64 幼児期は感性を育む時代 レッスンで子どもといろいろな 会話をする渡部先生にとって、 「相 手を知る」伴は、やはりコミュニ ケーションにある。 「最初のレッスンでは、まず自己 紹介をして私の声のトーンや口調 に慣れてもらいながら、家族のこ とや好きなものを聞きます。そし ピアノを弾く手の形も、子どもにわかりやすいように 「眼鏡の真似」で教える。 て、弾いてほしい曲があればリク エストに応え、なければ『先生の好きな曲』を1曲弾きます。こうしてコ ミュニケーションを取りながら子どもの反応や関心を引き出します。そ して、この子はどんなタイプの子なのか、積極的なのか恥ずかしがり屋な のか、集中力はどのくらいあるか、などをみていきます」 渡部先生の導入期のレッスンでは歌を多く取り入れ、生徒の年齢やタ イプによっては楽譜を使わないこともある。また、自作の短い旋律を使っ て模倣で歌わせたり、音を動物にたとえて強弱や速さ、音域に変化をつ けて弾いたりしながら、音でたくさん遊ぶ。 「子どもが小さいうちは、感覚優位の時期だからこそできる指導をたく さんやっておくことが大切ですね。3、4歳はとても輝いている年齢で す。この時期の体験は、すべて感性を磨くことにつながると思います」 感覚と音遊びから入る 子どもとの会話で、音楽に対する興味やもっている知識なども確認する。 先生「どんな音を知ってるかな?」 たとえば生徒が「ド」と答え、伴盤の位置もわかっているようなら、次
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