解答例 記事では、夏休みの宿題を有料で請け負う宿題代行業者がいること、そして、受験をひか えた子供の負担を減らすためなどの目的でそれを利用する保護者が多いことが紹介されて いる。それに対して、 「宿題を他人に任せることは望ましくない」という意見がある一方で、 「業者にやめさせることは難しい」という現実があることも指摘されている。 このような宿題代行サービスには、問題点が二つある。それは宿題の意義が見失われてし まうこと、そして、「お金があればなんでも解決できる」という考えにつながりかねないこ とである。 宿題は子供たちが学習の内容を定着させることに加え、計画を立てて期限内に課題を終 わらせる訓練になる。自由研究や読書感想文は、自然科学や歴史、文学に興味をもつきっか けにもなるだろう。それを業者に委託してしまっては、子供たちが得るものは何もない。 さらに深刻なのは、「お金があれば何でも解決できる」という考え方につながりかねない ことだ。宿題はお金を払えば業者に委託することができる。しかし、人間関係のような個人 的問題であれ、環境問題のような人類全体に関係する問題であれ、世の中の問題で、本当に 金銭の力だけで解決できるものはほとんどない。教育の目的には、そのようなはっきりと答 えのでない問題に向き合い、解決策を模索する力を養うことも含まれるだろう。しかし現状 は全くの逆である。このままでは、将来的には自分で問題を解決する力を持たず、面倒なこ とは他人に任せる人が日本中にあふれることになりかねない。これは日本社会にとって大 きな損失である。 学力差を考えずに大量に出されるなど、学校の宿題の出し方に問題があるという意見も あるだろう。しかし、宿題を他人に任せてお金で解決しても、根本的な問題は解決されない。 宿題の出し方に問題があるのなら、代行を頼むのではなく、宿題のあり方を変えていく必要 がある。ドリルは子供たちの理解度によって難易度を段階分けし、自由研究や読書感想文 は、授業の中で取り組み方や考え方のヒントを示すことなどが考えられる。市役所や図書館 で、地域の歴史や身近な問題など、きっかけになるものを紹介するのも効果的だろう。 本人が宿題に取り組むべきなのはもちろんだが、宿題そのものの内容についても改善の 余地がある。子供たちの将来を考えるのならば、安易に宿題代行サービスに頼るのではな く、宿題のあり方を見直すべきだと私は考える。(999 字)
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