Promotion & Campaign China por t Re 13 2015中国シルクロード観光年 運河の美しい都市で春を謳歌する 水運で発展した南京 揚州 鎮江 長江の下流域に位置する江蘇省は、隣接する浙江省と合わせて “江南”と呼ばれる温暖な気候のところ。 北京と杭州を結ぶ中国大運河、全長約1011㎞の5分の3にあたる690㎞が省内を流れ、 水運で発展してきた。 文/皆方久美子 写真/井岡今日子 2014年に世界遺産に登録された中国 の時期は、南京市の花である梅が咲く 大運河は、春秋時代に揚州付近で開削 3月から桃、菜の花などの4月まで。運 されたのが発祥で、随代に拡張建設さ 河沿いの柳の緑も美しく、まさに江南 れていった大事業。運河沿いの要衝の の春を満喫できる旅になる。 街は2500年以上前から栄え、中国の文 化の中心地として発展してきた。歴史 中国四大古都のひとつ 鎮江の金山寺慈寿塔付近からの長江の眺め(写真 皆 方久美子) 武将と文官の石像が配されている。周 辺には梅の名所で知られる梅花山があ 的遺産や運河を巡る美しい風景など、 南京は、北京、西安、洛陽とともに り、3月には紅白の海が咲き誇る。南 観光地としての魅力も豊富だ。 中国四大古都に数えられている。 『三国 京市内ではこの時期に「梅祭り」が開 江蘇省の省都である南京を中心に揚 志』の孫権が東呉の都を南京に置いて 催される。 州、鎮江を巡るには、成田や関空から 以来、宋や明など10余の王朝がこの地 紫金山の麓には江南地方の出土品を 直行便があり、北京や上海から高速鉄 に都を築いた。 中心に展示する南京博物院があり、城 道が続く南京を起点にするのが便利で 悠久の歴史を最も感じさせるところ 壁が残る城内には江南庭園が見事な総 ある。特に上海からの高速鉄道は1日 は町の東に位置する紫金山一帯。辛亥 統府や、下町風情を感じさせる夫子廟 に170本ほど運行され、約1時間半で南 革命の指導者・孫文(孫中山)が眠る などが点在。南京城の城壁は全長34㎞ 京を結ぶので利用しやすい。おすすめ 中山陵、明孝陵、明代の建築様式を残 のうち22㎞が平山郁夫氏ら日中友好協 す霊谷寺などがある。 会の協力で修復され、13あった城門の 明の初代皇帝・朱元璋の陵墓である 1つ中華門が残っている。もとは越城の 明孝陵は、中国に現存する最大の皇帝 城門だった中華門は四重構造で、現存 の陵墓で、世界遺産に登録されている。 している城門では最大。城壁の上に立 もともとあった呉の孫権の墓を避ける てば、玄武湖や紫金山などの眺めが楽 ために神道(参道)が曲がってつけられ しめ、南京の歴史に思いを馳せられる。 ているのが珍しい。神道は左右に別れ、 夫子廟のある秦淮河から建国路にか それぞれ6種12対の動物の石像、4対の けては古くからの繁華街で、明・清代 江南に春を告げる梅。2月下旬~ 3月下旬に頃が見ごろ 南京の明孝陵の神道に配されている石像 孔子を祭る南京夫子廟 揚州には古運河が街の縦横に流れている 32 TRAVEL JOURNAL 2015.4.6 鑑真和上ゆかりの大明寺大雄宝殿 長江の港だった西津古渡 揚州の古い街並みが続く東関老街 獅子頭肉団子スープ 揚州名物の干豆腐の地鶏スープ煮込み 揚州料理を代表する揚州炒飯 南京名物の鴨の塩漬け を彷彿とさせる町並みが続く。南京の は、ぜひ味わっておきたい揚州観光の 郷土料理である「秦 淮小吃」が味わえ 魅力のひとつだ。是非とも本場で味わ るレストランもあり、散策するのが楽し いたい。 いエリアだ。秦淮小吃は種類が多く、 中国で要人をもてなすときに出され 長江をはさんで揚州の南側に位置す アヒルの塩漬け、レンコンのもち米詰め、 るのは揚州料理が主体といわれている。 