1 次:計算技能対策 2 次関数 2 講義のポイント ・2 次関数の頂点は公式の導出までできるように! ・共有点の個数では判別式の意味を理解しよう! ・2 次不等式はグラフで解をチェック! ■2 次関数の頂点 2 次関数の頂点は,公式を覚えるだけでなく,公式の導出ができるようにしておくことが 重要である.以下に平方完成を用いた頂点導出を示すので,自力で求められるようにして おこう。 2 次関数 𝒚 = 𝒂𝒙𝟐 + 𝒃𝒙 + 𝒄 の頂点の座標は (− 𝒃 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 ,− ) 𝟐𝒂 𝟒𝒂 (証明) 𝑦 = 𝑎𝑥 2 + 𝑏𝑥 + 𝑐 𝑏 = 𝑎 (𝑥 2 + 𝑥) + 𝑐 𝑎 = 𝑎 {(𝑥 + 𝑏 2 𝑏 2 ) −( ) }+𝑐 2𝑎 2𝑎 = 𝑎 (𝑥 + 𝑏 2 𝑏2 ) − +𝑐 2𝑎 4𝑎 = 𝒂 (𝒙 + 𝒃 𝟐 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 ) − 𝟐𝒂 𝟒𝒂 ■2 次関数のグラフと 𝒙 軸の共有点の個数 2 次関数のグラフと 𝑥 軸の共有点を求めることは, 𝑥 軸,つまり直線 𝒚 = 𝟎 との共有点を 求めることと同じである。2 式を結び,その式の判別式の符号を見ることで,共有点の個数 を判断することができる。 この判別式は,頂点の 𝒚 座標の値と 𝒙 軸との位置関係,または,解の根号内部の符号を 判別していると考えられる。 4 1 次:計算技能対策 2 次関数 𝒚 = 𝒂𝒙𝟐 + 𝒃𝒙 + 𝒄 について,𝒙 軸との共有点は 𝒚 = 𝟎 を考えて, 𝒂𝒙𝟐 + 𝒃𝒙 + 𝒄 = 𝟎 この判別式 𝑫 = 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 について, 𝑫 > 𝟎 のとき,𝒙 軸との共有点は 2 個 𝑫 = 𝟎 のとき,𝒙 軸との共有点は 1 個(接する) 𝑫 < 𝟎 のとき,𝒙 軸との共有点は 0 個 (判別式の意味) ① 頂点の 𝑦 座標と 𝑥 軸との関係 2 次関数 𝑦 = 𝑎𝑥 2 + 𝑏𝑥 + 𝑐 (𝒂 > 𝟎) について, 頂点の座標は (− 𝑏 𝑏2 − 4𝑎𝑐 ,− ) 2𝑎 4𝑎 であるから,この 𝑦 座標について, (i) − 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 < 𝟎 ⇔ 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 > 𝟎 のとき 𝟒𝒂 𝑦 座標が 𝑥 軸より下方に位置するので,共有点を 2 個持つ。 (ii) − 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 = 𝟎 ⇔ 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 = 𝟎 のとき 𝟒𝒂 𝑦 座標が 𝑥 軸と一致するので,グラフは 𝑥 軸に接し,共有点(重解)を 1 個持つ。 (iii) − 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 > 𝟎 ⇔ 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 < 𝟎 のとき 𝟒𝒂 𝑦 座標が 𝑥 軸より上方に位置するので,共有点を持たない。 これらのことは,𝒂 < 𝟎 の場合も同様である。 ② 解の根号内部の符号 2 次関数 𝑦 = 𝑎𝑥 2 + 𝑏𝑥 + 𝑐 について,𝑦 = 0 とおいたとき,解の公式より 𝑥 軸との 共有点の座標は, 𝑥= −𝑏 ± √𝑏2 − 4𝑎𝑐 2𝑎 ここで,解の根号内部について, (i) 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 > 𝟎 のとき 根号は正負の 2 種類存在するため,2 次関数は共有点を 2 個持つ。 (ii) 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 = 𝟎 のとき 根号は 1 種類になるため,2 次関数は共有点を 1 個持つ。 (iii) 𝒃𝟐 − 𝟒𝒂𝒄 < 𝟎 のとき 根号は実数値を取らないので,2 次関数は共有点を持たない。 