DIニュース ☆ No.181 2015. 10. 5 秋津鴻池病院 薬剤部 痛風・高尿酸血症治療薬 ☆ 痛風は、高尿酸血症が持続した結果として関節内に析出した尿酸塩が起こす、結晶誘発性関節炎を主な症状と する疾患です。高尿酸血症はプリン体の代謝の最終産物である尿酸の産生過剰、排泄の低下またはこれらの合併 によって生じ、その発症には遺伝的な素因や基礎疾患、薬剤の他にアルコールの過剰摂取や過度な運動などの環 境素因が関わっています。年齢、性別を問わず血清尿酸値 7.0mg/dL(血漿中の尿酸溶解度、37℃)を超えるものが 高尿酸血症と定義されていますが、例えば 30℃における尿酸の溶解度は 4mg/dL 程度であるため、尿酸は比較 的体温の低い遠位の末梢関節などで析出しやすくなっており、これにより尿酸の結晶化、沈着、そして痛風が起 こります。一般に痛風では腫脹、熱感、発赤、鋭い圧痛がみられ、徐々に寛解に向かうものの、QOL を著しく低 下させます。また、血清尿酸値が高まるとともに生活習慣病のリスクが高まるということにも注意が必要です。 ≪尿酸降下薬≫ 分類 医薬品名 ベネシット (プロベネシド) 尿酸排泄促進薬 パラミヂン (ブコローム) ユリノーム (ベンズブロマロン) 作用機序・特徴 尿管からの尿酸再吸収抑制により、尿中への尿酸排泄を 増加させる。 尿アルカリ化薬を併用して尿路結石の防止につとめる。 産生過剰型に投与すると尿中尿酸排泄量が増加する。 劇症肝炎が報告された。(ベンズブロマロン) ザイロリック キサンチンオキシダーゼを阻害し、 (アロプリノール) 尿酸生成を抑制する。 尿酸排泄低下型では代謝物であるオキシプリノールの血 尿酸生成抑制薬 フェブリク (フェブキソスタット) 中濃度が増加しやすい。(ザイロリック) 軽度から中等度の腎障害では減量は不要だが、 副作用に肝障害がある。(フェブリク) 赤字:当院採用医薬品 ≪痛風発作治療薬≫ ●コルヒチン… 痛風発作の前兆期に用いる ●NSAID… 極期に比較的大量の投与で炎症を鎮静化させる ●副腎皮質ステロイド… NSAID が無効、または使用できない場合、多発 性に関節炎を生じている場合に用いる 痛風発作時の注意点 痛風発作中はできるだけ患部を安静に保ち、冷却 し、禁酒を指示します。 痛風発作時に尿酸値を急激に変動させると、発作 が増悪することが多いため、発作中に尿酸降下薬 を開始しないことが原則とされています。 尿酸降下薬投与中に痛風発作が起こった場合は、 原則として投与を中止せず、そこにコルヒチン、 NSAID などを加えて治療を行います。 アスピリンは多量に飲むと尿酸値を下げる作用 あり、かえって発作がひどくなるため避けなけれ ばなりません。
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