畑田 真美先生 :N Engl J Med 2015; 372:621-630 DOI: 10.1056/NEJMoa1406470 レンバチニブ;放射性ヨウ素治療抵抗性甲状腺癌に、新しい味方! Lenvatinib versus Placebo in Radioiodine-Refractory Thyroid Cancer 【背景】ソラフェニブの DECISION 研究に続き、RI内照射治療抵抗性の分化型甲状腺癌患者を対象とした 新たな経口マルチキナーゼ阻害を薬;レンバチニブの、多施設共同無作為化二重盲検第 3 相試験; SELECT 研究の結果が報告されました。 【方法】RI 内照射治療後、①SPECTで 131-I の取り込みはあるが腫瘍径が増大、②取り込みなし、③既に 600mCi 以上の 131-I 使用の治療抵抗性進行性甲状腺癌患者を対象に、レンバチニブ群(24 mg/日X28 日)(n=261)とプラセボ投与群(n=131)に無作為に割り付け、プラセボ群は,病勢進行が認められた時点で レンバチニブを非盲検下での投与を可能としました.主要評価項目は無増悪生存期間とした.副次的評価 項目は奏効率,全生存期間,安全性を検討しました. 【結果】無増悪生存期間中央値(50%が増悪する期間)は,レンバチニブ群 18.3 ヵ月,プラセボ群 3.6 ヵ月 で有意に延長していました(ハザード比 0.21,0.14∼0.31,P<0.001).奏効率は,レンバチニブ群 64.8%(完全寛解 4 例,部分寛解 165 例)であり、プラセボ群 1.5%に比し、有意に改善していました(P< 0.001).一方、全死亡については、両群に有意差を認めませんでした.治療関連有害事象は、レンバチニ ブ群は、すべてのグレードで 97.3% グレード 3 以上で 75.9%であり、プラセボ群 59.5%/9.9%に比し高 頻度でした。高血圧(67.8%),下痢(59.4%)などが多く、ソラフェニブで問題となった手足症候群も 31.8% に認めました.有害事象でのため,試験薬を中止した症例がレンバチニブ投与群では 37 例(14.2%)とプラ セボ投与群では 3 例(2.3%)認め、レンバチニブ群の死亡症例 20 例中 6 例は薬剤との関連ありと判断さ れました. 【結論】このように、RI内照射治療抵抗性甲状腺癌に対し,レンバチニブ(レンビマ)の無増悪生存期間と奏 効率の有意な改善が明らかとなり、これまで選択肢が少なかった進行性甲状腺癌の領域では、頼もしい味 方が増えました。ただ、折角の日本発ならば、できれば、もう少し覚えやすい商品名にしてほしかったので すが。。。 (文責 阿比留)
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