5 1 次:計算技能対策 ■2 次関数のグラフと直線の共有点の個数 2 次関数のグラフと直線の共有点の個数は,𝑥 軸との共有点の求め方と同様に行えば良い。 2 次関数 𝒚 = 𝒂𝒙𝟐 + 𝒃𝒙 + 𝒄 について,𝒚 = 𝒑𝒙 + 𝒒との共有点は 𝒂𝒙𝟐 + 𝒃𝒙 + 𝒄 = 𝒑𝒙 + 𝒒 ⇔ 𝒂𝒙𝟐 + (𝒃 − 𝒑)𝒙 + 𝒄 − 𝒒 = 𝟎 となるので,この判別式 𝑫 = (𝒃 − 𝒑)𝟐 − 𝟒𝒂(𝒄 − 𝒒) について, 𝑫 > 𝟎 のとき,𝒙 軸との共有点は 2 個 𝑫 = 𝟎 のとき,𝒙 軸との共有点は 1 個(接する) 𝑫 < 𝟎 のとき,𝒙 軸との共有点は 0 個 ■2 次不等式 不等式内の変数に値を代入したとき,正しい評価を与えるものを不等式の解といい,不 等式を解くことは,その解をすべて求めることである。今回は 2 次項を不等式内に含む 2 次方程式の解を扱う。 𝒑 < 𝒒,𝒂 > 𝟎 のとき, 2 次不等式 𝒂(𝒙 − 𝒑)(𝒙 − 𝒒) < 𝟎 の解は,𝒑 < 𝒙 < 𝒒 2 次不等式 𝒂(𝒙 − 𝒑)(𝒙 − 𝒒) > 𝟎 の解は,𝒙 < 𝒑,𝒒 < 𝒙 ■解と係数の関係 2 次方程式の解は,因数分解や解の公式を用いなくても,方程式の係数を見ることで,大 まかな予想をすることができる。以下が解と係数の関係であり,導出までしっかりと理解 しておくことが重要である。 2 次方程式 𝒂𝒙𝟐 + 𝒃𝒙 + 𝒄 = 𝟎 の 2 つの解を 𝛂,𝜷 とすると 𝒃 𝒄 𝜶 + 𝜷 = − ,𝜶𝜷 = 𝒂 𝒂 (証明) ① 因数分解からの証明 2 次方程式 𝑎𝑥 2 + 𝑏𝑥 + 𝑐 = 0 の 2 解を 𝛼,𝛽 とすると, 𝑎𝑥 2 + 𝑏𝑥 + 𝑐 = 𝑎(𝑥 − 𝛼)(𝑥 − 𝛽) 𝑏 𝑐 ⇔ 𝑎 (𝑥 2 + 𝑥 + ) = 𝑎{𝑥 2 − (𝛼 + 𝛽)𝑥 + 𝛼𝛽} 𝑎 𝑎 となり,係数を比較すると, 𝜶+𝜷=− 𝜶𝜷 = 𝒃 𝒂 𝒄 𝒂 6 1 次:計算技能対策 ② 解の公式からの証明 2 次方程式 𝑎𝑥 2 + 𝑏𝑥 + 𝑐 = 0 の 2 解を 𝛼,𝛽 (𝛼 < 𝛽)とすると,解の公式から 𝛼= −𝑏 − √𝑏2 − 4𝑎𝑐 2𝑎 𝛽= −𝑏 + √𝑏2 − 4𝑎𝑐 2𝑎 であり, 𝜶+𝜷= = −𝑏 − √𝑏2 − 4𝑎𝑐 −𝑏 + √𝑏2 − 4𝑎𝑐 + 2𝑎 2𝑎 −2𝑏 2𝑎 =− 𝒃 𝒂 −𝑏 − √𝑏2 − 4𝑎𝑐 −𝑏 + √𝑏2 − 4𝑎𝑐 𝜶𝜷 = ( )∙( ) 2𝑎 2𝑎 2 (−𝑏)2 − (√𝑏2 − 4𝑎𝑐) = 4𝑎2 = 𝑏2 − 𝑏2 + 4𝑎𝑐 4𝑎2 = 𝒄 𝒂 7 1 次:計算技能対策 ●練習問題● 1 □ 2 次関数の頂点 次の 2 次関数の頂点の座標を求めなさい。 (1) 𝑦 = 2(𝑥 + 1)2 (2) 𝑦 = 2𝑥 2 + 4𝑥 − 1 (3) 𝑦 = −𝑥 2 + 4 1 7 (4) 𝑦 = 𝑥 2 − 3𝑥 − 2 2 2 □ 2 次関数のグラフと直線の共有点の個数 (1) 放物線 𝑦 = 𝑥 2 + 2(2 − 𝑘)𝑥 + 𝑘 が 𝑥 軸に接するように,定数 𝑘 の値を定めなさい。 (2) 放物線 𝑦 = 𝑥 2 − 4𝑥 + 𝑘 と 𝑥 軸の共有点の個数は,定数 𝑘 の値によってどのように 変わるか調べなさい。それぞれの場合について,𝑘 の範囲を数直線上に図示しなさい。 (3) 放物線 𝑦 = −𝑥 2 と直線 𝑦 = −2𝑥 + 𝑘 の共有点の個数を調べなさい。ただし,𝑘 は定数 とする。 (4) 放物線 𝑦 = −𝑥 2 + 2(𝑘 + 1)𝑥 − 2𝑘 2 が直線 𝑦 = 4𝑥 − 2 と共有点をもつような定数 𝑘 の 範囲を求めなさい。 3 □ 2 次不等式・解と係数の関係 次の 2 次不等式を解きなさい。 (1) 𝑥 2 − 𝑥 − 6 < 0 (2) 6𝑥 2 − 𝑥 − 1 ≥ 0 (3) 5𝑥 > 3(4𝑥 2 − 1) (4) − 𝑥 2 + 2𝑥 + 1 ≥0 3 次の 2 次方程式の解を 𝛼,𝛽 とするとき,𝛼 + 𝛽,𝛼𝛽 の値を求めなさい。 (5) 𝑥 2 + 4𝑥 − 5 = 0 (6) − 2𝑥 2 + 𝑥 + 4 = 0 (7) 3𝑥 2 − 4 = 0 (8) 4𝑥 2 + 4𝑥 − 1 = 0 8
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