地域指標 小水力と地中熱を活用した分散農村 エネルギー自給構想に関する研究 2014. 3 北陸地域づくり研究所 本調査・研究は、第17回(平成24年度)および第18回(平成25年度)「北陸地域の活性化」に関する研究 助成事業技術開発支援事業共同研究の一つとして実施しているもので、富山県の黒部市と入善町に位置する黒部 川扇状地が調査研究対象地域となっている。 本共同研究は、北陸地域の社会資本整備に関わる地域づくり、産業振興、建設技術等に関する課題等の解決に 向けた技術開発・調査研究を自ら行う組織・団体に助成するもので、大学・高専等の3研究機関以上の研究者で 共同研究体制を構成し、各研究者の専門性を活かし、総合力をもって地域の課題解決に向け実効性のある成果を 出すための技術開発・調査研究を行う研究助成事業である。 水力発電に適した農業用水路が扇状地内に張り巡らさ 1 事業の目的 ルギーの開発が国を挙げて取り組まれている。一方で、 標高 (m) 東日本大震災以降、注目を集めている再生可能エネ れている。 1,600 1,400 1,200 発送電の問題もあり、電力会社に売電する以外の利活 1,000 用は殆ど取り組まれていない。そこで、北陸地域の資 800 源である豊かな水力を再生可能エネルギーとして利用 するため小水力発電に着目して、小水力発電に適した 地域選定や発電システムとともに、この電力の地産地 消により地域の活性化を図るものである。 600 400 200 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 320 距離 (km) 図1 北陸地域の主要河川の勾配 2 事業の概要 (2)事業内容 (1)調査研究地域の選定 近年の給油所の撤退や農家の軽トラック保有率の高 北陸地域の河川は、急流河川が多く、水力発電に適 さと日当りの走行距離が10 ~ 20km程度となってい している。北陸の急流河川の中で小水力発電に適した ることを踏まえ、小水力により発電した電力を利用す 条件として考えられるのは、勾配がある扇状地で、本 るしくみとして、農業用軽トラックに着目した。 川から農業用水路が張り巡らされていれば多くの発電 しかし、電気自動車は、長い充電時間や短い走行距 ポイントが確保できる。 離という課題がある。その課題を解消するため、小水 黒部川扇状地は、河口まで約13kmあり、河床勾配 力発電施設と併設したバッテリー充電基地を整備し が1/ 5~1/120と日本屈指の急流河川で、湧水群 て、そこで軽トラックは充電されたバッテリーに交換 があり水量が豊富であるという特徴がある。また、小 することにより、充電待ち時間の解消、基地を網羅的 25
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