る鎮江は、マルコ・ポーロや李白が上 肉団子スープ獅子頭砂鍋などが有名。 揚子江(長江)と淮河の魚介や周辺の 陸し、多くの詩を残した風光明媚なと 美食街の獅子橋周辺で食べ歩きをお勧 野菜を使った料理で、包丁使いが細や ころ。長江と中国大運河はここで合流 めしたい。 かでさっぱりしながらも甘みがあるのが する。長江に架かる潤揚大橋は、揚州 特徴。日本でも有名な揚州炒飯や千切 とのバス移動を便利にしている。 り豆腐スープ、鴨の土鍋煮込みなどが 長江沿いにそびえる金山に建つ金山 揚州の歴史は春秋時代の紀元前486 あるが、地元で食べる味は格別だ。揚 寺は、唐代に金を産出したことから名 年に、呉王・夫差が城を築いたことに 州市旅遊局では、朝の揚州式飲茶に始 が付いた寺で、和歌山県の名物、金山 よって始まった。 三国時代には呉の孫策、 まる揚州料理三昧の旅を提案している。 寺味噌の発祥の寺としても知られてい 孫権が支配した。7世紀には随の煬帝 「園林之盛、甲于天下(庭園の見事 る。八角七層の慈寿塔付近からは、す が大運河を開き、物資の集散地となっ さは天下第一)と讃えられる痩西湖公 ばらしい長江の眺めが得られる。 て発展。唐代には鑑真和上が日本に向 園は遊覧船での観光がおすすめ。湖岸 鎮江西部の雲台山山麓にある西津渡 けて出港し、多くの遣唐使が行き交っ に点在する名勝古跡を訪ねながら、水 古街は、かつての長江の港。三国時代 た地でもあり、日本人にとっては縁の 上遊覧を楽しみたい。釣魚台の円窓か から建設が始まり、唐、宋、元、明、 ある土地である。 らは乾隆帝のために造られた白塔と五 清を経て建設された。全長1000mの古 運河に囲まれた揚州は、町そのもの 亭橋が望め、絶好の撮影ポイントだ。 街には港の待ち合い所や石坂の轍跡な が見どころになっていると言っても過言 痩西湖の遊覧船で運河を進むと大明 どが残っている。一部の石階段には唐 ではない。シンボルの痩西湖をはじめ、 寺まで行くことができる。大明寺は宋 から現在までの変遷が見られる。 縦横に流れる古運河、春夏秋冬を表し 代創建の名刹で、唐代に鑑真が講義を 西津渡古街の一角には鎮江料理を味 た江南名園の個園などの景勝地、塩商 行った寺として有名。弘法大師空海や わえるレストランもある。六度にわたっ 人の邸宅が並ぶ康山街や明・清代の街 李白、白居易も訪れた寺だ。境内にあ て江南に御行した乾隆帝にちなんだ料 並みの東関街といった古街。東関街は る鑑真記念堂には鑑真座像や鑑真が日 理「鎮江乾隆帝御宴」や、蟹肉入り中 観光夜市にもなっていて、揚州名産の 本に向かった遣唐船の模型などがある。 華饅頭スープなどが有名。鎮江市旅遊 漆や切り絵などの土産、小吃を売る店 春に訪れるなら、郊外の興化に足を 局では、鎮江でしか味わえない魚や川 などが軒を連ねている。江南建築様式 延ばすのがおすすめ。江蘇省旅遊局に フグが旬を迎える3 ~ 4月が、旅のおす のホテルやレストランを手配するのも一 よると、車で1時間半ほどのところにあ すめ時期だとしている。 味違って趣がある。 り「千島の菜の花」の絶景が広がってい 問い合わせ:江蘇省中旅旅行社有限公司 中国四大料理に数えられる揚州料理 る。菜の花畑の中を手漕ぎ船で巡るこ E-mail:[email protected] シンワイシャオチー 食も欠かせぬこの地の魅力 とができるそうだ。 長江の港跡が残る TRAVEL JOURNAL 2015.4.6 33
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