高性能カスタムフィルタの開発 Test Equipment Plus

CST S U C C E S S S T O R Y
高性能カスタムフィルタの開発
Test Equipment Plus
発想:プロ仕様のスペクトラムアナライザをエン
トリレベルの価格で
Test Equipment Plus は Signal Hound®ブランドのスペクト
ラムアナライザを開発している米国の会社です。Signal
Hound はコストを最小化しながらパフォーマンスを最
大化することと、さまざまな分野で技術研究所レベル
での応用に堪えることを設計思想として作られました。
コンパクトで軽く、手頃な価格の同製品は、現在、電
図1
気通信やスペクトルモニタリングから航空宇宙・防衛
ルタを使用
Signal Hound BB60C
CST MW STUDIO で設計したフィ
産業にわたる各分野で広く使用されています。
Equipment Plus は、部品表に大きなコストの上乗せをせ
高い競争力が維持できるように、Signal Hound スペクト
ずにプロ仕様のスペクトル分光を達成する必要に迫ら
ラムアナライザは値頃感とパフォーマンス、可搬性に
れていました。
配慮した設計がなされ、その狙い通りに優れたコスト
パ フ ォ ー マ ン ス を 発 揮 し ま す 。 次 世 代 機 ( 9kHz ∼
12.4GHz と 9kHz∼6.0GHz で動作する USB 接続のリア
Test Equipment Plus について
ルタイム・スペクトラムアナライザ)についても上記
Test Equipment Plus は、測定機器市場に向けて高品質なサ
のコア・コンピテンシを維持するべくさらに上位のコ
ービスとサポートを手頃な価格で提供する会社です。
ストパフォーマンスが追求されました。
HP と Agilent 製品を扱うかたわらで Signal Hound ブラン
ドのポータブルなスペクトラムアナライザの設計・製
課題:競争力ある分光フィルタリング技術の開発
造・販売を手掛けています。五大陸の代理店と手を携え
て、測定機器の大手企業と対等に競争するための地歩を
Signal Hound 次世代機の開発過程で、最初のプロトタイ
プでは要求水準を達成することができませんでした。
離散フィルタが問題と分かり、複数のフィルタをカス
ケード接続してシールドしたものに換えましたが、期
待通りのパフォーマンスが得られません。この時の Test
着々と固めています。
Test Equipment Plus は、La Center(Washington, USA)を拠
点とする 1996 年創立の非公開企業です。
www.conti-online.com/
www.aetjapan.com
CST S U C C E S S S T O R Y
CST MW STUDIO(CST MWS)の導入によって Test
公差やエージング効果、環境バリエーションを考慮し
Equipment Plus はそれまでの離散フィルタからプリン
た設計評価も行いました(図 3)。その結果、製造過程
ト基板フィルタの使用へと大転換を果たしました。プ
で受けるさまざまな影響や長期間の使用に耐える十分
リント基板フィルタはプリント基板に内蔵され、した
なロバスト性を有するフィルタの設計が可能となりま
がって製造コストはプリント基板の製造コストに含ま
した。
れます。そのため追加のコストはエンジニアリング時
間が生じるのみで済みました。プリント基板フィルタ
は、3 次元フルウェーブ電磁界シミュレーションの導
入によって得られたソリューションでした。
このフィルタには無スプリアスのダイナミックレンジ
を 35dB 拡張することにより、アナライザのスペクトル
純度を高める働きがあります。従来の製品を大きく上
回るこのパフォーマンスを得る上で CST MWS は「特
リソースが限られている中小企業ではツールの汎用性
効薬」とも言える役割を果たしました。CST MWS が無
が大きな鍵となります。また、計算の精度や速度、使
ければ Test Equipment Plus は製造コストを大幅に増や
いやすさも重要な要素です。さらに CST MPHYSICS
すか、形状因子を変えるか、あるいは低パフォーマン
STUDIO の熱ソルバーなどの機能や技術が簡単に追加
スで妥協せざるを得なかったかもしれません。
できる拡張性も望まれます。
3 次元フルウェーブシミュレーションの提供する設計
Test Equipment Plus では CST MWS によってバーチャ
ルプロトタイピングの実行が可能となり、新製品の開
発にかかる時間と費用を削減する環境が整いました。
機能が製品を次のレベルへと進化させました。CST の
技術サポートが大きな力となったことも一言申し添え
ます。
また、部品の構造パラメータや材質パラメータの値を
変化させてシミュレーションを行うことにより、材質
“CST MICROWAVE STUDIO has been invaluable in
や製造過程におけるバリエーションの影響が予測可能
expanding our design capabilities at TEP, giving us a
になります。このことは、ロバストで製造性の高い製
competitive advantage over our peers and closing the gap
品を設計するうえで非常に重要です。
between us and the big players in the test and
measurement industries.”
成果:ハイパフォーマンスでローコストなカスタムフ
ィルタ
Morgan Robby
Microelectronics Physicist and Field
Applications Engineer,
Test Equipment, Inc.
今回 Test Equipment Plus が導入したのは、GPU ハード
ウェア環境で実行される CST MWS 時間領域ソルバー
です。新たに導入した解析環境のもとでカスタムフィ
ルタの設計ソリューションを得ると共に、基板の製造
図 2: 9 素子結合ラインフィルタとビアポストの CST MW
図 3: 9 素子結合ラインフィルタのパフォーマンスシミュレー
STUDIO モデル
ション結果:理想(青)、製造過程における影響を考慮(黄)、
プロトタイプの測定結果(黒)
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