2 王朝文化に思いを馳せ史跡を堪能 中国7大古都の洛陽と開封を巡る

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2015年中国シルクロード観光年
王朝文化に思いを馳せ史跡を堪能
中国7大古都の洛陽と開封を巡る
華麗な王朝文化を今に伝える、古代中国の史跡が多く残る洛陽、
北宋時代には世界最大級の都市として栄華を極めた開封。
これら 2 都市は、人気ルート「王朝街道」の中でも重要な位置を占めている。
洛陽で壮大な中国の歴史を体感
白馬寺は「中国第一古刹」と称され、
仏教の中国伝来後の後漢時代、朝廷に
河南省西部、黄河の中流域に位置す
より最初に建立されたという貴重な寺
る洛陽は、東周、後漢、三国の魏、西
で、1900余年の歴史を持つ。門前には、
晋、北魏をはじめ歴代13の王朝が都を
インドの高僧2人がこの地に仏典や仏像
置き、中国の都として最も歴史が長く、
を運ぶために乗ってきたという、名前
都を置いた王朝の数が最も多い古都。
の由来となった白馬の石像がたたずん
り、観光ルートにも組み込みやすい。
世界遺産の龍門石窟や中国初の仏教寺
でいる。
唐代芸術の逸品として1000年以上の
院・白馬寺などの見どころはもちろん、
昨年、シルクロードが世界遺産に登録さ
偉人好きも芸術好きも大満足
中国初の仏教寺院「白馬寺」
歴史を持つ唐三彩や書画・骨董に興味
のある人には、洛陽博物館がおすすめ。
れ、漢魏洛陽城遺跡、隋唐洛陽城定鼎
三国志ファンなら訪れたいのが、三
ここでは、唐代の陶器や明・清代の書
門遺跡、崤函古道が登録されたスポット
国時代の蜀の武将である関羽の首が埋
画などをゆっくり鑑賞しながら、古代、
になった。まさに中国の壮大な歴史を目
葬されているという関林廟だ。明代に
夏・殷時代から清に至る洛陽周辺の歴
の当たりにできる観光の宝庫でもある。
創建された宮殿式建築群で、
舞楼、
大門、
史をたどることができる。東周時代の
龍門石窟は、敦煌の莫高窟、大同の
儀門、甬道、拝殿、大殿、二殿、三殿、
大型馬車の車馬坑が収められた周王城
雲崗石窟と並ぶ中国3大石窟の1つで、
石坊、八角亭を進んでいくと、関塚(関
天子駕六博物館にも立ち寄れば、洛陽
北魏の孝文帝の時代(471 ~ 499年)か
羽の首塚)に至る。廟内では関羽像を
の町の繁栄ぶりをより現実感を持って
ら開鑿と造営が始まり、東魏、北斉、隋、
見ることもできる。
感じられることだろう。
唐、北宋の時代を経て、400余年にわ
唐代の大詩人で『長恨歌』で知られ
そのほか、毎年4月に開催される「牡
たり造営されたもの。南北の長さ1㎞、
る白居易の晩年の住居跡で、墓である
丹祭り」は、
「洛陽の牡丹、天下に甲た
窟龕2345、碑刻題記3600余件、仏塔
白園も、日本人には興味深いスポット。
り」と評判を呼ぶ一大イベント。品種
50余基、造像10万余体ともいわれ、主
周囲には、白居易が詩作にふけった当
が多く、花の色がきれいな洛陽の牡丹
要ポイントを巡るだけでも2時間、すべ
時のままの自然が広がっている。白園
が一斉に花開くさまは、季節の風物と
てを見るには1日あっても足りない。
は龍門石窟敷地内、関林廟も近くにあ
して一見の価値がある。
三国志の武将・関羽が祀られている「関林廟」
洛陽での夕食に組み入れたい名物「洛陽水席」
4月の牡丹祭りには、国内外から多くの観光客が訪れる
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TRAVEL JOURNAL 2015.1.19
龍門石窟では迫力のある造像が各所に
龍門石窟最大の奉先寺・盧遮那仏
華やかな水上ショー「大宋東京夢華」
開封「第一楼」の小龍包
『清明上河図』の世界を体感できる「清明上河園」
開封で北宋時代にタイムスリップ
