 回投げたとき、動点 P が負の点にいる確率は 1 1 7 7 + + = 72 36 216 54 2. (条件付確率) (a) P (B|Ac ) = P (Ac |A ∪ B) = P (A ∩ B|A ∪ B ∪ C) = = P (B ∩ Ac ) 0.5 − 0.2 1 = = P (Ac ) 1 − 0.4 2 P (Ac ∩ (A ∪ B)) 0.3 3 = = P (A ∪ B) 0.4 + 0.5 − 0.2 7 P ((A ∩ B) ∩ (A ∪ B ∪ C)) P (A ∪ B ∪ C) 0.2 2 = 0.4 + 0.5 + 0.5 − 0.2 − 0.2 − 0.2 + 0.1 9 (b) P (B1 ∪ B2 |A) = = = P (B1 ∪ B2 ) P (B1 ) + P (B2 ) − P (B1 ∩ B2 ) = P (A) P (A) P (B2 ) P (B1 ∩ B2 ) P (B1 ) + − P (A) P (A) P (A) P (B1 |A) + P (B2 |A) − P (B1 ∩ B2 |A) 3. (ベイズの定理) 壺の中に 5 個の赤球と 3 個の黒球が入っている。ただし、球は色以外は全く同じも のとする。壺から球を 1 つ取り出し、取り出された球の色を確認し、取り出された球とともに同色の 球を 4 個壺へ戻す。 (a) n 回目に黒球が出る事象を Bn 、 n 回目に赤球が出る事象を Rn とする。また、問題文より P (B1 ) = 3 , 8 P (R1 ) = 5 8 であることが分かる。いま、求める確率は P (B2 ) であり、事象 B2 が起こるには事象 B2 ∩ B1 ま たは事象 B2 ∩ R1 が起こらなければならない。また、事象 B2 ∩ B1 と事象 B2 ∩ R1 は互いに排 反であるので P (B2 ) = = P (B2 ∩ B1 ) + P (B2 ∩ R1 ) = P (B2 |B1 )P (B1 ) + P (B2 |R1 )P (R1 ) 3 3 5 3 7 × + × = 12 8 12 8 8 (b) P (R1 |B2 ) = P (R1 ∩ B2 ) P (B2 |R1 )P (R1 ) = = P (B2 ) P (B2 ) 3 12 × 3 8 5 8 = 5 12 4. (期待値・分散) E(X) = k ∑ x· x=1 E(X 2 ) = k ∑ k(k + 1)(2k + 1) 2x 2 1 = · = (2k + 1) k(k + 1) k(k + 1) 6 3 x2 · x=1 k2 (k + 1)2 k(k + 1) 2x 2 = · = k(k + 1) k(k + 1) 4 2 であるので V (X) = E(X 2 ) − {E(X)}2 = k(k + 1) − 2 { 1 (2k + 1) 3 }2 = (k + 2)(k − 1) 18 5. (積率) 確率変数 X の積率母関数をマクローリン展開すると mX (t) = (1 − t)−3 = ∞ ∑ 1 k=0 k! · (k + 2)! k t 2 となるのでで与えられているとき、X の積率は E(X k ) = (k + 2)! , 2 k = 0, 1, 2, 3, 4, . . . である。これより E(X) = 3, E(X 2 ) = 12 であるので V (X) = E(X 2 ) − {E(X)}2 = 12 − 32 = 3 である。 6. (不等式)A ∩ B ⊆ A ⊆ A ∪ B であるので P (A ∩ B) ≤ P (A) ≤ P (A ∪ B) が成り立つ。また、加法定理より P (A ∩ B) = P (A) + P (B) − P (A ∪ B) ≥ 0 であるので P (A ∩ B) ≤ P (A) + P (B) も成り立つ。 7. (確率分布の再生性) 問題文より、確率変数 Xi の積率母関数は [ ] mXi (t) = exp λi (et − 1) である。Y = X1 + · · · + Xk とすると、Y の積率母関数は mY (t) = mX1 +···+Xk (t) = k ∏ = k ∏ i=1 exp[λi (e − 1)] = exp t (Xi が互いに独立なので) mXi (t) i=1 [( k ∑ ) λi ] (e − 1) t i=1 これは、パラメータ λ1 + · · · + λk のポアソン分布の積率母関数であるので、題意が示された。
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