動摩擦力の働く場合の最速降下線

動摩擦力の働く場合の最速降下線
理工学部 数理情報学科
T060089 藤野千奈美
目次
動摩擦のない場合についての最速降下線
• 目的地までの所要時間を表す積分
• 積分の極値を与える関数
• サイクロイド曲線
動摩擦のある場合についての最速降下線
• 速度の大きさと位置の関係
速度 大きさ 位置 関係
• 最速降下線
• 目的地までの所要時間
まとめ
動摩擦力のない場合についての最速降下線
・目的地までの所要時間を表す積分 最速降下線とは目
的地までの所要時
出発地点Oからの距離をs
間が最小になる曲
線
2
dt
=
ds
V
ds = 1 + ( dy dx ) dx、
s
T =∫
x( P)
0
dx 2
1+ ( )
dy
dx
V
( 物体の速度の大きさ)
(V:物体の速度の大きさ)
V = 2gx
・積分の極値を与える関数
一般的に関数 F ( x, f ( x ),
の積分を考える。
df ( x )
)
dx
区間
間 (0,a)を幅Δで区切って、
( )を幅
切
曲線を長方形で近似すると
∫
a
0
F ( x, f ( x )),
∫
a
0
dff ( x )
dff
dff
)dx
d = li
lim Δ ( F ( x0 , f ( x 0 ),
)
) + F ( x1 , f ( x1 ),
)
) + …)
Δ→∞
dx
dx
dx
N −1
dff
y − yi
F ( x, f ( x )), )dx
d ≅ li
lim Δ ∑ F ( xi , yi , i +1
) = I ( y1 , y2 " )
Δ→ 0
dx
Δ
i =0
微分の定義
I を多変数関数とみなして極値の条件を書く
∂I
∂I
∂I
= 0,
= 0," ,
=0 .
∂y1
∂y2
∂y N −1
N −1
I ( y1 , y2 " ) = lim Δ ∑ F ( xi , yi ,
Δ→0
i =0
∂F
1 ∂F
∂F
− (
−
)=0
∂y x = x j Δ ∂y ′ x = x j ∂y ′ x = x j −1
Δ→0
∂F d ∂F
− ( )=0
∂y dx ∂y ′
I の極値を与える関数 を決める方程式
yi +1 − yi
)
Δ
・サイクロイド曲線
1 + ( y ′) 2
F ( x, y , y ′) =
x
∂F d ∂F
− ( )=0
∂y dx ∂y ′
dy ( x )
x
=
dx
2a − x
解をパラメ タθを用いて表す
解をパラメータθを用いて表す
⎧ x = a (1 − cos θ )
⎨
⎩ y = a (θ − sin θ )
半径aのサイクロイド曲線となる。
動摩擦のある場合についての最速降下線
・速度の大きさと位置の関係
V:速度
速度
力学的エネルギー保存則
m 2
V = Wg + Wf
2
Wg
:重力がする仕事,
Wf
:動摩擦力がする仕事
重力の大きさはmg
垂直抗力Nは
N = mg
g cos θ
(m:物体の質量,g:重力加速度,θ:斜面の角度)
・速度の大きさと位置の関係
N = mg cos θ
動摩擦係数
W f = − ∫ μ ′Nds
Nd = − m g μ ′ ∫ cos θ ds
d
= − m g μ ′ ∫ dy = − m g μ ′ y
動摩擦力
ds cos θ = dy
m 2
V = Wg + Wf
2
Wg = mgx
V = 2g( x − μ′y)
μ′y ≤ x
物体の到達できるの範囲
・最速降下線
パラメータtを用いて考える
所要時間T
所要時間
dx
dy
= x,
= y
dt
dt
L=
⎧ d ⎛ ∂L ⎞
⎪ dt ⎜ ∂x ⎟ =
⎪ ⎝ ⎠
⎨
⎪ d ⎛ ∂L ⎞ =
⎪⎩ dt ⎝⎜ ∂y ⎠⎟
x 2 + y 2
x − μ′y
∂L
∂x
∂L
∂y
最速降下線を定める方程式
2
T =∫
2
⎛ dx ⎞ ⎛ dy ⎞
⎜ ⎟ +⎜ ⎟
d ⎠ ⎝ ddt ⎠
⎝ dt
dt
2 g ( x (t ) − μ ′ y (t ))
∂F d ∂F
− ( )=0
∂y ddx ∂y ′
