人々を魅了する名勝の地 南昌周辺と江西省南部

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2015中国シルクロード観光年
人々を魅了する名勝の地
南昌周辺と江西省南部
江西省は総面積の約60%を森林が占め、美しい山河が多く緑あふれるところ。
なんしょう
省都の南昌は中国人民解放軍誕生の地であり、国家歴史文化都市に認定されている。
近年は南昌を中心に経済開発が進み、観光スポットを結ぶ交通網も整備されつつある。
文/皆方久美子
南昌へは日本からの直行便はないの
で、上海や広州、北京からの乗り継ぎ
中国共産党のゆかり
便を利用する。上海、広州からは約1
南昌の歴史は古く、紀元前202年に
時間30分、北京からは約2時間10分の
漢の高祖の命により、南昌県が置かれ
所要時間。鉄道では市内に多くの駅が
たことに始まる。翌年に現在の南昌駅
市の中心部にある広大な八一広場の
あるが、旅行者が主に利用するのは南
付近に築城されて以来、南昌城は都市
南端には、八一南昌起義記念塔がそび
昌駅と南昌西駅である。南昌は主要路
の規模を拡大してきた。
え立つ。高さ45mの巨大な銃剣と紅軍
線や高速鉄道が交わる要衝であり、中
この町が広く知られるようになったの
旗のモニュメントで、南昌市のランド
国各地からのアクセスが可能だ。
は、中国共産党による武装蜂起事件か
マークになっている。
江西省の北部、贛江下流に位置する
ら。1927年8月1日、 周 恩 来らが指 導
人民解放軍揺藍の地とされる井岡山
南昌は、東北に中国最大の淡水湖であ
する共産革命軍が反蒋介石の狼煙を上
にも革命の史跡が多くある。井岡山は
る鄱陽湖を臨む平原地帯にある。市内
げ、国民党に対する反撃を開始したも
南昌から西南約315㎞、湖南省との境
には大小の湖が点在し、水辺に広がる
ので、八一南昌起義といわれる。
にある景勝地で、険しい峰々や深い谷、
緑と湖面に映る都市の様子が江南地方
南昌は「英雄城」とたたえられるよう
原始林、竹林が織り成す景色が美しい
らしい美しい風景を作る。
になり、8月1日は中国人民解放軍の誕
山。毛沢東が武装農民を率いて立てこ
亜熱帯気候に属し、春は雨が集中。
生と捉えられ、健軍節として盛大に祝
もった山であり、茨 坪エリアには井岡
夏は晴天が続くが、雷雨も多い。最高
われる。当時、総司令部が置かれてい
山革命博物館や毛沢東旧居などの革命
気温は40℃を超し、
「中国四大火炉」
た旧江西大旅社と隣に建つ八一南昌起
史跡が点在する。
の1つに数えられるほどの蒸し暑さで有
義紀念館陳列大楼などは八一南昌起義
南昌市街の西にある滕王閣は、江南
名。観光で訪れるには、さわやかで最
紀念館となり、
事件に関する資料を展示。
三大楼閣の筆頭に挙げられる名楼。贛
も美しい季節の秋がおすすめである。
中国共産党の歴史を解説している。
江に面してそびえる高さ57m、6層の楼
かんこう
は よ う こ
はちいちなんしょうきぎ
南昌市中心にある滕王閣
しへい
とうおうかく
閣で、653年に唐の太宗の弟、滕王が
南昌に赴任したときに別荘として建て
られた。最上階からは市内を一望でき、
多くの文人が楼上で詩を詠んだ。四季
折々の風景が楽しめるが、
「滕王秋風」
といわれるほど秋の風情がおすすめ。
現在の楼閣は1989年に再建されたもの
で、正面に掲げられた「滕王閣」の篇
そ
ぶ
額は、宋代の詩人蘇 軾の筆をもとに作
られたものである。
道教の聖地である龍虎山にはいくつもの景観区がある
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TRAVEL JOURNAL 2015.7.13
南昌市内では、地下鉄1号線と2号線
