平成26年度荒川区議会2月会議 自民党荒川区議会議員団を代表し、質問をしました! 通年議会となって、初めての予算議会が2月13日から始まりました。 この議会は、平成27年度の予算を審議する大変重要な定例会です。 私は、自由民主党荒川区議会議員団を代表し、「新年度予算」をはじめ、 「商業・産業振興」、「今後の公共施設整備のあり方」「駅前再開発」につい ての質問を行いました。 本紙面では、区の将来を見据えながら、我が国の経済動向についての所見 の一端を述べ、質問に関する私の考えを申し述べます。 (*紙面の関係上、質問内容を要約して掲載しています。) 荒川区議会議員 守 屋 誠 我が国の経済動向に関する認識 日本経済とデフレスパイラルからの脱却を図り、日本を再生していくための経済政策アベノミクスが 始動して、早2年が経過しようとしています。 昨年12月の衆議院選挙における最大の争点は、「経済政策のアベノミクスの継続か否か」であり、 多くの国民はアベノミクスを継続すべく意思を示し、我が政府自民党が飛躍的な支持を受け、第3次安 倍内閣が組閣されました。 アベノミクスにより日経平均株価の上昇、円高の解消など、すでにその効果が現れていますが、急激 な円安による原材料価格の高騰や消費増税後の需要低迷による影響から、日銀が12月に発表した全国 企業短期経済観測調査(短観)によれば、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業で プラス12であり、前回の9月調査(プラス13)から2四半期ぶりに悪化に転じています。これは、 前述の原材料コストの増加に加え、消費増税前の駆け込み需要の反動減が一部業種で続き、企業の景況 感は停滞しているとしています。また、輸出回復の遅れも景況感の悪化につながったと分析されつつも、 反動減は全体として収束しつつあり、悪化幅は小さかったとの見方です。 中小企業の製造業と非製造業で、最近の景気が「良い」と考える企業の割合が「悪い」とする企業を 上回り、全国的には景気回復の波が中小企業にも広がり始めていると認識しています。 内閣府が1月23日に発表した1月の月例経済報告によれば、現下の経済基調について「景気は、個 人消費などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。 」としています。 経済の先行きに関しては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、原油価格の低下の影響や各種政 策の効果から、緩やかに回復していくことが期待されるとの見方です。 (中面へ続く) しかし、アベノミクス効果は大企業や一部の者がその恩恵に預かるに留まり、区内の大半を占める中 小・小規模事業者には届いていない現実に目をやらざるを得ません。街の景況感について尋ねますと、 確かに一部の企業ではその恩恵を享受しているものの、大半の企業の皆様は、過度な円安によるコスト 高の話や消費税率の改定の話など厳しい現状にあり、アベノミクスによる経済の好循環が確実に進行し て、全国的に暖かい風を感じるには、まだ相当の時間を要するものと考えます。 一方、そうした経済情勢にあっても、日本という国の今後を真剣に案じるのであれば、基本的に私は、 消費税率を10%にアップすることは致し方ないと考えています。しかしながら、税率アップにあたっ ては、多くの国民に納得をいただけるよう、具体的に全体の5%は社会保障の財源、残りの5%は一般 財源とするというように、明確な使途を示すべきです。また、消費税増税にあたっては、軽減税率の導 入も検討されておりますが、不公平感など様々な課題があるため、具体的には電気、ガス、水道といっ た公共料金の非課税化を進めるべきではないかと考えます。 新年度予算編成の基本となる考え方 法人住民税国税化への対応 区財政への影響という観点から、本区をはじめ、東京の自治体を取り巻く財政環境に大きなインパク トを与えるのが地方法人課税の見直し問題です。我が党をはじめ、荒川区議会では、一昨年に続き昨年 9月の本会議においても、意見書を可決するなど、地方法人課税の不合理な偏在是正措置の撤廃を一貫 して主張してきました。 消費税率の引き上げが延期されたことを受け、昨年末の税制改正大綱には、法人住民税のさらなる国 税化等については具体的に盛り込まれませんでしたが、平成26年度の税制改正で言及された、消費税 率10パーセント段階における偏在是正の更なる拡充などの議論は決して沈静化していません。むし ろ、先の国会で、「まち・ひと・しごと創生法」が成立し、地方創生という名のもとに東京一極集中の 是正に焦点が当てられ、東京への風当たりが更に厳しくなることも予想されるところです。 現に、年末の臨時閣議で決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、東京圏の企業の地方 移転を促進する税制優遇措置が盛り込まれました。しかし、本来、必要なのは、1つのパイを奪い合う ような共倒れの発想ではなく、どうすれば日本全体のパイを大きくできるかということを、それぞれの 地域が真剣に考えることではないでしょうか。 平成 27 年度 荒川区当初予算(案) 幸 福 増 進 予 算 ∼安全安心や未来への活力を高めるために∼ 912億 6,000 万円 ※対前年:▲19 億 8,000 万円 ▲2.1% ※当初予算では、過去3番目の規模 商業・産業振興 商店街の支援策 荒川区商店街連合会は会員数の減少が続き、平成27年1月現在、1,717店となっており、最も 多かった昭和57年の2,313店と比較すると、約600店の減少、率にすると約25%の店が姿を 消している状況です。原因としては、大規模小売店の出店と販売競争の激化、インターネットによる買 物の普及や住民のライフ・スタイルの変化等の外的要因に加え、商店街内部では、商店経営者の高齢化・ 後継者の不足・コンビニエンス・ストアや外食チェーン店の増加等、商店街が一体として事業展開をす ることを困難にする状況が挙げられます。