最速降下線を定める方程式
⎫⎪
d ⎧⎪
x
1
x 2 + y 2
"①
⎨
⎬=−
3
2
2
dt ⎪⎩ ( x − μ ′ y )( x + y ) ⎪⎭
2 ( x − μ′y)
⎫⎪ μ ′
d ⎧⎪
y
x 2 + y 2
"②
⎨
⎬=
3
2
2
dt ⎪⎩ ( x − μ ′ y )( x + y ) ⎪⎭ 2 ( x − μ ′ y )
①×μ ′+②=0
x =
dy
μ′ +
dx
dy 2
( x − μ ′ y )(1 + ( ) )
dx
dx
dy
= 1, y =
(t=x)
dt
dx
= A (
(A:積分定数)
別軸XYを用いて考える
別軸XYを用いて考える。
⎧ X = x − μ′y
"③
⎨
⎩Y = μ ′x + y
dY
dyy
dX
=
dx 1 + μ ′ dY
dX
−μ′ +
dY
X
dX
=
dX
2a − X
⎧ X = a (1 − cos θ )
⎨
⎩Y = a (θ − sin θ ) + Y0
θ:パラメータ
サイクロイド曲線
x軸とサイクロイド曲線の接点( x1 ,0)について考える。
x1 =
{ − cos θ1 + μ ′(θ1 − sin
i θ1 )} + μ ′Y0
a{1
"④
2
1 + ( μ ′)
a{θ1 − sin θ1 − μ ′(1 − cos θ1 )} + Y0
0=
"⑤
2
1 + ( μ ′)
θ1が決まる。
1 − cos θ1 − μ ′ sin θ1
=0
sin θ1 + μ ′(1 − cos θ1 )
⑤
⎧ X = x − μ′y
"③
③
⎨
′
⎩Y = μ x + y
dy
dy dθ
=
=0
dx dx
dθ
Y0 = −a{θ1 − sin θ1 − μ ′(1 − cos θ1 )}
x1
x1
a=
=
1 − cos θ1 μ ′(1 + sin θ1 )
④→θ1 , x1が決まるとaが決まる。
が決まる
・目的地までの所要時間
2x1
T1 =
g
T2 =
a
(θ − θ1 )
g
1 + ( μ ′) 2
T = T1 + T2
x1 = a (1 − cos θ1 )
⎫⎪ a =
a ⎧⎪ (θ −θ1)
⎧⎪
、
+
−
T=
2(1
cos
θ
)
⎨
1 ⎬
⎨
2
g ⎪⎩ 1+ (μ′)
⎪⎭
⎩⎪
T 2g
⎫⎪
+ 2(1 − cos θ1 ) ⎬
2
1 + ( μ ′)
⎭⎪
(θ − θ1 )
2
・所要時間を定めた時の到達する点の比較
所要時間を定めた時の到達する点の比較
• 所要時間 を定めた時に到達
を定めた時 到達
可能な点を図式化
• 動摩擦力の働かない曲線の
場合:赤
• 動摩擦力の働く曲線の場合:
青
• Y軸、
Y軸 x = μ ′ y :紫
• μ ' = 0.1, g = 9.8 m/s2
※ xを‐1倍して図式
V = 2g( x − μ′y)
まとめ
• 今回の卒業研究では
今回の卒業研究では、参考文献をもとに動摩擦力の
参考文献をもとに動摩擦力の
行う仕事や、一様な重力が働く場合について動摩擦
力の働かない場合の最速降下線、動摩擦力の働く場
合の最速降下線についてまとめました。
• 最速降下線の応用として、所要時間Tを定めて固定し
速降 線 応
時 を定
定
た場合、到達できる点について考察しました。
• 初めに求めた動摩擦のない場合の最速降下線と、後
に求めた動摩擦のある場合の最速降下線の到達でき
る点を図式化し比較しました。
この論文では y ( x ) ≥ 0 という条件の下で、目的地までの所要時間
を最小にする曲線を考えたが、より正確には
dy ( s )
d
≥0
ds
という条件を用いるべきでした。
という条件を用いる
きでした。
許される曲線
線
条件に合わない曲線
線
図の様な条件の下で積分を最小にする関数を求める方程式がどの
ようになるかは 今後の課題です
ようになるかは、今後の課題です。
最後に、今後は後に求めたの最速降下線が正しいかの証明や次の
課題である直線を用いて近似してよいのかの証明などこの論文で扱
うことの出来なかった部分についても研究をしたいと思います。