宋代の城壁で囲まれた贛州
中国革命の聖地である井岡山
八大山人梅湖景区にはいくつもの庭園や竹林、梅林などがある
清代の芸術家、八大山人
仙女湖は穴場の景勝地
が建設中。15年末の開業を目指して工
廬渓河川下りや、切り立った岩山の頂
を同じくする一族が厳密な規則をもっ
事が進んでいる。
に建つ仙人城の境内からの眺望など、
て宗族文化を支えてきた。先祖を祀る
南昌市郊外には、湖水景観スポット
さまざまな景色を楽しめる。
祭りや文化的イベントは現在も受け継
の八大山人梅湖景区がある。園内には
龍虎山の名所のひとつが、古代の懸棺
がれ、中国の古村落の中でも希有な村
清代初期の画家、書家、詩人である
遺跡群。約2600年前にこの地方に住ん
である。村には名士の肉筆を含む各種
八 大山人の記念館があり、書画約200
でいた越 族系民族のものといわれ、断
の木製の扁額や書画が500以上残り、
点が展示されている。
崖絶壁の岩肌に開いた無数の洞窟に木
豊富な文物資源も多い。
はちだいさんじん
けんかん
えつ
製の棺桶が納められている。崖墓とも
世界遺産の龍虎山
いわれる古い埋葬方法で、中国南部一
龍虎山は南昌から約140㎞、江西省
ようたん
東部の鷹潭市にある風景名勝区。赤い
たんか
砂礫岩が多いカルスト地形の丹 霞の景
じょうじょう
帯から太平洋にかけて見られるという。
江西省南部、贛江上流に位置する
かんしゅう
贛 州も訪れたいところのひとつ。四周
を山に囲まれ、三面を河水に臨む風光
明媚な町である。貢水と章水の2本の
町歩きもおすすめ
川に挟まれた半島状の町で、川は岬の
観で知られ、上 饒市の亀峰とともに世
江西省には多くの風景名勝地がある
先で合流して贛江となる。その地形か
界遺産に登録されている。
が、日本人には馴染みのない観光スポ
ら「小重慶」の呼び名もある。
中国道教発祥の地とされ、山内には
ッ ト が 数 多 い。 南 昌 か ら 約150 ㎞、
古くから江西南部の政治、
経済、
文化、
壮大な道教寺院群が建ち並んでいる。
新 余市にある仙女湖もそのひとつ。底
交通の中心として栄えてきたが、町の
前漢の中ごろ、創始者の張陵が修行を
まで見えるほど澄んだ水をたたえる湖と
始まりは漢代にさかのぼり、2100年以
積んでいると、突然、龍と虎が現れた。
島、山岳の絶景が広がる。江西省南部
上の歴史を誇っている。
そこで龍虎山と名付け、道教を開いた
を巡る途中で立ち寄りたい景勝地だ。
贛州はまた宋城博物館とも称される。
とされる。
『水滸伝』の張天師が井戸に
江西省中部に位置する流 坑村は「千
東門から西門に至る3.6㎞にわたって残
閉じ込めた妖魔を、洪大尉が誤って逃
古第一村」と賛美される古村落。五代
る城壁は、半島状に突き出た川沿いに
がしてしまう舞台もこの山である。
の937 ~ 943年に成立した村で、千年
続き、宋代に築かれた当時の雰囲気を
廬渓河の流れに沿って迫る両岸の
の歴史を誇る。村内には明・清代の建
残している。城壁の上には風格ある八
山々は、一方の龍山はうねうねと続き、
築物が260以上あり、そのうちの明代
境台や郁孤台が建つ。市内にも文廟や
一方の虎山は激しく隆起して飛びかか
建築遺跡19カ所が完全な形で保存され
慈雲寺塔などの古建築が多いので、町
る虎のようである。桂林を思わせる岩
ている。楼閣や牌坊、祖廟、橋梁など
歩きを楽しむのがおすすめである。
山がそびえ立つ美しい風景は、訪れる
が見ものだ。
人々を魅了してやまない。観光筏での
大多数の村民が薫姓を名乗り、祖先
しんよ
るこう
ゆうこだい
問い合わせ:江西省中国国際旅行社
E-mail:[email protected]
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