繁塔は、開封の建築物の中で最も古い
格好の土産物がたくさんある。開封の
といわれる974年創建の塔だ。
官立の窯で焼いた磁器は、かつて王室
河南省の省都・鄭州から車で1時間
美しい湖が望める歴代王朝ゆかりの
で使われた逸品。土産物としては、こ
ほどのところに、洛陽と肩を並べる中
龍亭公園、きらびやかな千手千眼仏が
れを模して作られた芸術性の高い「北
国7大古都の1つ、開封がある。北宋時
見られる相国寺、宋代の街並みを再現
宋官窯青磁」が人気だ。洛陽にも、青
代に首府として栄華を極めた開封の様
した「宋都御街」など、観光素材は豊
銅器、唐三彩、汝磁、宮灯など有名な
子は、宋代の画家・張択端が描いた『清
富にそろう。開封の町は、観光ポイン
工芸品が多い。
明上河図』や、孟元老の『東京夢華録』
トがコンパクトにまとまっていて、効率
手ごろなところでは、開封や洛陽独
により、今に伝えられている。
良く回ることができる。
特の刺繍を施したハンカチや小物類も
清明上河園は、『清明上河図』の世
界を再現したテーマパークだ。
園内では、
食と人気の工芸品にも注目
いいだろう。
中国の歴史に触れ肌で感じる旅
図巻そのままの風景の中をそぞろ歩く
洛陽のグルメといえば、有名なのが
のが楽しい。また、冬期を除く夜には、
洛陽水席。酸っぱくて辛くてあっさり
今回紹介した洛陽と開封は、河南省
水上ショー「大宋東京夢華」を鑑賞で
としたスープをメインとしたコース料理
の省都・鄭州を挟んで西に洛陽、東に
きる。湖上に設けられたステージには当
で、結婚式などの宴会で供されること
開封と、距離的にも近く、古都巡りの
時の衣装を身にまとった数百人の出演
も多い。洛陽の老集美食街には、洛陽
人気ルート「王朝街道」の中でも重要
者が登場し、楼閣や湖上の建物が華や
水席のレストランが点在しており、ほか
なポジションを占めている。ちなみに中
かにライトアップされる。開封の華やか
にも、河南料理や黄河の鯉を調理した
国7大古都とは、洛陽・開封・安陽(い
なりしころを彷彿させる屋外ショーは
鯉魚躍竜門、張記焼鶏など地元の人々
ずれも河南省)
、西安(陝西省)
、北京・
今、観光客に人気を呼んでいる。
に人気の料理を楽しむことができる。
南京(江蘇省)、杭州(浙江省)の7都
北宋の市街の雰囲気に触れるなら、
また、味わうだけでなく、餃子作りな
市を指す。これに鄭州を加えて8大古
開封府へ。こちらは北宋時代の首府で
どの体験プログラムを組み込むのもおす
都と称されることもあるが、河南省の
あった開封の街並みを再現していて、
すめだ。
都市が圧倒的に多いことからも、この
当時の街の主要な建物の様子を見るこ
一方、開封で有名なのが、老舗レス
地が「中国歴史の旅」のテーマにふさわ
とができる。歌舞などのイベントも随時
トラン「第一楼」の小龍包。熱々のスー
しいことがわかるだろう。
行われている。
プが入った日本人にも人気の点心だ。
観光局も勧める「中国の歴史に触れ、
リアルな北宋時代の建築物では、鉄
開封の小龍包は上海のものと比べて具
それを肌で感じる旅」、洛陽と開封でゆ
塔公園内にある鉄塔(開宝寺塔)、市内
が大きく食べごたえがあるのが特徴だ。
っくり時間を取り、古代中国にタイム
南にある繁塔も必見。鉄塔は1049年に
街なかには屋台や夜市も出ているので、
スリップし、名物料理や芸術に触れる、
創建され、高さ約56m、褐色の琉璃レ
夕食後に散策してみたい。
そんな旅の形があってもいいのではない
ンガを用いて造られた堂々たる塔で、
中国の中心部に位置する河南省には、
だろうか。
中に入って登ることもできる。一方の
中国の焼物や工芸品に興味を持つ人に
(取材協力:中国国家観光局駐日本代表処)
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