【学術委員会企画シンポジウム】13:00~15:00 B 会場(1 階イベントホール(東)) 第 62 回学会における学術委員会主催シンポジウム「いじめと学校保健」 学校に関わるいじめについては,問題が深刻で発生数も多いことなどから重大な問題と されている。最近は,ネットいじめの増加も懸念されている。社会や個人はいじめに対し て様々な対策を講じてきたが,残念ながら,認知件数は減少していない。その中では,2012 年の大津いじめ自殺事件など悲惨な事態も発生している。また,いじめは大人においても 起こる問題である。そのため,社会的対策が強く求められ,いじめ防止対策推進法が施行 され(2013 年 9 月) ,いじめ防止等のための基本的方針が策定された(同年 10 月) 。その 対策は,一次予防から三次予防まで含む総合的なものであり,国,地方自治体,学校,地 域社会などが相互に連携して実施されることが必要である。いじめ対策における学校の役 割は大きく,基本方針の策定,対策のための組織の構築,未然防止を含む総合的な取組, 組織的対応の実施等が,さらには,対策の実効性を高めるための PDCA による評価・改善 が求められている。 いじめは,学校保健においても,心の健康,安全,危険行動,生徒指導などに関わる重 要な課題である。学会においてもいじめ問題には関心が寄せられてきた。上記の社会的対 策に先立ち,いじめや攻撃的行動等の研究論文が多数報告されている。企画等については, 例えば第 59 回学会(2012 年)では,シンポジウム「いじめ防止対策-一次予防に焦点を 当てて-」が開催され,報告,協議がされた。 「学校保健研究」の巻頭言においても,ドナ・ クロスが,いじめの長期的被害,予防と介入を統合した全校的な取組,多段階レベルでの 対策等の必要を唱え,メタアナリシスによる海外での有効な取組の要素,ネットいじめの 特性等の知見を紹介した(54 巻 4 号,2012 年) 。また,新井は,いじめの予防等を子供や 学校の自律性に頼ることの限界,公的介入の必要,日本のいじめの特性(心理的いじめ, 加害者と被害者の同居,入れ替わりなど)などについて論じ,学校の基本方針を含む組織 的な取組の必要について述べた(56 巻 1 号,2014 年) 。 いじめに対して,現在は,国内全域にわたる総合的対策が開始されて間もない時期と考 えられる。今回のシンポジウムでは,具体的対策が実施されている現状を勘案し,複雑化 するいじめに対して,一次予防対策,総合的対策に関わる組織の立場などから,多面的に 協議する。具体的には,ネットいじめの問題性や対応,いじめ防止プログラムの開発,取 組の総括責任者である管理職の視点,早期発見等に大きな役割を果たす養護教諭の視点か ら,知見や経験などについて発表していただき,フロアを交えて協議を行う。
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