非ステロイド性抗炎症剤 ネバナック懸濁性点眼液0.1

第39回 コンパス薬局スキルアップ勉強会
2015.1.30 山内
『非ステロイド性抗炎症剤 ネバナック懸濁性点眼液0.1%について』
日本アルコン株式会社 宮野佳則様
参加者:高橋芳樹先生、松下、熊山、石橋、佐藤、小西、阿部、藤吉、青野、梅津、山内
ネバナックはネパフェナクを含有する、アリール酢酸系の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)
に分類される点眼剤である。
ネパフェナクは眼内の加水分解酵素で活性を示すアンフェナクに変換されるプロドラッグ
であり、速やかに眼内に移行させる。アンフェナクはシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害
し、プロスタグランジン(PG)の生合成を抑制することで抗炎症作用を発揮する。
ネバナックは非臨床試験において、優れた角膜透過性、強力なPG 生合成阻害作用、血液
房水関門損傷の抑制作用などが示されている。
【効能・効果】
内眼部手術における術後炎症
【用法・用量】
通常、手術前日より、用時よく振り混ぜた後、1回1滴、1日3回点眼する。但し、手術日は
術前3回、術後1回点眼する
【禁忌】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
【副作用】
国内で実施した眼手術患者を対象にした臨床試験で、総症例484例中10例(2.1%)に副作用
が認められた。主な副作用は、眼の異物感2件(0.4%)、アレルギー性結膜炎2件(0.4%)で
あった。重大な副作用に角膜潰瘍、角膜穿孔が報告されている。
【特徴】
・内眼部手術に特化した点眼薬である。(ジクロフェナクは白内障手術のみの適応)
・ステロイド点眼薬での懸念点であった白内障手術後の膿胞性黄斑浮腫(CME)発症を抑制
できる。また、中心窩網膜厚をステロイドに比べて厚くしないので、安全に使用できる。
・高い角膜浸透性を有するプロドラッグ製剤であり、プロスタグランジンの生合成を速や
かかつ長時間阻害できる。ウサギ網様体を用いた試験では90%のPG合成阻害が確認された。
・懸濁性点眼液のため、使用前にはよく振とうする必要がある。pHは涙液に近い中性であ
る。また、室温保存が可能な点はジクロスターよりも使いやすい点である。
【考察】
眼科手術後に生じる炎症の治療には、従来から、ステロイド点眼液と非ステロイド性抗炎
症剤(NSAIDs)の点眼液が、併用もしくは単独で使用される。このうちNSAIDs点眼薬は、
ステロイド点眼薬に比べると抗炎症作用は弱いものの、ステロイド緑内障や感染症の誘発
などリスクが少ないことから、特に軽症から中等症の術後炎症にはステロイド点眼薬に優
先して使用されることが多くなっている。
ネバナックはブロムフェナク点眼液以来、10年ぶりの新規のNSAIDs点眼薬であり期待する
ところも大きい。PG生合成を速やかかつ持続的に阻害できることで従来の点眼薬に比べて
効果が期待できるだけでなく、CMEの発生頻度も低く安全性の面でも期待ができる。
ただ、使用前によく振る必要がある点、ボトルが固く点眼にコツがいる点、他のNSAIDs点
眼液に比べて高薬価であることも患者さんに事前にしっかりと説明することが必要となる。
【質疑応答】
Q.他の点眼液に比べて使い終わるのが早いとの問い合わせを受けるが理由は?
A.ボトルが固いので点眼の際に力が余分にかかるため、一滴の量が多くなっていると考え
られる。ボトルの底を押すように3点で固定して点眼することで、力を入れなくても点眼し
やすく、一滴の量も通常量にすることができる。
Q.薬価はいくらなのか?
A.1mL あたり 191.3 円。ブロナック点眼液(110.9 円)やジクロスター点眼液(41.1 円)
に比べると高薬価となっている。
Q.白内障手術後の点眼薬のシェアは?
A.ネバナックのシェアは 20%弱。1 位はブロナックで、理由としては点眼回数が 1 日 2 回
と少ない点、また、適応の範囲が広いこともあり処方しやすいのではとのこと。