運動学習から考える嚥下訓練 藤田保健衛生大学リハビリテーション学科 稲本 陽子 嚥下障害のリハビリテーションの歴史はまだ 30 年と浅い分野である.しかし この十数年に急速な勢いで発展しており,リハビリテーション医学の重要なカ テゴリーとなっている.超高齢化社会にはいり,嚥下障害患者が増加している 現状では嚥下障害に対する効果的かつ適切な介入が急務である. 嚥下訓練のアプローチは,当初は姿勢調整や食形態の調整など代償に焦点が あてられていたが,機能障害に対する訓練の有効性が認識されるようになり 様々な訓練方法が提唱されている. 本研修では,これらの嚥下訓練を運動学習の視点から整理し考えてみたい. 嚥下訓練のリハビリでは最終的なゴールは「食べる」という活動を再建するこ とである.そのゴールは練習によって到達可能となる.運動学習の主たる変数 である転移性,動機付け,行動変化,保持/応用をどのように構造化して練習 を組み立てていくかを検討する.
© Copyright 2025 ExpyDoc