法令上の制約等も多々あることは承知していますが、区とし て、例えば、区内に40団体以上ある商店街の再編による組織力強化、コンビニエンス・ストアやスー パー・マーケットの出店規制、商店街内の店舗の上部を住宅にするルールの設定による再開発等、斬新 な発想に立った施策を打ち出していくことが必要ではないかと考えます。 小規模事業者への支援 昨年度、自民党荒川区議団は、区内事業者を全力で支援するため、小規模事業者による設備投資への 補助金の実施を提案しました。これを踏まえ、区では今年度、設備の新規導入や大規模修繕、店舗の改 装等への支援を通じた小規模事業者経営力強化支援事業を創設し、1月末現在で60件、約3000万 円の補助決定がされ、厳しい状況にある小規模事業者の設備投資と経営力強化を力強く後押する実績を 上げています。この事業は、区内の小規模事業者の収益力向上や事業の発展等にとどまらず、受注した 企業も含めて地域経済への波及効果も期待でき、まさに好循環を生み出す事業であるため、来年度も継 続実施していくべきと考えています。そうした中、地方創生関連法において構築された、「地方自治体 が独自に行う施策に対しての補助金」を大いに活用すべきと考えます。特に商業事業者等は、区が現行 補助している設備投資額の20万円に満たない機器の買い替え等もあることから、設備投資下限額を緩 和する必要があります。また、経営資源が限られる小規模事業者にとって、マンパワーを駆使した新た な顧客や販路の開拓は現実的に難しく、事業の持続的発展を実現するには、IT等を活用するなど時代 に即した手法で様々な課題を乗り越えていく必要があります。小規模事業者の設備投資への補助金を、 より使い勝手の良い補助金とし、来年度1年限りで継続実施するよう提案します。 資金繰りへの支援 小規模事業者にとって資金繰りは非常に大変になります。アベノミクスの効果が必ずしも中小企業 まで浸透していない中で、昨年秋からの急激な円安による原材料価格の高騰は、区内中小企業にも大 きな影響を及ぼしました。その際、区は、速やかに「原材料・エネルギー高緊急対策融資」を実施し、 資金繰りを支えました。これは、我が党が平素から要望している経済情勢に見合った適宜適切な企業 支援という意味からも大変評価します。今後とも、低利な融資あっせん、利子補給などを通じた区内 中小企業の円滑な資金調達の支援の充実を図りつつ、今回の緊急融資のように、必要に応じた融資の あっせんを確実に行っていくことが必要であると考えます 今後の公共施設のあり方 私は、荒川区の基本構想に掲げた将来像「幸福実感都市」はすでに完成されており、今後目指すべき は、幸福実感都市の「成熟」であると考えます。 この点に関連して、最近、少し気になる動きがありました。それは、日暮里駅前と三河島駅前南地区 の再開発ビルで、テナントの入居を想定していたスペースが、 「結果として」保育園になったことです。 幼児教育を重んじてきた区長だからこそ、結果としてではなく、「当初から」保育園を建設計画の中に 盛り込むなど、幸福実感都市の一層のレベルアップを目指していただきたいと思います。 幸福実感都市の成熟には、これまでにも増して、更なる創意工夫と発想の転換が必要です。 その端的なものの1つが施設を整備するための用地の確保であり、私の提案は、次のとおりです。 日暮里ふれあい館 日暮里地域では、ふれあい館に適した土地が、そう簡単に見つかるとは考えにくいため、例えば、 諏訪台中学校の第二校庭は、校庭機能を維持したまま地下部分に建設する方法、三河島駅線路沿いの せせらぎの小路を活用する場合では、周辺環境も考慮して木造等の低層の施設にする方法、さらに周 辺の公共施設の建て替えに合わせた合築や再配置など、単に適地を探すのではなく、庁内挙げての 様々な検討により、是非、一刻も早く日暮里地域でのふれあい館開設を要望します。 総合スポーツセンター 近い将来必ず到来する、現在のスポーツセンターの建替えに関しての提案は、現在の南千住野球場 に新たなスポーツセンターを建設し、竣工後、現在のスポーツセンターの用地を、野球場にするとい う案です。その次の建替えも同様の方法で行えば、スポーツセンターも野球場も今の位置に戻ること になります。この、言うなれば「ローリング方式」は、施設を開館しながらの建替えが可能です。 駅前再開発(三河島駅前北地区・西日暮里駅前地区) 三河島駅前北地区と西日暮里駅前地区の再開発、この2つの地区の共通点は、小中学校の跡地を活用 した再開発であり、それぞれに整備される公共施設が街づくりの核になるということです。両地区の基 本構想の検討にあたって、私は、是非、教育施設を入れていただきたいと考えています。 区では、これまでも、汐入や冠新道に図書サービスステーションを設置し、図書館サービスの向上に 努めて来ましたが、図書館利用者のニーズとしては、商店街の中にある利便性もさることながら、通勤 の途中で立ち寄れる駅前には、高いニーズがあると考えます。 現在、複合施設開館に向けて邁進していく状況の中、財政状況を考えると、区が土地を新たに取得し て、図書館や図書サービスステーションを建てていくことは難しいのが現状でしょう。そのため、二つ の学び舎の跡地に行う再開発には、やはり生涯を通しての学びの場となりうる図書館を設置することが ふさわしいと考えます。また、昨今、区内の書店から賑わいが減ったように感じます。図書館で借りて、 面白い本は区内の書店で購入し長く手元に置いておくというように、図書館と書店が連携することで、 より豊かな読書習慣が育まれるのではないでしょうか。 さらに、この二つの駅前図書館には、 「真土」 「道灌山」という歴史的に由緒ある地名を、是非、冠し て欲しいと思っています。 平成 27 年 2 月発行
© Copyright 2024 ExpyDoc