No.206 2015 年 1 月 丸子中央病院 薬局 昔は『ぜいたく病』とも呼ばれ、一部の上流階級の人々しかかからなかった痛風。で すが食が豊かな現代ではとてもポピュラーな病気の一つとなっています。一般的に中年 男性に多く発症しますが、最近では 30 歳以下の若い世代の発症もみられるようです。 痛風とは… 血液中の『尿酸』という物質が結晶となって関節などにたまり、 耐えがたい痛みのある炎症を起こす病気です。 尿酸とは… 一言で言うと、体の老廃物です。血液中の尿酸の濃度のことを『尿酸値』と呼びます。 尿酸値は通常 7.0mg/dl 以下で正常です。尿酸値が 7.0mg/dl を超える状態を『高尿酸血 症』言い、この状態を放置しておくと高い確率で痛風発作が起こります。 症状 その名の通り、風が吹いただけでも感じるほどの激烈な痛みが発作的に関節を襲いま す。多くは何の前触れもなく突然起こりますが、時に発作の前兆として患部の違和感(む ずむず、チクチクするなど)、熱っぽさ、だるさなどの症状が出ることもあります。 初回の発作は数時間でうそのように痛みが消えますが、発作を繰り返すうちに症状が 重くなり、発作の持続時間も長くなります。ほとんどの場合、足の親指の付け根に起こ りますが、こちらも発作を重ねるごとに肘や膝など次第に全身の関節に症状が出るよう になります。 痛風を放置すると… 発作を繰り返す状態を放置すると、やがて体のあちこちに『痛風結節』 と呼ばれるこぶができ運動障害が生じたり、腎不全にまで進行します。 治療法 基本は生活習慣の見直し、それでも改善しない場合は薬で治療します。 【生活習慣の見直し】 ☆プリン体の摂取を控える プリン体とは尿酸の原料となる物質で、レバーやアジなど身近な食べ物 や飲み物に多く含まれます。本などで調べてみましょう。 ☆アルコールを控える アルコールはその種類によってプリン体を多く含むだけでなく、アルコール 自体に尿酸の排泄を抑制する性質があります。ですから、 「プリン体の少ない焼 酎、プリン体ゼロのビールなら大丈夫!」というわけではないのです。 【薬物治療】 発作が治まっている時は、尿酸値を下げるお薬で 4~6mg/dl になるよう薬で コントロールします。 薬 発 ザイロリック 作 フェブリク が ユリノーム な ベネシッド い 時 ウラリット 前 兆 特徴 尿酸の産生を抑えることで尿酸値を下げるお薬です。 腎臓に作用して尿酸の排泄を促すことで尿酸値を下げるお薬です。 尿酸が尿に溶けやすくすることで尿酸の排泄を促し尿酸値を下げる お薬です。 発作前兆期にできるだけ早く飲むことで、発作を予防することがで コルヒチン 時 きます。しかし、ひとたび発作が起こってしまうと飲んでも効果は 期待できません。 発 ボルタレン 作 ナイキサン 時 インテバン 炎症を抑えることで痛みを和らげるお薬です。服用してからすぐに 効果を示すタイプのものを選択します。 新年会シーズンで何かと飲み会が多い季節です。そんな時に食生活に気を付ける なんてなかなか難しいですよね。 ですが痛風は発症してしまうととても厄介な病気です。頭の片隅に置いて、体に 優しくこのシーズンを乗り越えましょう 文責 薬局 早川・伊藤
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